マーケットE Research Memo(3):個人や法人から価値のあるものを買い取り、インターネットで販売
[16/03/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
(2)事業の概要
a)事業モデル
マーケットエンタープライズ<3135>の事業はリユース、すなわち、個人や法人から価値のある中古品を買い取り、それをインターネットを通じて一般消費者や法人に販売するというものだ。この骨格部分は各社とも一緒であり、その骨格にどう肉づけをするかで各社のビジネスモデルに差が出てくることになる。同社は仕入面と販売面の双方で同社独自のビジネスモデルを確立しており、それが同社の特徴と強みへとつながっている(詳細は後述)。
同社の強みを分析する上では、A社、B社、C社を並べて優劣の比較をするというアプローチもあるが、“C to C”(個人間取引)に対してリユース事業者としての自社の存在をそれだけ正当化できるかという視点の方が重要だと弊社では考えている。リユース事業者が介在する“C to B to C”においては、買い手と売り手の双方から “B”の存在分だけ不利益を被っているとみられる可能性がある。こうした懸念を払拭して自社の存在意義を納得させられる価値を提供できているかどうかが、当該企業のビジネスモデルの持続可能性や強さを物語ると言えるのではないかと弊社では考えている。
一般消費者(法人も含む)が売り手となる場合の想定されるニーズを下表に掲げた。C to Cの当事者間取引では、取引における安全性や価値判断、換金スピードなどがニーズとして挙がってくるだろう。C to B to Cにおいては買取業者の選択、商品の価値判断への信頼性などがニーズとして挙げられる。また両者において梱包・荷造りといったロジスティクスは共通したニーズとなっている。
こうした売り手側のニーズに対する同社の対応は、全国各地に開設した「リユースセンター」というリアル拠点と、IT(Webメディア、業務システム)とを融合させたものとなっている。買取りの成約までの流れに沿って説明すると、同社は商品類型ごとに26ジャンルの個別のサイトを開設し、アドテク(インターネット広告におけるテクノロジー)を駆使して、潜在的な売り手に対してリユース品の売却機会や自社の専門性などをアピール(広告宣伝)している。
次に、コンタクトしてきた売り手に対してはコンタクトセンターが自社の「査定データベース(DB)」に基づいて、買取価格の想定レンジを伝える、“事前査定”が行われる。買取と販売の両サイドのデータが逐次累積されて精度が上がる仕組みとなっており、売り手に対して説得力のある買取価格を提示することができるようになっている点がポイントであり、強みとなっている。同時にまた、商品の引取り方法についても3つのチャネル(店頭、出張、宅配)から選択してもらう。実物がリユースセンターに届いてから買取価格が確定し、翌日には買取代金が振り込まれるという流れだ。これら一連のプロセスで、価値判断、ロジスティクス、換金スピードなどのニーズが解決される。個人情報保護や大量の商品の取扱いという点もまた解決されることは言うまでもない。
こうして買い取られた商品は、同社が完全自社開発した基幹業務システムにおいて、効率的かつ一元的に単品個別管理が成され、自社サイト「ReRe」やヤフオク、楽天市場など複数のEC(eコマース)のマーケットプレイスにおいて販売されることになる。
b)収益構造
同社の事業を計数的側面から見ると、商品の平均販売単価は約25,000円となっている。これはリユース業界の平均であると言われている約3,000〜4,000円と比較して格段に高い。高額品取引における同社への高い信頼性の一端を垣間見ることができる。また、足元の月間買取依頼件数は26,000件で、累計では800,000件に達している。
同社の収益性分析で重要な指標は、売上高売上総利益率と売上高販管費率の2点だ。売上高売上総利益率について同社は、商品カテゴリーごとや個々の商品でばらつきはあるものの全体として45〜50%を目指すとしている。過去からのトレンドで見ると、同社の売上高売上総利益率は緩やかに低下している。この点については商品構成の変化による影響が大きいことや、同社の売上高が急成長のステージにあり、認知度、信頼度の向上から高価格帯の商品を取り扱うようになってきていることなどを考慮すると、否定的に捉える必要はないと考えている。むしろ今後注目すべきは、査定DB充実による買取価格の精緻化が実現できているかどうかだ。
売上高販管費率も着実に低下基調をたどっている。低下度合いは売上総利益率のそれを上回っており、それが売上高営業利益率上昇につながっている。同社はネット型リユース企業であるため、売上高と利益成長の構造はEC企業のそれとまったく変わるところはない。すなわち、売上成長に比べて費用増が緩やかなため、利益率が改善するというモデルだ。同社は、現時点は仕入強化のためにリユースセンターを拡充している最中であるため、当面は費用増も続くが、リユースセンター開設が一段落したステージでは一気に利益率が伸びてくると期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(2)事業の概要
