イグニス Research Memo(2):8,200万DLと800万MAUを誇るアプリ企業
[15/06/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・制作・運営・売却を手掛けており、広告収入を収益源とする無料ネイティブアプリを中核とする。「次のあたりまえを創る。何度でも」をビジョンに掲げ、日常的に利用する様々な高品質なアプリを提供し、ダウンロード数及びMAUの拡大を図ってきたことが同社の成長をけん引してきた。2015年3月末現在のダウンロード累計数は8,200万DL(ダウンロード)を超え、無料ネイティブアプリのMAUも約800万(海外を含む)を誇っている。
ネイティブアプリは、App Store 及びGoogle Play等のプラットフォームを通じてスマートフォンユーザーに提供されているが、同社はスマートフォンアプリ事業を収益モデル別に、「無料ネイティブアプリ」「全巻無料型ハイブリッドアプリ」「ネイティブソーシャルゲーム」の3つのジャンルに分類している。2014年9月期においては、無料ネイティブアプリが売上高の約70%を占めるとともに、安定収益源として同社の収益基盤を支えている。
各事業の特徴は以下のとおりである。
(1)無料ネイティブアプリ(広告収入モデル)
このモデルは無料で提供するアプリ内に広告を掲載することで、広告主からの広告収入を収益源とする。したがって、ダウンロード数及びMAUを増やすことが広告収入の拡大に結び付く。スマートフォンの使い勝手及び日常生活の利便性を高めるツール系アプリのほか、エンターテインメント系アプリ、カジュアルゲーム系アプリなど、様々なジャンルのアプリを展開している。無料ながら有料アプリと同等の品質を保証していることに加え、利便性の追求、パンダのオリジナル人気キャラクター「だーぱん」の活用などがユーザーからの評価を高め、ダウンロード数及びMAUの拡大につながっている。また、同社の得意分野であるツール系アプリは、基本的に3ヶ月程度の短命で終わるカジュアルゲーム系と違って、長期使用を前提としたユーザー積み上げ型であり、同社の事業基盤の支えとなっている。今後は、コミュニケーション系の中・大規模アプリの開発に注力する方針であり、更なるユーザー数の積み上げとライフタイムの長期化を図っていく。
(2)全巻無料型ハイブリッドアプリ(広告収入+課金収入モデル)
このモデルはコンテンツの公開期間中、毎日30分無料で漫画コンテンツをお試しできるところに特徴がある。継続して漫画コンテンツを読みたいユーザーは課金購入することで続きを楽しむことができ、広告収入と課金収入を合わせた収益モデルとなっているため、ハイブリッドアプリと呼称している。2014年9月期の第4四半期からは複数作品を1アプリにまとめたストア型アプリを開始した。ユーザーにとっては1回のダウンロードで複数の漫画コンテンツ(現在は4作品)を同時に読むことができる一方、同社にとっても1ユーザー当たりの収益の最大化を図ることが可能となる。ただ、有力作品の配信許諾を多数獲得するなど、当該事業モデルにおいては優位性を維持しているものの、無料コミックアプリの一般化に伴う利用者の嗜好変化及び競争激化に直面している。そのため、事業モデルの転換及び少年漫画以外のジャンルへの横展開のほか、韓国などアジア市場の開拓などで立て直しを目指す※。
※同社は2015年6月15日に、子会社イグニッションを通じて、コミックス全巻無料型ハイブリッドアプリを韓国市場にて提供開始したことを発表。第1弾として、(株)集英社の許諾のもと、DCW,inc.(本社:ソウル特別市)がデジタル配信している「DEATH NOTE」「テニスの王子様」などの作品の韓国語版を収録している。
(3)ネイティブソーシャルゲーム(課金収入モデル)
このモデルはアイテム課金を基本とするネイティブソーシャルゲームを提供している。ソーシャルゲームは他のユーザーとコミュニケーションを取りながらプレイするオンラインゲームである。開発本数を一定数に絞り込むことで品質の高いゲームを提供するという方針のもと、2013年5月にリリースした「神姫覚醒!!メルティメイデン」がヒット作品になった(ただし、2014年9月に売却)。今期は、2作品目となる「ぼくとドラゴン」の配信を開始(Android版が2月20日、iOS版が3月12日)していて、順調な立ち上がりをみせている。
同社グループは、2015年3月末現在、連結子会社6社及び関連会社1社で構成される。連結子会社には、無料ネイティブアプリの企画・制作・運営・売却を行う(株)アイビー、スワッグアップ(株)、IGNIS AMERICA,INC.(米国子会社)のほか、全巻無料型ハイブリッドアプリの企画・制作・運営・売却を行う(株)イグニッション、ネイティブソーシャルゲームの企画・制作・運営・売却を行う(株)スタジオキング、新しい視点でSNSを展開するALTR THINK(株)(2014年10月に買収)がある。
