ミロク情報 Research Memo(10):販売力の拡大、新製品の開発、収益基盤の確立を目指す
[14/07/01]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■第3次中期計画
(2)成長戦略
ミロク情報サービス<9928>の成長戦略としては「顧客基盤拡大に向けた販売力並びに販路の拡大」「新規顧客を創造するための新製品・サービスの開発」「新規事業による新たな収益基盤の確立」と大きく3つのテーマを打ち出している。以下それぞれの戦略の概要について紹介する。
a)顧客基盤の拡大に向けた販売戦力の増強と販路拡大
同社は従来、営業組織を会計事務所チャネル・パッケージ事業本部(会計事務所と顧問先企業向け)とソリューション事業本部(中堅・中小企業向け)の2つの事業本部に分けていたが、2014年4月よりこれを1つに統合した。中堅・中小企業の新規顧客開拓をさらに強化していくため、限られた営業リソースを最大限に有効活用していくのが狙いだ。会計事務所チャネル・パッケージ事業本部における中小企業に対するパッケージソフトウェアの販売力とソリューション事業本部における中堅企業へのソリューション力を融合させ、総合的な営業力を高めていく方針である。
また、一般企業向けERPシステムでは、企業ごとに様々な業務課題を抱えているなかで、それぞれに的確なソリューションを提案する能力も必要となってくる。このため、提案型営業モデルの深耕も進めていく方針で、営業人員の増強と同時に人材教育も強化していく。同社の顧客は現在、約1.7万社であるが、同社の顧客である会計事務所の顧問先企業だけで約55万社あるため、新規顧客の開拓余地は依然として大きいと言えよう。
現在、売上高の5%弱にとどまっているパートナー企業による間接販売も拡大していく考えだ。従来もパートナー企業経由での販売はあったものの、ここ数年は伸び悩みの状況が続いていた。この要因の1つとして、同社の製品が手離れの点で課題を抱えていたことが挙げられる。パートナー企業が同社の製品を顧客に売り込む際には、同社の営業マンが同行するケースがほとんどであり、パートナー企業単独で販売するケースは稀であった。このため、パートナー企業が単独でも販売活動ができる手離れの良い自己完結型の製品を開発していく計画となっている。併せて、パートナー企業への支援体制を強化することによって、同社の営業マンが同行することなくパートナー企業単独での販売が可能となるため、顧客数の拡大と同時に営業効率の向上にもつながることになる。また、並行してパートナー企業数も増やしていきたい考えだ。
その他には、顧客サポート体制及び経営情報サービスの充実を図ることで、顧客満足度の向上を進めていくほか、テレビCMなど積極的な広告宣伝活動を展開することで、MJSブランドの認知度向上を目指していく。なお、会計事務所向け売上高に関しては市場が成熟していることもあり、第3次中計では横ばい水準を想定している。
b)新たな顧客を創造する新製品・サービスの開発・提供
新規顧客の開拓のため、マルチデバイスに対応したクラウドサービスの開発を進めていくほか、グループ企業及び協業会社との積極的な共同開発を推進していく。また、既存製品の統廃合による開発効率の向上によって、開発リソースの有効活用を図り、新製品の開発を強化していく方針だ。
c)新規事業による新たな収益基盤の確立
新規事業においては、既存の幅広い顧客プラットフォーム(顧客基盤)を活かした事業展開を目指している。
まず、ここ数年来ニーズが拡大している中小企業向けの事業再生支援サービスの展開を図っていく。2014年3月期より、専門組織を立ち上げて会計事務所の事業承継などには携わってきた。一般企業向けの同様なサービスは行ってこなかったが、今回、本格的に市場参入することを決断した。顧客となる会計事務所からの相談や依頼も多くあるなかでの市場参入のため、比較的スムーズに事業が立ち上がっていくものと予想される。
また、事業再生支援サービスに関して、人的リソースが足りないようであれば、M&Aによって確保していくことも視野に入れている。前述したように財務体質はここ数年で強化されており、M&Aを行っていく体力は十分あるとみられる。
その他、新規事業としてはネットビジネスの積極的な推進を掲げている。ネットビジネスでは既に経営情報サイト「bizocean」の登録会員数が110万を超えており、サイトの広告収入も順調に拡大している。現在は無料会員制のため、収入は広告収入のみとなっているが、今後はコンテンツの充実を図りながら、マネタイズしていくことを考えている。また、2014年3期にリリースした家計簿・経費精算統合アプリ「マネトラ」についても、ダウンロード数が20万件を超えるなど順調に拡大しており、今後は確定申告機能やC2C向け(ネットオークション向け)機能の開発を進めることで、マネタイズの可能性を探っていく。「マネトラ」に関してはアジアでも試験的に展開していく予定で、海外事業展開に関しても状況を見ながら進めていく考えだ。
さらには、経済団体やフランチャイズ企業等への会計クラウドサービスの提供も行っていく。2014年5月に全国商工会連合会、都道府県商工会連合会及び市町村商工会(以下、商工会と総称)とその会員事業者向けに「会計・税務のクラウド型アプリケーションソフト」を開発したと発表した。同アプリケーションソフトを利用して全国商工会連合会が会員向けにクラウドサービスとして提供していくようだ。同社は、この開発ノウハウを活用して新たなクラウドサービスを開発し展開していく計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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