a)事業モデル
マーケットエンタープライズ<3135>の事業はリユース、すなわち、個人や法人から価値のある中古品を買い取り、それをインターネットを通じて一般消費者や法人に販売するというものだ。この骨格部分は各社とも一緒であり、その骨格にどう肉づけをするかで各社のビジネスモデルに差が出てくることになる。同社は仕入面と販売面の双方で同社独自のビジネスモデルを確立しており、それが同社の特徴と強みへとつながっている(詳細は後述)。
同社の強みを分析する上では、A社、B社、C社を並べて優劣の比較をするというアプローチもあるが、“C to C”(個人間取引)に対してリユース事業者としての自社の存在をそれだけ正当化できるかという視点の方が重要だと弊社では考えている。リユース事業者が介在する“C to B to C”においては、買い手と売り手の双方から “B”の存在分だけ不利益を被っているとみられる可能性がある。こうした懸念を払拭して自社の存在意義を納得させられる価値を提供できているかどうかが、当該企業のビジネスモデルの持続可能性や強さを物語ると言えるのではないかと弊社では考えている。
一般消費者(法人も含む)が売り手となる場合の想定されるニーズを下表に掲げた。C to Cの当事者間取引では、取引における安全性や価値判断、換金スピードなどがニーズとして挙がってくるだろう。C to B to Cにおいては買取業者の選択、商品の価値判断への信頼性などがニーズとして挙げられる。また両者において梱包・荷造りといったロジスティクスは共通したニーズとなっている。
こうした売り手側のニーズに対する同社の対応は、全国各地に開設した「リユースセンター」というリアル拠点と、IT(Webメディア、業務システム)とを融合させたものとなっている。買取りの成約までの流れに沿って説明すると、同社は商品類型ごとに26ジャンルの個別のサイトを開設し、アドテク(インターネット広告におけるテクノロジー)を駆使して、潜在的な売り手に対してリユース品の売却機会や自社の専門性などをアピール(広告宣伝)している。
次に、コンタクトしてきた売り手に対してはコンタクトセンターが自社の「査定データベース(DB)」に基づいて、買取価格の想定レンジを伝える、“事前査定”が行われる。買取と販売の両サイドのデータが逐次累積されて精度が上がる仕組みとなっており、売り手に対して説得力のある買取価格を提示することができるようになっている点がポイントであり、強みとなっている。同時にまた、商品の引取り方法についても3つのチャネル(店頭、出張、宅配)から選択してもらう。実物がリユースセンターに届いてから買取価格が確定し、翌日には買取代金が振り込まれるという流れだ。これら一連のプロセスで、価値判断、ロジスティクス、換金スピードなどのニーズが解決される。個人情報保護や大量の商品の取扱いという点もまた解決されることは言うまでもない。
こうして買い取られた商品は、同社が完全自社開発した基幹業務システムにおいて、効率的かつ一元的に単品個別管理が成され、自社サイト「ReRe」やヤフオク、楽天市場など複数のEC(eコマース)のマーケットプレイスにおいて販売されることになる。
b)収益構造
同社の事業を計数的側面から見ると、商品の平均販売単価は約25,000円となっている。これはリユース業界の平均であると言われている約3,000〜4,000円と比較して格段に高い。高額品取引における同社への高い信頼性の一端を垣間見ることができる。また、足元の月間買取依頼件数は26,000件で、累計では800,000件に達している。
同社の収益性分析で重要な指標は、売上高売上総利益率と売上高販管費率の2点だ。売上高売上総利益率について同社は、商品カテゴリーごとや個々の商品でばらつきはあるものの全体として45〜50%を目指すとしている。過去からのトレンドで見ると、同社の売上高売上総利益率は緩やかに低下している。この点については商品構成の変化による影響が大きいことや、同社の売上高が急成長のステージにあり、認知度、信頼度の向上から高価格帯の商品を取り扱うようになってきていることなどを考慮すると、否定的に捉える必要はないと考えている。むしろ今後注目すべきは、査定DB充実による買取価格の精緻化が実現できているかどうかだ。
売上高販管費率も着実に低下基調をたどっている。低下度合いは売上総利益率のそれを上回っており、それが売上高営業利益率上昇につながっている。同社はネット型リユース企業であるため、売上高と利益成長の構造はEC企業のそれとまったく変わるところはない。すなわち、売上成長に比べて費用増が緩やかなため、利益率が改善するというモデルだ。同社は、現時点は仕入強化のためにリユースセンターを拡充している最中であるため、当面は費用増も続くが、リユースセンター開設が一段落したステージでは一気に利益率が伸びてくると期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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