システム ディ Research Memo(5):市場の二極化に応じた製品サービス提供を推し進める
[15/02/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■「V&V Business」戦略と中期成長シナリオ
(2)事業環境と「V&V Business」戦略
システムディ<3804>は、自社の事業環境について「3分解」というキーワードで認識している。この意味するところは、同社のターゲット顧客が従来顧客のパッケージユーザーと、より資金的に余裕のある大手勝ち組と、そうでないところに3分解しつつあるということだ。こうした変化が起こっている要因としては、顧客の側の財政事情の変化という側面と、同社自身がターゲット顧客層の範囲を拡大する中で必然的に生ずるという側面の2つがあると考えられる。
同社は、資金力あるいは規模的に見て、いわゆる圧倒的多数を構成していた中間層を対象にパッケージソフトの開発・販売を行う事業モデルを中心に据えてきた。この意図するところは、汎用性の高いパッケージソフトを開発し、カスタマイズを極力削減して販売することで、手離れをよくして高収益性を実現することにあった。この層の顧客はまだまだ数多く存在しており、依然として同社のターゲットであるが、徐々に二極化が進展しつつある事業環境の中で同社のシェアを拡げ、特定領域でのリーダー企業としての地位を確立し、更なる収益機会を拡大するために、従来顧客に対するパッケージ提供に加えて、より資金的に余裕がある規模の大きい顧客層と、反対に小規模で資金も限定的な顧客層とに、それぞれ営業活動を拡大・積極化する方針へと踏み出した。
現在同社が掲げる「V&V Business」はこの新しい事業戦略の名称だ。2つのVはValueとVolumeを表している。Value Businessというのは、資金的に余裕のある顧客に対して価格は高くなるもののカスタムメイドのソフトウェアを提供することで、大規模で複雑な顧客ニーズに対応し高い満足度を提供しようというものだ。一方、Volume Businessというのは、クラウド・サービスの活用によって、初期導入費用や1法人(社)当たりコストの低減を実現し、資金面で業務支援ソフトの導入に二の足を踏む顧客に対して、導入の後押しをしようというものだ。
同社はこの戦略を学園ソリューションやウェルネスソリューションはもちろん、公教育や公会計まで、同社の事業領域全般で適用・実践している。「V&V Business」戦略の実践では、クラウド化が重要なポイントとなるが、同社ではかつてはパッケージソフトとして販売していた業務支援サービスをクラウドでも提供できる体制を、主力製品全般に渡って完了している。
「V&V Business」戦略、特にVolume Business戦略が典型的にフィットするのは、「公教育ソリューション」であると弊社ではみている。公立小中学校は少子化の影響で在校生数が少ない学校が多く、そうした小規模校ではパッケージソフトを導入した場合、生徒1人当たりのコストが割高になってしまう。それに対してクラウド・サービスでは、規模に応じた導入が可能で、初期導入費用も抑えられるため、予算の制約の厳しい公立小中学校でも導入へのハードルはかなり低くなる。同社は公立学校向け主力サービス「School Engine」を、こうした現実を見据えて当初からクラウド型として開発している。目下のところ同様の校務支援サービスでクラウド対応が完了しているのは同社製品だけであり、競争力の高い製品となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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