テクマトリックス Research Memo(1):新中期経営計画を発表、営業利益は倍増の23.5億円へ
[15/06/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
情報インフラの構築とアプリケーション・サービスのテクマトリックス<3762>は5月8日、2015年3月期連結決算を発表した。売上高は過去最高を更新した。営業利益も主力の1つである医療分野におけるクラウド化というビジネスモデルの転換に伴う一時的な減益要因があったにも関わらず、他の分野が着実に収益を上げた結果、増益を達成した。経常利益・当期純利益は減益となったが、経常利益は投資事業組合の運用損、当期純利益は本社移転に伴う費用の前倒し計上によるもので、一時的な要因と言える。
受注は堅調で、情報インフラ構築の情報基盤事業はセキュリティ分野、アプリケーション・サービス事業は医療分野が特に拡大している。これら分野はいずれも今後の成長のけん引役と位置付けられている領域であり、IT分野のクラウド化に伴う構造改革の到達点である「次世代のITサービスクリエイター」及び「次世代のITサービスプロバイダー」への変革が着実に進んでいることがうかがえる。
さらにトピックスとして、商社を母体とした企業ならではの“目利き力”を活かしたアライアンスが多数、実現した。独自技術を持つ海外企業との代理店契約締結を進めた。マイナンバー制度導入後の普及が期待できる医療分野でプラットフォームを提供していくという新たなアライアンス戦略を打ち出した点も見逃せない。また、アライアンスばかりでなく、コンタクトセンター向けの次世代CRMシステム「FastHelp5」や、くすり相談室専用CRMシステムの新バージョン「FastHelp Pe」といった自社製品もリリースし、顧客から高い評価を受けた。
2016年3月期の業績予想は、これら好調な受注拡大や積極的な戦略による収益の増大と、医療分野における一時的な減益要因が減少することにより、前期比2ケタの増収・増益を予想している。
さらに、同社はこのほど、2018年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定した。目標数値では、営業利益は2015年3月期に比べて倍増するなど、意欲的な内容になっている。一方で、戦略には「クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進」とクラウド化を進展させるための中核的な技術である「セキュリティ&セイフティの追求」の2本柱を掲げ、「次の30年に向けた土台固めと方向付け」という大きな方向性が示されている。
3年後と30年後の両方を見据えた経営計画になったのには訳がある。経営計画の目標数値と言えば、経営側の意欲が先行しがちだが、今回の目標数値は各事業部が達成可能と判断した見積りを提出し、経営サイドがまとめたもので、現場サイドが事実上の数値計画を作成している。経営陣が作成したのは超長期的な戦略部分であり、それに沿って現場が“達成可能”とした数値が出されたのである。
中期経営計画の発表により、投資家は長期的な観点からも同社を分析できる資料を得たと考えられる。今後は、この進捗に注目しながら、長期的な視点からの投資が今まで以上に求められよう。
■Check Point
・クラウドサービスのプラットフォームを提供、マイナンバーへの対応を視野
・今期は大幅増収増益を予想、配当も2円増の17円へ
・ストックビジネスが拡大、利益率はさらに上昇へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
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受注は堅調で、情報インフラ構築の情報基盤事業はセキュリティ分野、アプリケーション・サービス事業は医療分野が特に拡大している。これら分野はいずれも今後の成長のけん引役と位置付けられている領域であり、IT分野のクラウド化に伴う構造改革の到達点である「次世代のITサービスクリエイター」及び「次世代のITサービスプロバイダー」への変革が着実に進んでいることがうかがえる。
さらにトピックスとして、商社を母体とした企業ならではの“目利き力”を活かしたアライアンスが多数、実現した。独自技術を持つ海外企業との代理店契約締結を進めた。マイナンバー制度導入後の普及が期待できる医療分野でプラットフォームを提供していくという新たなアライアンス戦略を打ち出した点も見逃せない。また、アライアンスばかりでなく、コンタクトセンター向けの次世代CRMシステム「FastHelp5」や、くすり相談室専用CRMシステムの新バージョン「FastHelp Pe」といった自社製品もリリースし、顧客から高い評価を受けた。
2016年3月期の業績予想は、これら好調な受注拡大や積極的な戦略による収益の増大と、医療分野における一時的な減益要因が減少することにより、前期比2ケタの増収・増益を予想している。
さらに、同社はこのほど、2018年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定した。目標数値では、営業利益は2015年3月期に比べて倍増するなど、意欲的な内容になっている。一方で、戦略には「クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進」とクラウド化を進展させるための中核的な技術である「セキュリティ&セイフティの追求」の2本柱を掲げ、「次の30年に向けた土台固めと方向付け」という大きな方向性が示されている。
3年後と30年後の両方を見据えた経営計画になったのには訳がある。経営計画の目標数値と言えば、経営側の意欲が先行しがちだが、今回の目標数値は各事業部が達成可能と判断した見積りを提出し、経営サイドがまとめたもので、現場サイドが事実上の数値計画を作成している。経営陣が作成したのは超長期的な戦略部分であり、それに沿って現場が“達成可能”とした数値が出されたのである。
中期経営計画の発表により、投資家は長期的な観点からも同社を分析できる資料を得たと考えられる。今後は、この進捗に注目しながら、長期的な視点からの投資が今まで以上に求められよう。
■Check Point
・クラウドサービスのプラットフォームを提供、マイナンバーへの対応を視野
・今期は大幅増収増益を予想、配当も2円増の17円へ
・ストックビジネスが拡大、利益率はさらに上昇へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
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