【FISCOソーシャルレポーター】個人投資家「兜町放浪記」氏:「リーマンショック級の危機」と言わせたもの
[16/06/01]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家兜町放浪記氏(ブログ「兜町放浪記」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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※2016年5月30日7時に執筆
伊勢志摩サミットの日程を無難に消化できたことは開催国日本にとって大いに面目を施したが、サミット議長国のリーダーから出た発言が思わぬ形で失笑とひんしゅくを買ったことで、最後の最後で痛恨のエラーをして評価を下げたことは否めない。
「みなさん、世界経済はいま、不透明感が増大し、さまざまな下振れリスクを抱えています。このリスクから目をそらしてはいけません」と安倍首相(議長)がG7各国に対し財政出動を促す旗振り役と号令役を演じてみせたが、結局、誰もついてはこなかった。
この大立ち回りについては官邸主導なのか、財務省か、外務省か、どこの誰が用意したストーリーなのかは知らないが「リーマンショック級の世界的経済危機が目前に迫っている」かのごとく緊急事態を煽った(演出した)として、仏高級紙「ル・モンド」をはじめ海外メディアは「日本の指導者が世界経済の現状認識について寝とぼけた発言をした」と手厳しく報じている。
私自身がリーマンショック当時を知る者として、さすがに「そこまで言うか」と思ってしまう。「リーマンショック」とは何も、リーマンブラザーズ破綻の衝撃波をさすものではない。当時の世界経済の状況は数年間にわたり「サブプライム・ローン」問題で住宅債権の焦げ付き騒ぎから米金融機関の連鎖倒産を懸念する信用不安の高まりを生じ、結果的に世界の株式市場を揺るがす重大な金融危機に発展した時系列の総称として語られることが多い。現在のような、極めて正常な景気循環下の好不況の振れに身構える場合に用いる発言としては見当違いも甚だしいと言わざるを得ない。
日本経済の情勢も「良いとはいえない」程度のことで「悪いといえる」わけではない。せいぜい株価がいっこうにアベノミクス以降の高値を抜けないだけで、安易に戦後最大級の経済危機であった「リーマンショック級の〜」などとたとえを持ち出すことのズレを解さない鈍感さが痛々しい。
日本のリーダーが感じているそこまでの不況感とはどこから来るのだろうか。私は、安倍首相に「リーマンショック級の危機」を言わせたものこそ「現在の株価」であると思う。もし私が傍にいたら「安倍さん、株価と経済は別物ですよ」と慰めて差し上げるものを。
個別株では年初来高値を更新してきたシグマクシス<6088>、情報セキュリティ関連株として生体認証を利用したインターネットログイン管理サービスを扱うトレイダーズ<8704>に注目したい。
※「兜町放浪記」は株式市況の解説と分析を中心に株式投資+αを目指す個人投資家向け株式ブログです。単なる上がる株・下がる株の予想屋を標榜とせず、株式投資を通じて社会全般と経済と人生を学ぶ、個人投資家に支持されるブログとなるよう日々アクティブな情報発信に励んでおります。当ブログの監視銘柄は直接「兜町放浪記」にお立ち寄りいただくことをオススメします。
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執筆者名:兜町放浪記
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