同社は各連結子会社を通じて、ゲーム及び非ゲームの領域で、広告収入及び課金収入の両方の収益モデルを手掛けており、専業への特化及び単一の収益モデルに依存しがちな同業他社と比較すると、IT上場企業では特殊なポジショニングをとっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・制作・運営・売却を手掛けており、広告収入を収益源とする無料ネイティブアプリを中核とする。「次のあたりまえを創る。何度でも」をビジョンに掲げ、日常的に利用する様々な高品質なアプリを提供し、ダウンロード数及びMAUの拡大を図ってきたことが同社の成長をけん引してきた。2015年3月末現在のダウンロード累計数は8,200万DL(ダウンロード)を超え、無料ネイティブアプリのMAUも約800万(海外を含む)を誇っている。
ネイティブアプリは、App Store 及びGoogle Play等のプラットフォームを通じてスマートフォンユーザーに提供されているが、同社はスマートフォンアプリ事業を収益モデル別に、「無料ネイティブアプリ」「全巻無料型ハイブリッドアプリ」「ネイティブソーシャルゲーム」の3つのジャンルに分類している。2014年9月期においては、無料ネイティブアプリが売上高の約70%を占めるとともに、安定収益源として同社の収益基盤を支えている。
各事業の特徴は以下のとおりである。
(1)無料ネイティブアプリ(広告収入モデル)
このモデルは無料で提供するアプリ内に広告を掲載することで、広告主からの広告収入を収益源とする。したがって、ダウンロード数及びMAUを増やすことが広告収入の拡大に結び付く。スマートフォンの使い勝手及び日常生活の利便性を高めるツール系アプリのほか、エンターテインメント系アプリ、カジュアルゲーム系アプリなど、様々なジャンルのアプリを展開している。無料ながら有料アプリと同等の品質を保証していることに加え、利便性の追求、パンダのオリジナル人気キャラクター「だーぱん」の活用などがユーザーからの評価を高め、ダウンロード数及びMAUの拡大につながっている。また、同社の得意分野であるツール系アプリは、基本的に3ヶ月程度の短命で終わるカジュアルゲーム系と違って、長期使用を前提としたユーザー積み上げ型であり、同社の事業基盤の支えとなっている。今後は、コミュニケーション系の中・大規模アプリの開発に注力する方針であり、更なるユーザー数の積み上げとライフタイムの長期化を図っていく。
(2)全巻無料型ハイブリッドアプリ(広告収入+課金収入モデル)
このモデルはコンテンツの公開期間中、毎日30分無料で漫画コンテンツをお試しできるところに特徴がある。継続して漫画コンテンツを読みたいユーザーは課金購入することで続きを楽しむことができ、広告収入と課金収入を合わせた収益モデルとなっているため、ハイブリッドアプリと呼称している。2014年9月期の第4四半期からは複数作品を1アプリにまとめたストア型アプリを開始した。ユーザーにとっては1回のダウンロードで複数の漫画コンテンツ(現在は4作品)を同時に読むことができる一方、同社にとっても1ユーザー当たりの収益の最大化を図ることが可能となる。ただ、有力作品の配信許諾を多数獲得するなど、当該事業モデルにおいては優位性を維持しているものの、無料コミックアプリの一般化に伴う利用者の嗜好変化及び競争激化に直面している。そのため、事業モデルの転換及び少年漫画以外のジャンルへの横展開のほか、韓国などアジア市場の開拓などで立て直しを目指す※。
※同社は2015年6月15日に、子会社イグニッションを通じて、コミックス全巻無料型ハイブリッドアプリを韓国市場にて提供開始したことを発表。第1弾として、(株)集英社の許諾のもと、DCW,inc.(本社:ソウル特別市)がデジタル配信している「DEATH NOTE」「テニスの王子様」などの作品の韓国語版を収録している。
(3)ネイティブソーシャルゲーム(課金収入モデル)
このモデルはアイテム課金を基本とするネイティブソーシャルゲームを提供している。ソーシャルゲームは他のユーザーとコミュニケーションを取りながらプレイするオンラインゲームである。開発本数を一定数に絞り込むことで品質の高いゲームを提供するという方針のもと、2013年5月にリリースした「神姫覚醒!!メルティメイデン」がヒット作品になった(ただし、2014年9月に売却)。今期は、2作品目となる「ぼくとドラゴン」の配信を開始(Android版が2月20日、iOS版が3月12日)していて、順調な立ち上がりをみせている。
同社グループは、2015年3月末現在、連結子会社6社及び関連会社1社で構成される。連結子会社には、無料ネイティブアプリの企画・制作・運営・売却を行う(株)アイビー、スワッグアップ(株)、IGNIS AMERICA,INC.(米国子会社)のほか、全巻無料型ハイブリッドアプリの企画・制作・運営・売却を行う(株)イグニッション、ネイティブソーシャルゲームの企画・制作・運営・売却を行う(株)スタジオキング、新しい視点でSNSを展開するALTR THINK(株)(2014年10月に買収)がある。
同社は各連結子会社を通じて、ゲーム及び非ゲームの領域で、広告収入及び課金収入の両方の収益モデルを手掛けており、専業への特化及び単一の収益モデルに依存しがちな同業他社と比較すると、IT上場企業では特殊なポジショニングをとっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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