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デリカフーズ Research Memo(4):取引シェア拡大と新顧客獲得が計画を上回り業績見通しを上方修正

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

(1) 2016年3月期業績見通し

デリカフーズ<3392>の第3四半期までの進捗状況を踏まえて、同社は2016年3月期業績の上方修正を発表している。売上高は前期比10.5%増の31,000百万円(期初計画比1,400百万円増)、営業利益が同10.2%減の670百万円(同97百万円増)、経常利益が同10.5%減の685百万円(同105百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.1%減の420百万円(同70百万円増)となる見通しだ。

売上高については既存顧客での取引シェア拡大と新規顧客の獲得が計画を上回るペースで進んでいるのが要因だ。また、利益面に関しては第2四半期までの出遅れ分を第3四半期でカバーできたことに加え、当初2016年3月期中の開設を見込んでいた西東京FSセンターと名古屋FSセンターの開設時期が2017年3月期以降にずれ込み、計画に織り込んでいた立ち上げ費用(約90百万円)が来期以降にズレ込むことも上乗せ要因となっている。西東京FSセンターの開設時期は2016年5月、名古屋FSセンターは2018年4月にそれぞれ変更となっている。開設時期が変更となった理由は、建築コストの上昇により施工業者や設計等の再検討を行ったことによるものである。

第4四半期(2016年1月−3月)だけで見ると売上高は前年同期比4.6%増の7,324百万円、営業利益は同50.1%減の78百万円と再び減益に転じる見通しとなっているが、保守的な印象が強い。売上面では1月も好調に推移したもようで、第3四半期の8,131百万円から大きく落ち込む要素はない。また、利益面では第3四半期が383百万円だったことから、304百万円減少する計算となる。このうち、売上の減収に伴う総利益の減少で200百万円(総利益率25%と仮定)とすれば、残り100百万円が販管費の増加(株主優待関連費用30百万円、人件費他70百万円)によるものとなる。このため2月以降、野菜の調達状況など再び悪化するようなことがなければ、売上、利益ともに若干の上積みは可能と弊社では見ている。

(2)今後の戦略

○加熱野菜、キット野菜の本格量産を開始
昨今、外食業界では人手不足が慢性化する状況にあるが、こうした顧客の経営課題を解決するソリューションとして、加熱野菜の本格量産を新たに開設する西東京FSセンターで開始する。加熱野菜とはカット野菜からさらに加工を加えた商品で、カット野菜を加熱したり下味をつけたりしながら、真空パッケージにして顧客に販売するものだ。顧客側からすれば、調理時間が短くなることで現場スタッフの労力軽減につながるだけでなく、今までは時間の制約などで提供できなかった新たなメニューの開発が可能になるといったメリットが期待できる。

同社では既に20社以上の大手外食企業に対して、各社ごとに合わせたメニュー提案等のプレゼンテーションを行っているが、関心度も非常に高いと言う。外食業界の人手不足と言う課題を解消するだけでなく、野菜をより使いやすい形で提供することにより、野菜の1人当たり消費量も今まで以上に増加することが期待される。今回、西東京FSセンターにて最新の設備を導入し本格量産を開始するが、今後は奈良FSセンターや名古屋FSセンターでも量産設備を導入していく予定となっており、同商品の拡大によって更なる市場シェアの上昇が見込まれる。

また、野菜にタレやソースなどを加えたキット野菜の需要が量販店の惣菜店売場を中心に伸びていることから、キット野菜についてもこれらのFSセンターで量産していく予定となっており、中食市場向けの売上拡大も強化していく方針だ。

○食品の安全確保・リスク体制管理強化の取り組み
食品の安全・安心に対する取り組みとして、食品安全マネジメントシステムの国際標準規格「ISO22000」をグループ全工場で取得する取り組みを推進している。現在は東京第一、第二FSセンター、神奈川事業所で取得済みとなっており、2016年春には関西、名古屋事業所で取得できる見込みだ。また、上位の安全認証規格となる「FSSC22000」※の認証についても、東京第一、第二FSセンターで2016年3月までに取得できる見通しとなっている。こうした食品の安心・安全に対する取組みも顧客から高い評価を得ている一因となっており、グループ全体でこうした取り組みを強化することが、業績の拡大につながると見ている。

※「FSSC22000」:「ISO22000」に食品安全対策(フード・テロ対策、原材料やアレルギー物質の管理方法など)や、「食品安全に関連する要員の監視」「サービスに関する仕様」などを追加したもので、さらに上位の安全認証規格となる。

○機能性を評価する新たな分析装置を開発
同社は野菜の活性酸素消去能(抗酸化力)などの分析をよりスピーディにできる分析装置の開発を計測器メーカーと共同で進めており、2016年3月までに完成する予定となっている。複数の検体を連続的に分析することが可能となるため、1検体当たりの分析コストを低く抑えることが可能となる。同装置の導入によって、分析依頼を出す農家の費用負担も軽減されることとなり、今まで以上に野菜の分析データの蓄積が進むものとみられる。同社ではこれらのデータベースを活用して、野菜の新たな評価基準の開発や高付加価値野菜の販売につなげていきたいと考えている。

また、上記と並行で非破壊測定装置の開発も進めている。トマトのリコピンと糖度を自動測定できる装置で、現在、契約農家でテストを行っている段階にある。リコピンや糖度の違いによって、同じ産地のトマトでも価格差をつけて販売できるようにすることが狙いで、同テストが順調に進めば2017年3月期より量販店で実際に販売していく予定となっている。従来は、野菜の評価基準として見た目が重視されてきたが、今後は野菜の中身を分析し、その違いを販売価格に反映していくことで、新たな評価基準が形成されていくものと予想される。健康志向の高まりを背景に、こうした取り組みが注目されてくれば、量販店向けや宅配市場向けなど、BtoC市場の売上げ拡大にも弾みがつくことになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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