トライSTG Research Memo(4):利益は今後のM&Aの状況次第で変動する可能性あり
[16/04/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(2) 2017年2月期の業績見通し
トライステージ<2178>の2017年2月期の連結業績は売上高が前期比9.0%増の40,478百万円、営業利益が同34.8%減の585百万円、経常利益が同40.8%減の526百万円、当期純利益が同78.3%減の103百万円と今期も増収減益を見込んでいる。このうち主力のダイレクトマーケティング支援事業を担う同社単独の業績は、売上高が前期比6.3%増の30,092百万円、営業利益が同1.0%増の912百万円、経常利益が同4.0%減の872百万円、当期純利益が同2.0%増の531百万円となり、利益ベースではほぼ前期並みの水準となる見通しだ。
このため、連結業績の減益要因は子会社の利益減とのれんの償却負担によるものとなる。経常利益ベースで見ると前期比で4億円弱の減益となるが、このうち約2億円がM&Aの実施に伴うのれん償却額の増加によるもので、残り約2億円は新規事業の立上げ負担によるものとみられる、このため、利益面では今後のM&Aの状況次第で変動する可能性もある。また、売上高に関しては前第3四半期後半以降、顧客の出稿意欲が鈍化してきたほか、2016年3月に機能性表示食品制度の施行以降、初めて消費者庁による是正勧告を受ける企業が出た※ことで、同社が主力とする健康食品関連企業からの広告出稿意欲が減退するリスクがあり、当第1四半期の売上動向が注目される。
※ライオン<4912>の「トマト酢生活トマト酢飲料」(新聞広告)や(株)えがおの「えがおの黒酢」(Web広告)が、誇大広告等により消費者庁から是正勧告を受けた。いずれも、同社の顧客ではない。
事業セグメント別の今期の施策については以下のとおり。
○ダイレクトマーケティング支援事業
ダイレクトマーケティング支援事業のうち、主力のTV事業については引き続き新業種・新領域への営業を強化し新規顧客開拓を進めていくほか、媒体枠の割振り最適化や仕入販売価格の適正化による収益性向上に取り組んでいく。
WEB広告事業ではロックオンと共同開発を進めているオンラインアトリビューションサービスを上期中にリリースする予定となっているほか、2016年3月には楽天<4755>グループでWEB広告事業を行うリンクシェア・ジャパン(株)と業務提携を発表し、テレビのインフォマーシャルと同時にWeb広告(リスティング広告)を配信する新サービスを開始した。同サービスは同社の顧客企業を対象に、インフォマーシャル放送に合わせて放送エリアや時間などを連動させWeb広告を配信するもので、クロスメディアでの広告配信による相乗効果が期待される。事前に健康食品でテストを実施したところ、Web広告のみの配信に比べて1.6倍の効果が出たことが確認されている。同社では今後、リンクシェア・ジャパンとの連携を深め、テレビとインターネットを併せた投資効果の高いマーケティングサービスの提供を目指していく考えだ。
海外事業ではテレビ通販ショップ以外のマルチチャネル型通販支援事業※1を進出各国の状況に応じて展開していく予定となっており、BtoC事業も開始する。特に、注目されるのが2016年4月に発表した米国市場への進出となる。米国はテレビ通販市場で約10兆円と日本の18倍以上の規模があり、世界最大のマーケットであるためだ。テレビ通販事業の支援に特化した現地の大手専業広告代理店、Cannella社※2と業務提携を結んだ。今回の提携では、MARDIS社も含めた提携となっており、具体的な提携内容としては、米国市場向けに同社が日本の商品を、MERDIS社が韓国の商品をそれぞれ供給し、Cannella社が米国のサービス及び商品を日本市場に対して供給するというもの。今回の提携により、最大市場である米国に販売チャネルを確立したことになり、今後の売上増が期待される。
※1 TVインフォマーシャルだけでなく、アウトバウンズ、EC、リテール(店舗流通)を含めた多様なサービス
※2 Cannella社は米国のテレビ通販市場において、テレビ放送の長尺枠保有率第1位、1,100以上の地上波・ケーブル放送局とのネットワークを構築する大手企業。
