イグニス Research Memo(1):足元で急激な環境変化、中・大規模アプリの開発に注力
[15/06/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・制作・運営・販売を手掛け、広告収入を主な収益源とする「無料ネイティブアプリ」の提供を中核事業にしている。また、30分無料で漫画コンテンツを楽しむことができる「全巻無料型ハイブリッドアプリ」及び「ネイティブソーシャルゲーム」も展開し、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジションを確立している。特に、日常的に利用する高品質なツール系アプリなどを無料で提供することで、ダウンロード数及びMAU(Monthly Active User)※1の拡大を図ってきたことが同社の成長のけん引役となって来た。国内屈指の約800万MAU(海外を含む。国内73.4%、海外26.6%)を誇る事業基盤及び市場開拓力、高い収益性などを活かして更なる事業拡大を目指す方針である。
※1MAU(Monthly Active User)とは、ある月に1回以上、アプリの利用があったユーザー数(重複も含む)を言う。
2015年9月期第2四半期累計(以下、上期)の業績は、売上高が前年同期比35.7%減の506百万円、営業損失が242百万円(前年同期は営業利益130百万円)と減収及び営業損失に落ち込んだ。今期より、主力の無料ネイティブアプリで、今後の広告収入拡大の足掛かりとして、これまでの小規模アプリ中心から中・大規模アプリ※2の開発への移行を進めているが、その移行期に当たるところに急激な環境変化の影響が重なり、想定内及び想定外の両方の要因が業績の足かせとなった。
※2中・大規模アプリ:同社では開発期間に応じて、無料ネイティブアプリを小規模アプリ(1ヶ月未満)、中規模アプリ(1ヶ月超3ヶ月未満)、大規模アプリ(3ヶ月超)に分類している。
同社は2015年9月期の業績予想について、上期決算の状況及び今後の見通し等を踏まえ、期初会社予想を大幅に減額修正した。修正後の業績予想として、売上高を前期比17.0%減の1,700百万円、営業損失を504百万円(前期は営業利益561百万円)と見込んでいる。「ぼくとドラゴン」の立ち上がりが順調なネイティブソーシャルゲームが伸長するものの、無料ネイティブアプリと全巻無料型ハイブリッドアプリが大きく縮小する見通しとなっている。ただ、無料ネイティブアプリの減額修正には、更新型※3を軸とする中・大規模アプリのライフタイムの長期化を目的として、収益貢献のタイミングを後倒しに見直したことも影響しており、この点においては来期以降の業績の伸びに寄与するものと捉えることができる。
※3更新型:1ヶ月に数回程度の新機能の追加及び不具合の調整、安定性の向上などのアップデートを行うアプリのこと
同社は2010年5月の設立以来、「小さく産んで大きく育てる」という開発方針のもと、ヒットアプリを多数輩出することで急速に事業基盤を拡大してきたが、これまでのステージをノウハウ蓄積のための期間と位置付けており、本格的な成長はこれからだと考えている。これまで積み上げてきた事業基盤及びノウハウを活かし、海外展開を含め、各事業の拡大を図る方針である。無料ネイティブアプリのコミュニケーション領域とネイティブソーシャルゲームを今後の注力分野としている。
足元での急激な環境変化が業績拡大の足かせとなっているが、だからこそ、中・大規模アプリへ移行する方向性は妥当と評価できる。あとは、目に見える形で成果を示すことが信頼を取り戻すカギとなろう。中・大規模アプリの開発状況に加えて、リリース後のKPIの推移に注目していきたい。
■Check Point
・8,200万DLと800万MAUを誇るアプリ企業
・広告・課金・ハイブリッドと厚みのある収益基盤、70%以上が10万DLを超えるヒットアプリ
・今期は来期以降につながる政策判断を優先
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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※1MAU(Monthly Active User)とは、ある月に1回以上、アプリの利用があったユーザー数(重複も含む)を言う。
2015年9月期第2四半期累計(以下、上期)の業績は、売上高が前年同期比35.7%減の506百万円、営業損失が242百万円(前年同期は営業利益130百万円)と減収及び営業損失に落ち込んだ。今期より、主力の無料ネイティブアプリで、今後の広告収入拡大の足掛かりとして、これまでの小規模アプリ中心から中・大規模アプリ※2の開発への移行を進めているが、その移行期に当たるところに急激な環境変化の影響が重なり、想定内及び想定外の両方の要因が業績の足かせとなった。
※2中・大規模アプリ:同社では開発期間に応じて、無料ネイティブアプリを小規模アプリ(1ヶ月未満)、中規模アプリ(1ヶ月超3ヶ月未満)、大規模アプリ(3ヶ月超)に分類している。
同社は2015年9月期の業績予想について、上期決算の状況及び今後の見通し等を踏まえ、期初会社予想を大幅に減額修正した。修正後の業績予想として、売上高を前期比17.0%減の1,700百万円、営業損失を504百万円(前期は営業利益561百万円)と見込んでいる。「ぼくとドラゴン」の立ち上がりが順調なネイティブソーシャルゲームが伸長するものの、無料ネイティブアプリと全巻無料型ハイブリッドアプリが大きく縮小する見通しとなっている。ただ、無料ネイティブアプリの減額修正には、更新型※3を軸とする中・大規模アプリのライフタイムの長期化を目的として、収益貢献のタイミングを後倒しに見直したことも影響しており、この点においては来期以降の業績の伸びに寄与するものと捉えることができる。
※3更新型:1ヶ月に数回程度の新機能の追加及び不具合の調整、安定性の向上などのアップデートを行うアプリのこと
同社は2010年5月の設立以来、「小さく産んで大きく育てる」という開発方針のもと、ヒットアプリを多数輩出することで急速に事業基盤を拡大してきたが、これまでのステージをノウハウ蓄積のための期間と位置付けており、本格的な成長はこれからだと考えている。これまで積み上げてきた事業基盤及びノウハウを活かし、海外展開を含め、各事業の拡大を図る方針である。無料ネイティブアプリのコミュニケーション領域とネイティブソーシャルゲームを今後の注力分野としている。
足元での急激な環境変化が業績拡大の足かせとなっているが、だからこそ、中・大規模アプリへ移行する方向性は妥当と評価できる。あとは、目に見える形で成果を示すことが信頼を取り戻すカギとなろう。中・大規模アプリの開発状況に加えて、リリース後のKPIの推移に注目していきたい。
■Check Point
・8,200万DLと800万MAUを誇るアプリ企業
・広告・課金・ハイブリッドと厚みのある収益基盤、70%以上が10万DLを超えるヒットアプリ
・今期は来期以降につながる政策判断を優先
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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