城南進学研究社 Research Memo(5):直営は小学生の強化と乳幼児との連携強化がカギ
[14/07/25]
提供元:株式会社フィスコ
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■個別指導
城南進学研究社<4720>は2002年から「城南コベッツ」ブランドで個別指導教室を直営及びFCで展開している。2014年6月6日現在、直営58教室、FC174教室を開校している。当初は城南予備校に併設した個別指導コースからスタートした経緯もあって、専門教室を開校した2004年当初は高校生91%、中学生9%という構成だった。その後、中学生の取り込みが奏功し、現状では高校生36%、中学生53%、小学生11%という構成へと変わってきている。
城南コベッツの特徴の1つに、成績保証制度がある。これは期間内に所定の点数が達成できなかった場合には保証期間終了後の翌期間(4ヶ月間)の対象科目の通常授業料を全額無料とする制度だ。当初は直営教室のみでの制度だったが、のちに業界で初めてFC教室にも制度を拡大した。成績保証制度自体は業界全体に広まっているが、「成績アップ保証」というイメージによる集客効果は依然として高いようだ。
個別直営部門
個別指導の直営部門は予備校部門と並ぶ収益の柱になっているが、2014年3月期売上高は1,687百万円と、前期比3.3%減となった。第3四半期発表時点での会社予想の1,813百万円に対しては未達となった。
減収の要因は、生徒の構成比変化による売上単価のダウンだ。入学者数は前期比118人増の5,664人だったが、内訳としては小学生が232人増加したのに対して、中高生が114人減少した。この構成差による単価ダウンを、入学者数でカバーしきれず減収となった。
弊社では、今回の減収はさほど深刻にはみていない。中高生の減少というマイナス効果よりも、小学生の入学者増加のプラス効果の方が中期的に考えれば大きいと考えているからである。高校生の取り込みはその先につながりにくいが、小学生の取り込みは、中学・高校へとつながる可能性を秘めている。それゆえ同社自身も小学生の取り込みに営業努力を行ってきたのであり、2014年3月期は、その点で一定の結果を残すことができたとプラスに評価できると弊社では考えている。小学生の入学者数が600人を超えたとはいえ、全体に占める割合はやっと10%を超えたに過ぎない。この比率が15%〜20%に高まってくると、その後の3〜5年間の中期的事業拡大が具体性をもってイメージできてくるものと期待している。
弊社では、小学生の取り込みを強化しようという同社の戦略を評価しているが、その一方で、具体的な取り込み策という点では改善の余地が大きいのではないかと考えている。このように考える理由の1つは、城南コベッツの特徴が見えづらいという点だ。同社は難関校の中学受験生を対象とするのではなく、学校の授業をきちんと理解するという、ボリュームゾーンを対象としている。逆に言えばそれゆえに城南コベッツというものの特徴を打ち出しにくいといえる。
もう1つのポイントは前述の、乳幼児教室や英語教室の幼稚園児が小学生になったときに城南コベッツに誘うような仕掛け・仕組みがないことだ。乳幼児強化は前述のとおり、今の同社の最大のテーマになってきているが、結局それが乳幼児時代で終わってしまうリスクがある。乳幼児教育と小学生教育が互いにシナジーを生み出せるような教育プログラムの提供は、同社にとって喫緊の課題ではないかと弊社では考えている。
個別FC部門
個別指導のFC部門は、2014年3月末の加盟教室数が175教室となった。2014年3月期中の新規開校は当初見込みの65教室に対して34教室だった。これはFC事業者の選別強化によるものだ。FCオーナー希望者の資質や経済状況などの審査を厳しくし、量より質を追求した。
弊社ではこうした事業者の選別強化は、中長期的視点に立てば非常に重要で有効な施策であると評価している。これまでの同社はどちらかといえば城南コベッツの勢力拡大にまい進していた印象だが、今回、量より質に基本方針を大きく転換した意味は大きいと考えている。同社への直接の収益は254百万円(前期比13.9%増)と、直営事業に比べて貢献度は小さいが、「城南」のブランドイメージを直接左右する存在だけに、FC事業者の経営基盤強化は直営事業同様に重要だ。