また、新規事業としてソーシャルコマース分野への参入も発表している。ソーシャルコマースとは、SNSやブログなどのソーシャルメディアとECを組み合わせて販売促進を行う広告手法の1つ。同分野に参入するに当たって、2016年3月に先進的なITサービスを国内外で提供する(株)見果てぬ夢と業務提携を発表している。見果てぬ夢が世界最大のEMS企業である台湾のフォックスコン・テクノロジー・グループと提携し、フォックスコン・テクノロジー・グループの持つデータベースを活用して開発したソーシャルコマースシステムの独占販売権を同社が取得し、国内外でサービスを開始していく格好となる。まずは2016年中に、東南アジアでサービスを開始する予定となっている。なお、見果てぬ夢に対しては今後の業務資本提携も視野に入れ、100百万円の転換社債型新株予約権付社債を2016年3月に引き受けている。
○ダイレクトメール発送代行事業
ダイレクトメール発送代行事業については、今期も2ケタ増収が続く見通しだ。とりわけ、2016年1月にニッチメディアトップ企業である(株)ファインドスターとダイレクトメール分野で業務提携を行ったことは、同事業を拡大していくうえでプラスに寄与しよう。
MCCでは従来、発送代行業務が売上の大半を占めていたが、顧客企業からDMのトータルコスト削減要請が強まるなかで、川上工程となるDMの企画や広告物の同梱・同封工程などの強化が課題となっていたためだ。こうした領域においてファインドスターは国内トップクラスの競争力を持っており、逆に発送代行事業は行っていない。このため、ダイレクトメール分野においては、両社でクロスセルすることによる相乗効果が見込まれる。また、ファインドスターからの顧客紹介により、直接取引の比率も上昇することも期待される。現在、売上高の約8割を占める販売代理店経由の売上総利益率は1〜2%の低水準にとどまるが、直接取引では10%程度の利益率が見込めるだけに、直接取引比率上昇による収益性の改善効果は大きい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2) 2017年2月期の業績見通し
トライステージ<2178>の2017年2月期の連結業績は売上高が前期比9.0%増の40,478百万円、営業利益が同34.8%減の585百万円、経常利益が同40.8%減の526百万円、当期純利益が同78.3%減の103百万円と今期も増収減益を見込んでいる。このうち主力のダイレクトマーケティング支援事業を担う同社単独の業績は、売上高が前期比6.3%増の30,092百万円、営業利益が同1.0%増の912百万円、経常利益が同4.0%減の872百万円、当期純利益が同2.0%増の531百万円となり、利益ベースではほぼ前期並みの水準となる見通しだ。
このため、連結業績の減益要因は子会社の利益減とのれんの償却負担によるものとなる。経常利益ベースで見ると前期比で4億円弱の減益となるが、このうち約2億円がM&Aの実施に伴うのれん償却額の増加によるもので、残り約2億円は新規事業の立上げ負担によるものとみられる、このため、利益面では今後のM&Aの状況次第で変動する可能性もある。また、売上高に関しては前第3四半期後半以降、顧客の出稿意欲が鈍化してきたほか、2016年3月に機能性表示食品制度の施行以降、初めて消費者庁による是正勧告を受ける企業が出た※ことで、同社が主力とする健康食品関連企業からの広告出稿意欲が減退するリスクがあり、当第1四半期の売上動向が注目される。
※ライオン<4912>の「トマト酢生活トマト酢飲料」(新聞広告)や(株)えがおの「えがおの黒酢」(Web広告)が、誇大広告等により消費者庁から是正勧告を受けた。いずれも、同社の顧客ではない。
事業セグメント別の今期の施策については以下のとおり。
○ダイレクトマーケティング支援事業
ダイレクトマーケティング支援事業のうち、主力のTV事業については引き続き新業種・新領域への営業を強化し新規顧客開拓を進めていくほか、媒体枠の割振り最適化や仕入販売価格の適正化による収益性向上に取り組んでいく。
