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メディア工房 Research Memo(9):収益形態の多様化を図る

注目トピックス 日本株
■成長戦略

メディア工房<3815>の成長戦略の方向性は、(1)コアコンピタンスの強化、(2)ゲーム事業及び新規事業の拡大。(3)アジア圏を中心とした世界展開の推進により、世界を代表する総合デジタルコンテンツ企業を目指すところにある。

なお、同社は、今期(2016年8月期)の第1四半期会計期間より、報告セグメントを従来の「コンテンツ事業」、「O2O事業」、「その他事業」の3区分から、「占いコンテンツ事業」、「ゲームコンテンツ事業」及び「その他事業」の3区分に変更した。その目的は、主にゲームコンテンツ事業の事業展開を加速することを見据えたものであると捉えることができる。

(1)コアコンピタンスの強化

同社のコア事業である占い事業は、ヘビーユーザーを中心とした根強い人気により底堅い推移をしてきたが、ライトユーザーを含めたターゲット層の拡大や配信網の拡充により集客力を高めるとともに、広告収益モデルなどの収益形態の多様化を図ることで、名実ともに占い分野における国内No1.のシェア獲得を目指している。また、海外向けについても、Apple社からの依頼により製作した世界対応占いアプリ「LuCKY 4 LeAF(仮)」を自社ブランド「OBOKAID’EM」から世界同時配信することを決定(2015年11月26日に配信済み)し、海外展開を本格的に開始した。今後も、ゲーム分野で培ったノウハウを活かして、占い分野の世界展開を進めていく方針である。

(2)ゲーム事業及び新規事業の拡大

ゲーム事業は自社ブランド「OBOKAID’EM」によるタイトル数の拡大に注力する。最後発ならではの既存セオリーの枠にとらわれない事業展開を目指しており、「多言語対応・マルチプラットフォーム・世界同時配信」により続々と新規タイトルをリリースすることで、大きなヒットタイトルがなくても着実なヒットを積み上げていく方針である。また、無料化の流れが加速する中で、アプリ内課金と広告収益の組み合わせによるハイブリッド型収益モデルの確立のほか、広告収入の多様化にも取り組む。また、2014年10月に連結子会社化したブルークエストについては、ブラウザゲームのパブリッシングに特化して、海外パートナー(デベロッパー)との豊富なネットワークにより有力コンテンツを国内に輸入する事業を展開する。ブラウザゲームはネイティブアプリに押されてきたものの、別の見方をすれば、競争の厳しいネイティブアプリに比べてエアポケットのような状況となっており、安定した市場と捉えることもできる。

一方、新規事業については、O2O事業を軸として既存事業とのシナジー効果の見込める分野で様々な可能性を探っていく方針である。特に、ターゲット層の重なる分野への参入により既存事業との相互送客を狙うことはもちろん、非占いユーザーを取り込むことで裾野の拡大にも注力する戦略である。(新規事業の一環としてアイドルクラウドファンディングを現在開始している。)

(3)アジア圏を中心とした世界展開の推進

世界展開の推進においては、手始めに日本と親和性があるアジア圏を中心に事業を展開していく方針である。具体的には、「OBOKAID’EM」の世界展開の本格化をはじめ、自社拠点型ではなく地域に密着したパートナーとアライアンスを組むことで、その地域にマッチングしたサービス提供を目指している。

特に、市場の大きな中国進出を目指しているが、通常のプラットフォームだけでは難しい独自の市場を形成していることから、これまで関係性を築いてきた韓国からの参入を図る戦略である。その一環として、2015年8月には、韓国国内企業との関係性を強めるべく、韓国子会社MKBコリアが韓国VCであるCKホールディングスに対して第三者割当増資を実施した(本件により同社100%子会社から50%所有の関係会社となった)。さらに、2015年11月には、韓国上場企業であるCNPLUS Co.,Ltd(主にコンテンツ事業を展開)の株式取得のため、再度、同社及びCKホールディングスに対して第三者割当増資を実施した(同額を引き受けたため同社とCKホールディングスの持分比率は変わらず)。韓国及び中国展開を本格的に開始するための布石と考えられる。

弊社では、ゲーム事業の進展のほか、アプリ内課金と広告収益を組み合わせたハイブリッド型収益モデルの確立、中国を中心とした世界展開が同社の中長期的な成長をけん引するものとみており、今後の進捗に注目していきたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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