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ホットリンク Research Memo(5):3Qの業績は計画を下回る水準

注目トピックス 日本株

■業績動向

(1)2014年12月期の第3四半期の決算動向

ホットリンク<3680>の11月7日付で発表された2014年12月期の第3四半期(2014年1月-9月期)連結業績は、売上高が前年同期比10.2%増の735百万円、営業利益が同17.0%減の93百万円、経常利益が同15.3%減の93百万円、四半期純利益が同26.0%減の40百万円と増収減益の決算になった。

減益要因はSaaS事業、ソリューションサービス事業ともに売上高の伸びが想定を下回るなかで、開発、営業体制の強化により人件費が増加したことが主因となっている。

事業別の売上動向を見ると、SaaS事業の売上高は前年同期比3.8%増の554百万円となった。新規契約については「クチコミ@係長」、「e-mining」ともに順調に獲得できているものの、中堅企業を中心に契約満了に伴う解約数が想定を上回ったことで、全体の契約数は微増にとどまった。大企業での継続率は高いものの、中堅企業ではまだこれらのツールを使いこなせない、また使いこなせたとしても会社の縦割り組織のなかでそれを十分活かしきれず、解約に至るケースが多くみられた。

ソリューションの売上高は、前年同期比38.8%増の175百万円と順調に拡大した。このうちデータプラットフォームは、ソーシャル・ビッグデータの応用領域拡大と、各領域のエンタープライズ・ソフトウェアのソーシャル化が進むなかで、契約数が伸びている。一方、コンサルティング事業についても、大企業を中心にソーシャルメディアの分析ニーズが高まるなかで増加した。ただ、いずれの事業も当初の会社計画と比べると下回る格好となった。

なお、四半期ベースの事業別売上高と営業利益の推移を見ると、直近1年間ではSaaS事業、ソリューション事業ともに売上高が伸び悩んでおり、人件費の増加分が直近2四半期において利益の押し下げ要因となっていることがわかる。現在の主力事業はいずれもストック型のクラウドサービス事業であることから、契約数が前年第3四半期以降は伸び悩んでいることが要因となっているものと推測される。

こうした状況を打開するため、同社では表にみられるとおり、ソーシャル・ビッグデータを利活用する企業との業務提携や、ソーシャル領域における新サービスの投入を第3四半期に入って活発に行っている。

中国の普千との業務提携は、中国市場で事業展開している日本のグローバル企業を対象に、同社グループから中国ソーシャルメディアデータを提供し、普千がそのデータの分析・レポーティング・コンサルティングサービスを提供するスキームとなっている。

また、フィスコ<3807>との業務提携では同社のソーシャル・ビッグデータの分析ノウハウとフィスコの株式分析ノウハウを融合させた新サービスを、フィスコの金融情報コンテンツとして提供していく予定となっている。金融分野においては既に、米国のヘッジ・ファンド会社が投資運用ツールとして活用する動きも出てきており、今後、金融業界での需要も拡大していくことが予想されている。

新サービスとしては、8月に「ソーシャルプロファイリングデータ※」の提供を開始した。広告配信業者がユーザーの興味・関心に基づくターゲティング広告の配信精度を高めたり、企業のCRM活動において、新規顧客開拓のためのレコメンデーションを行う際に、その効果を高めるツールとしての活用が見込まれている。

※ソーシャルメディアの投稿データに基づくユーザーの興味関心や特定ブランドへのロイヤリティーレベルを数値化して顧客に提供するもの。企業や広告配信業者が所有するTwitterユーザー名のリストをホットリンクに送信し、ホットリンクが保有する大量のデータからアカウントごとのプロファイルデータを作成し、顧客に納品するサービス。

また、「ソーシャルエスノグラフィ」は、ホットリンクコンサルティングによるコンサルティングサービスで、特定ユーザーグループのソーシャルメディアへの書き込みデータを元に、そのユーザーグループに特有の価値観やトレンドを把握し、購買行動プロセスの変化のきっかけや理由を導き出す。これにより、事業会社や広告代理店における特定ユーザーグループに向けた商品・サービスの開発、及び効果的な購買促進施策の立案が可能となる。

「コミュニティクラスタ分析」サービスもコンサルティングサービスとなり、生活者のソーシャルメディアへの書き込みデータを元に、つながりの深い生活者同士をコミュニティとして自動分類し、コミュニティごとの態度や興味・関心事、嗜好性を導き出すことを可能にする。これにより、事業会社や広告代理店が、ソーシャルメディア上での広告の反響を特定のターゲットに絞り込んで把握することや、その結果から広告効果を最適化する施策を立案することが可能となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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