ブイキューブ Research Memo(4):国内Web会議市場でシェア3割超とトップ
[14/10/10]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■会社概要
(3)業界シェア、特色、強み
Web会議サービスそのものは特別な技術力を必要とするものでもなく、比較的容易に参入可能な市場である。そのような市場の中で、ブイキューブ<3681>の特色や強みは以下のような点にある。
●豊富なサービスラインアップ
同社では主力のWeb会議以外にも、オンラインセミナー、営業支援、遠隔教育、遠隔医療(診断)、映像配信、オンラインサポートなどのニーズに対して幅広いサービスを提供している。これらサービスも基本的な技術は「Web会議」と同じであるが、それぞれの分野に合わせて「使い勝手の良さ」「ユーザビリティ」を提供しており、これによって各分野のユーザーからは高い評価を得ている。継続的な開発により、競合他社に対してアドバンテージを獲得しつつある。
2014年5月には、パイオニアソリューションズ(株)(以下、PVC社)を子会社化した。PVC社の主力商品は「電子黒板」であるが、今後は電子黒板やそれに関連したソリューションの売上に加えて、電子黒板と同社が持っているWeb会議やオンラインセミナーのノウハウを組み合わせたソリューションを提供していくことも可能になった。
また、2014年9月1日から、上記のような複数サービス(Web会議、オンラインセミナー、営業支援等)を1つのプラットフォームに組み込んだ「V-Cube One」を発売した。以前から複数のサービスを利用したいとのユーザーの要望は強かったが、これまでの方式ではサービスごとの契約が必要であったことから、複数サービスを利用すると結果として価格(月額契約額)が高くなり、躊躇するユーザーも多かった。しかし「V-Cube One」の投入により、ユーザーは「V-Cube One」の契約をすれば、以前に比べて安価で複数サービスを利用することが可能になる。その一方で、同社にとってはアカウント当たりの平均単価(月額契約額)が高くなるメリットが期待できる。
加えて、10月からはPVCが提供するビジュアルコラボレーションサービス群を新たに「xSync(バイシンク)」ブランドに統一し、「xSync Prime Collaboration」の提供を開始する。「xSync Prime Collaboration」は「海外の生産現場をはじめとした国外の拠点とも、国内と同じように会議や打ち合わせをしたい」という要望に応えたサービスで、国際間においても質の高いビジュアルコラボレーションを実現する。
●海外(アジア)での展開力
同社のサービスは国内だけにとどまらない。各海外拠点のデータセンター間を専用ネットワークで接続するサービスを、アジア中心の10ヶ国(日本、中国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、インド、米国、英国)で提供するとともに、「クラウド」型サービスの多言語(日本語、英語、フランス語、中国語(簡体・繁体)、インドネシア語、タイ語、韓国語)対応、英語対応可能なサポートセンターの拡充など、グローバル展開を図っている。既にこのようなインフラを有していること(先行していること)も同社の強みであろう。
特にアジア地域においては、各国内での通信環境は比較的良好であっても各国間の国際通信回線は不安定な場合が多く、国際間でのTV会議などでは支障が出るケースが多々ある。その点で同社サービスは、専用線を有していることから国際間であっても通信環境が安定しており、ユーザーは安心して同社のWeb会議サービスを利用することができる。
●市場シェアと競合
国内Web会議市場における同社のシェアは約31.4%と推定されており、7年連続でトップとなっている。(図参照)主な競合企業はC社(米国系通信機器大手、シェア17.0%)、N社(国内通信大手、シェア13.9%)、F社(国内通信機器大手、シェア9.2%)となっている。
またアジア太平洋地域(APAC)においても同社のシェアは17.7%と推定され、米国系C社(32.3%)に次いで第2位となっている。
●専門企業としてのサービス提供
上記のように同社の主な競合企業は、大手企業や外資系企業であることから、必ずしも利用者のニーズに合ったサービスを提供できているとは言えない。その一方で、その他競合企業の大部分は国内大手電機メーカー系の子会社が多く、こちらは資金面から十分な投資(サービス提供)ができないことから、必ずしもユーザーが満足するサービスを提供できているとは言い難いようだ。
その点で同社はWeb会議サービス専門会社であることから、顧客ニーズに合わせた新規投資やユーザビリティの改善などを行うことが可能であり、これが同業他社への差別化となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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