FC事業全体で見れば、順調が続いていると言える。教室数は12.3%増加したが入学者数の伸びはそれを上回る23.9%の伸びを示した。また、1人当たりの受講講座数及び売上単価も上昇している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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城南進学研究社<4720>は2002年から「城南コベッツ」ブランドで個別指導教室を直営及びFCで展開している。2014年6月6日現在、直営58教室、FC174教室を開校している。当初は城南予備校に併設した個別指導コースからスタートした経緯もあって、専門教室を開校した2004年当初は高校生91%、中学生9%という構成だった。その後、中学生の取り込みが奏功し、現状では高校生36%、中学生53%、小学生11%という構成へと変わってきている。
城南コベッツの特徴の1つに、成績保証制度がある。これは期間内に所定の点数が達成できなかった場合には保証期間終了後の翌期間(4ヶ月間)の対象科目の通常授業料を全額無料とする制度だ。当初は直営教室のみでの制度だったが、のちに業界で初めてFC教室にも制度を拡大した。成績保証制度自体は業界全体に広まっているが、「成績アップ保証」というイメージによる集客効果は依然として高いようだ。
個別直営部門
個別指導の直営部門は予備校部門と並ぶ収益の柱になっているが、2014年3月期売上高は1,687百万円と、前期比3.3%減となった。第3四半期発表時点での会社予想の1,813百万円に対しては未達となった。
減収の要因は、生徒の構成比変化による売上単価のダウンだ。入学者数は前期比118人増の5,664人だったが、内訳としては小学生が232人増加したのに対して、中高生が114人減少した。この構成差による単価ダウンを、入学者数でカバーしきれず減収となった。
弊社では、今回の減収はさほど深刻にはみていない。中高生の減少というマイナス効果よりも、小学生の入学者増加のプラス効果の方が中期的に考えれば大きいと考えているからである。高校生の取り込みはその先につながりにくいが、小学生の取り込みは、中学・高校へとつながる可能性を秘めている。それゆえ同社自身も小学生の取り込みに営業努力を行ってきたのであり、2014年3月期は、その点で一定の結果を残すことができたとプラスに評価できると弊社では考えている。小学生の入学者数が600人を超えたとはいえ、全体に占める割合はやっと10%を超えたに過ぎない。この比率が15%〜20%に高まってくると、その後の3〜5年間の中期的事業拡大が具体性をもってイメージできてくるものと期待している。
弊社では、小学生の取り込みを強化しようという同社の戦略を評価しているが、その一方で、具体的な取り込み策という点では改善の余地が大きいのではないかと考えている。このように考える理由の1つは、城南コベッツの特徴が見えづらいという点だ。同社は難関校の中学受験生を対象とするのではなく、学校の授業をきちんと理解するという、ボリュームゾーンを対象としている。逆に言えばそれゆえに城南コベッツというものの特徴を打ち出しにくいといえる。
もう1つのポイントは前述の、乳幼児教室や英語教室の幼稚園児が小学生になったときに城南コベッツに誘うような仕掛け・仕組みがないことだ。乳幼児強化は前述のとおり、今の同社の最大のテーマになってきているが、結局それが乳幼児時代で終わってしまうリスクがある。乳幼児教育と小学生教育が互いにシナジーを生み出せるような教育プログラムの提供は、同社にとって喫緊の課題ではないかと弊社では考えている。
個別FC部門
個別指導のFC部門は、2014年3月末の加盟教室数が175教室となった。2014年3月期中の新規開校は当初見込みの65教室に対して34教室だった。これはFC事業者の選別強化によるものだ。FCオーナー希望者の資質や経済状況などの審査を厳しくし、量より質を追求した。
弊社ではこうした事業者の選別強化は、中長期的視点に立てば非常に重要で有効な施策であると評価している。これまでの同社はどちらかといえば城南コベッツの勢力拡大にまい進していた印象だが、今回、量より質に基本方針を大きく転換した意味は大きいと考えている。同社への直接の収益は254百万円(前期比13.9%増)と、直営事業に比べて貢献度は小さいが、「城南」のブランドイメージを直接左右する存在だけに、FC事業者の経営基盤強化は直営事業同様に重要だ。
FC事業全体で見れば、順調が続いていると言える。教室数は12.3%増加したが入学者数の伸びはそれを上回る23.9%の伸びを示した。また、1人当たりの受講講座数及び売上単価も上昇している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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