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システム ディ Research Memo(6):新公会計への移行が「PPP」の拡販の大きなチャンスに

注目トピックス 日本株
■業績見通し

(2)中期業績見通しの考え方

2017年10月期以降の業績動向を考える上では、公会計ソリューション事業が大きくその動向を左右してくると弊社では考えている。そこで以下では、公会計ソリューション事業について詳しく考えてみたい。

a)新公会計導入のこれまでの経緯
地方公共団体を対象とする公会計については、現行の単式簿記による現金主義会計の仕組みに変えて、複式簿記による発生主義会計の仕組みを導入し、財政の透明性を高める制度改革が行われている。総務省はこの新公会計への移行完了期限を2018年3月末まで(すなわち、2017年度中)としている。システムディ<3804>は、このスケジュールから逆算して、地方自治体による新公会計ソフトウェアの導入が2015年度から本格化すると想定していた。これに基づき同社は、2015年10月期の下期において同社の公会計ソフト「PPP」の販売が急伸し業績が拡大することを中期経営計画の業績計画に織り込んでいた。

ところが、2015年度に入ってから総務省が公会計改革に使用するソフトウェアを無償提供するスケジュールを発表し、そのリリースを待つために市場が一斉に買い控えの状況になった。また、その開発と提供を委託されたJ-LIS(地方共同法人 地方公共団体情報システム機構)が当初予定通りにリリースできなかったこともあり、これらの経緯が公会計ソフトの市場環境を停滞させてしまうことになった。

b)システムディ製品「PPP」の市場性
同社は新公会計への移行に伴い「PPP」の拡販を大きなビジネスチャンスと捉えている。しかし一方で、総務省がJ-LISを介して、地方自治体への新公会計ソフトの無償提供を計画していることは前述のとおりだ。「PPP」とJ-LISの無償ソフトとは言わば競合の関係にあり、同社の「PPP」拡販戦略が思惑どおり進むのかという懸念を抱く向きもあるだろう。

結論から言えば、同社の「PPP」拡販戦略が成功する可能性は十分にあるというのが弊社の見解だ。J-LISが無償で提供するとしているソフトウェアは、いわゆるアプリケーションソフトの部分だけを対象としている。自治体が新公会計システムを導入するうえでは、会計のアプリケーションソフトだけでは不十分で、データベースソフトなどミドルウェアと呼ばれる部分や、パソコンなどのハードウェア、さらには、保守・サポートなどが必要となってくる。新会計システム全体で考えた場合、アプリケーションソフトについてJ-LIS提供の無料ソフトを利用するにせよ、それ以外の分野では費用が発生することになる。

同社が提供する「PPP」は会計アプリケーションソフトのほかに、データベース、パソコン、サポートなど必要なものがパッケージ化されている。現状、同社には400を超える地方自治体から見積もり依頼が来ている。同社がオファーする見積価格は、J-LISの無償提供ソフトに各自治体が自前でハードウェアやミドルウェアなどを調達した場合の想定トータルコストと比較して、十分に競争力がある水準とみられる。

c)収益貢献シミュレーション
「PPP」の販売対象は全国1,789の地方自治体と、約1,300と言われる一部事務組合(地方自治体が共同で清掃、消防などの行政サービスのために設置した組織)だ。同社は総計で1,500の地方自治体・一部事務組合の顧客化を目標としている。

2015年10月末迄の「PPP」販売実績は累計で191本だった。今後、同社が目指す1,500本の販売が達成されるとして、残りの約1,300本の収益計上タイミングをどう見るかが1つのポイントとなる。もう1つの留意すべき点は、収益モデルだ。同社の「PPP」はパッケージソフトとして販売され、2年目以降は保守・メンテナンスのサービス収入がストック型収入として計上されることになる。

収益貢献について弊社では、2018年3月までに新公会計への移行完了という総務省が掲げるスケジュール目標が1年先送りされるということをメインシナリオとして考えている。その結果、同社の「PPP」は2016年10月期400本、2017年10月期500本、2018年10月期400本と想定した。この想定どおりに進めば、同社の業績は2018年10月期にかけて、右肩上がりで推移する可能性が高いと考えられる。

サブシナリオとしては、総務省が以降スケジュールを変更しない場合が考えられる。この場合は2016年10月期と2017年10月期の2年間で1,300本を販売することになるため、収益が急拡大することが期待される。しかしその一方で、2018年10月期には反動減の影響が出るリスクも高まることになる点には注意が必要だ。

具体的な収益インパクトを予想するのは難しい。アプローチ法の1つとして、2015年10月期と2016年10月期の収益増加分と公会計ソリューション事業での「PPP」拡販分と重ね合わせるということが考えられる。公会計関連ビジネスでは、「PPP」販売に応じて保守・サポートなどのストック収入の増大が伴うと見られる点には留意が必要だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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