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ダイキアクシス Research Memo(11):海外事業はインドネシアを起点とし、大型浄化槽を中心に展開

注目トピックス 日本株
■中期経営計画

(4)海外市場の開拓

ダイキアクシス<4245>の海外市場の開拓は、前身のダイキが1991年に中国・大連市に子会社、大連大器環保設備有限公司(現 大器環保工程(大連)有限公司)を設立したことに遡る。同子会社は、2006年に同社の100%子会社となった。2002年には、三菱レイヨン(株)と合弁で大連麗陽環保機器有限公司を設立した。販売拠点を大連と上海に置き、中国全土をカバーしている。中国では、かつて部品を製造していたが、現地の人件費が高騰したため中止した。

2013年10月に、インドネシアのPT.BESTINDO AQUATEK SEJAHTERA(現 PT. DAIKI AXIS INDONESIA)社を買収し、連結子会社とした。東南アジア地域の橋頭堡を獲得した。その後、同子会社を増資し、ジャカルタ近郊に約6億円を投入して新工場を建設した。

同社がアジア市場でターゲットとしている国は、子会社を置くインドネシアと近隣のベトナム、ミャンマーとマレーシアになる。ベトナムとマレーシアは、生活排水処理規制の基準が高く、同社技術が使われる浄化槽の市場性を確認している。

いずれの国も、人口増加と経済発展による都市化率の上昇がみられる。インドネシアの1人当たりGDPは、1990年の641ドルから2010年に2,947ドルへ、2014年は3,533ドルまで増加した。同期間のベトナムの数値は、98ドル、1,334ドル、2,052ドルと急成長した。マレーシアの1人当たりGDPは、2014年に1万ドルを突破した。

インドネシアの2013年の人口は、1990年比4割近く増加し約2億5千万人となった。都市人口の割合は、1990年の31%から2013年に52%へ上昇した。同期間におけるベトナムの人口は、36%増の9,971万人へ、都市人口比率は20%から32%へ増加した。マレーシアは、人口が約5割増の2,972万人へ、都市人口比率は50%から73%へ高まった。

未処理のし尿は、コレラ、腸チフス、赤痢などの水系伝染病の感染源となる。水質汚濁の防止を進めるアジア13ヶ国のパートナーシップ事業である「アジア水環境パートナーシップ(WEPA)」は、し尿処理に関する取組みを促進した。しかし、生活雑排水による水環境の汚濁負荷も相当量に上るため、生活排水処理はし尿処理と併せて推進されるべきだという方針が打ち出された。アジア諸国は、人口増加と経済発展とともに取水量が増加の一途をたどり、排水処理が追いつかず、水質汚濁などの環境汚染に直面している。インドネシアは、都市や人口密集地域で水質汚濁が深刻な問題になっている。

インドネシア政府は、2015年1月にインフラ開発5ヶ年計画をまとめた。総事業費は、約51兆5千億円になる。ガソリン補助金の撤廃や燃料補助金を圧縮する一方、インフラ開発投資を拡充する。投資許可の窓口を集約し、着工までの期間を短縮するなどの投資促進策も打ち出す。

同社は、近隣諸国への輸出も念頭に入れ、インドネシアの新工場の生産能力を以前の5倍に増強した。同時に、新規生産設備の導入により自動化を進め、生産性を向上させた。製品面では、1年中温暖な東南アジアでは低温時の対策が不要であることから、機能を絞り込んで製造コストを約3割削減した。合併浄化槽を利用する住居、ビル、工場、商業施設の個別処理システムがターゲットになる。まずは、現地に進出している日系企業を攻略する。2015年4月に、東京本社に海外展開を促進する特需事業本部を設置した。2015年8月に、同社のグループ会社であることを明確にするため、子会社の商号を「PT.DAIKI AXIS INDONESIA」に変更した。

2015年末に、ASEAN(東南アジア諸国連合)経済共同体が発足する。これまでASEANの自由貿易地域は、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ブルネイの6ヶ国に限定されている。それが、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアなどのメコン経済圏にも域内関税撤廃が拡大することになる。同社が、インドネシアに生産拠点を有する強みが、今後発揮されよう。

マーケティング活動は、現地と日本からの両面戦略をとっている。インドネシアの子会社は、現地企業を買収したためローカルな販売チャネルを有する。東京本社は、現地に進出している日系企業への働きかけや政府の支援策を活用する。

環境省は、2013年度より政府の成長戦略の一環として日本企業のアジア水ビジネス市場進出を支援する「アジア水環境改善モデル事業」を実施している。水質汚濁が深刻化しているアジア諸国の水環境改善に関連した、日本企業による実現可能性調査や現地実証試験の実施等を支援する。モデル事業を通じて把握した事業化の課題等を、今後の海外ビジネス展開促進のための施策に反映させる。

2014年度に、公益財団法人 日本環境整備教育センター、(株)極東技工コンサルタントと同社の3社が提案した「マレーシアにおける浄化槽整備による生活排水処理事業」(浄化槽モデル)が採択された。同社は、メーカーとしての役割を担う。マレーシアでは、急速な都市化に伴い、生活排水による河川の水質汚濁が進行している。既設のセプティックタンク(腐敗槽)は、汚水のみで生活排水の処理ができない。同プロジェクトは、日本の技術である汚水・生活排水の両方を処理する浄化槽で老朽化したコミュニティ・セプティックタンク(CST)を更新し、地域の衛生環境及び水環境の改善に貢献するというもの。日本企業と現地企業が協力し、浄化槽によるCSTの更新ビジネスを展開する。それと並行して、商用施設を対象とした浄化槽ビジネスも想定している。浄化槽の単品販売ではなく、このようなメンテナンスやチェック機能を含むパッケージを提供するビジネスモデルが確立できれば、事業展開がスムーズに行えることになろう。

海外売上高は、2014年12月期の559百万円から2015年12月期に656百万円が予想されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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