WEB広告事業ではロックオンと共同開発を進めているオンラインアトリビューションサービスを上期中にリリースする予定となっているほか、2016年3月には楽天<4755>グループでWEB広告事業を行うリンクシェア・ジャパン(株)と業務提携を発表し、テレビのインフォマーシャルと同時にWeb広告(リスティング広告)を配信する新サービスを開始した。同サービスは同社の顧客企業を対象に、インフォマーシャル放送に合わせて放送エリアや時間などを連動させWeb広告を配信するもので、クロスメディアでの広告配信による相乗効果が期待される。事前に健康食品でテストを実施したところ、Web広告のみの配信に比べて1.6倍の効果が出たことが確認されている。同社では今後、リンクシェア・ジャパンとの連携を深め、テレビとインターネットを併せた投資効果の高いマーケティングサービスの提供を目指していく考えだ。
海外事業ではテレビ通販ショップ以外のマルチチャネル型通販支援事業※1を進出各国の状況に応じて展開していく予定となっており、BtoC事業も開始する。特に、注目されるのが2016年4月に発表した米国市場への進出となる。米国はテレビ通販市場で約10兆円と日本の18倍以上の規模があり、世界最大のマーケットであるためだ。テレビ通販事業の支援に特化した現地の大手専業広告代理店、Cannella社※2と業務提携を結んだ。今回の提携では、MARDIS社も含めた提携となっており、具体的な提携内容としては、米国市場向けに同社が日本の商品を、MERDIS社が韓国の商品をそれぞれ供給し、Cannella社が米国のサービス及び商品を日本市場に対して供給するというもの。今回の提携により、最大市場である米国に販売チャネルを確立したことになり、今後の売上増が期待される。
※1 TVインフォマーシャルだけでなく、アウトバウンズ、EC、リテール(店舗流通)を含めた多様なサービス
※2 Cannella社は米国のテレビ通販市場において、テレビ放送の長尺枠保有率第1位、1,100以上の地上波・ケーブル放送局とのネットワークを構築する大手企業。
また、新規事業としてソーシャルコマース分野への参入も発表している。ソーシャルコマースとは、SNSやブログなどのソーシャルメディアとECを組み合わせて販売促進を行う広告手法の1つ。同分野に参入するに当たって、2016年3月に先進的なITサービスを国内外で提供する(株)見果てぬ夢と業務提携を発表している。見果てぬ夢が世界最大のEMS企業である台湾のフォックスコン・テクノロジー・グループと提携し、フォックスコン・テクノロジー・グループの持つデータベースを活用して開発したソーシャルコマースシステムの独占販売権を同社が取得し、国内外でサービスを開始していく格好となる。まずは2016年中に、東南アジアでサービスを開始する予定となっている。なお、見果てぬ夢に対しては今後の業務資本提携も視野に入れ、100百万円の転換社債型新株予約権付社債を2016年3月に引き受けている。
○ダイレクトメール発送代行事業
ダイレクトメール発送代行事業については、今期も2ケタ増収が続く見通しだ。とりわけ、2016年1月にニッチメディアトップ企業である(株)ファインドスターとダイレクトメール分野で業務提携を行ったことは、同事業を拡大していくうえでプラスに寄与しよう。
MCCでは従来、発送代行業務が売上の大半を占めていたが、顧客企業からDMのトータルコスト削減要請が強まるなかで、川上工程となるDMの企画や広告物の同梱・同封工程などの強化が課題となっていたためだ。こうした領域においてファインドスターは国内トップクラスの競争力を持っており、逆に発送代行事業は行っていない。このため、ダイレクトメール分野においては、両社でクロスセルすることによる相乗効果が見込まれる。また、ファインドスターからの顧客紹介により、直接取引の比率も上昇することも期待される。現在、売上高の約8割を占める販売代理店経由の売上総利益率は1〜2%の低水準にとどまるが、直接取引では10%程度の利益率が見込めるだけに、直接取引比率上昇による収益性の改善効果は大きい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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