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ボルテージ Research Memo(4):中期計画と市場拡大イメージ

注目トピックス 日本株
■中期計画と市場セグメント別方針

(2)中期計画と市場セグメント別の拡大方針

ボルテージ<3639>は2014年6月期から2016年6月期までの3ヶ年計画に取り組んでいる最中にあり、並行して2017年6月期からスタートする次期以降の計画も策定中である。

同社が2014年6月期から取り組んできていることは、1)「OS系ファースト」のスローガンに象徴される、急速に普及が進むスマートフォンへの対応、2)男女向けアプリ及び海外事業の拡張、3)CM費用の12ヶ月(その後10ヶ月に短縮化)回収の徹底、の3点であった。これらのうちスマートフォン対応は順調に進捗しており、スマートフォン普及率の実態に合わせて、現状では、新規アプリ開発ではスマートフォン対応に特化している状況だ。

2016年6月期を走る現在、最も注力しているのは2)の男女向けアプリと海外事業の拡張だ。同社は市場の拡大イメージを下記のように示している。

基本的にはこれまで同社が推進してきた通り、市場セグメント別に日本語版恋愛ドラマアプリ、英語版恋愛ドラマアプリとサスペンスアプリと分類し、それぞれ拡大に向けた施策を行っていくこととなる。

a)日本語版恋愛ドラマアプリ
現在収益の柱ともなっている日本語版恋愛ドラマアプリについては、F2Pにおいてネイティブアプリとガワネイティブアプリに最も比重を置きつつ、P2Pのネイティブアプリも伸ばしていく方針だ。反対に「ソ専」(ソーシャル専業PF向け)と「月額」(通信キャリア公式サイト向け)は縮小方向だ。これら意味するところは、前述した過去からのプラットフォームの変遷に沿ったものであり、自然の流れといえる。

日本語版恋愛ドラマアプリにおける重要な点は、P2PとF2Pの2正面作戦にあるというのが弊社の解釈だ。P2PとF2Pでは、ユーザー数も収益もF2Pが上回っている。しかしながら同社にとっては、P2Pも重要な両輪の1つである。P2PはF2Pに比べて開発費用が数分の1から10分の1と大幅に低いという利点がある。それゆえ同社はまずP2Pで開発・ローンチし、その手応えを見てF2Pで開発するという流れを基本としている。これが開発リスク低減に寄与し、結果的に、同社の持続的成長に貢献してきた。P2Pはまた、英語版恋愛ドラマアプリのベースタイトルとしても重要な役割も果たしている。

b)英語版恋愛ドラマアプリ
英語版恋愛ドラマアプリには、現在コンテンツの内容、開発手法などによってL10N、DRAGON※1、及びUS REAL※2の3つのシリーズが存在する。現状はL10NのP2PとF2Pが海外事業売上高(すなわち英語版恋愛ドラマアプリ売上高)の大半を占めている状況だ。L10Nは基本的には翻訳コストだけでローンチできるため、継続的に新作を投入して、これまで獲得したユーザーをしっかりとグリップすることに加え、新規ユーザーの獲得を目指している。そこに、さらなるユーザー拡大を狙って2016年6月期からUS REALとDRAGONシリーズのタイトル投入を本格化した。US REALは北米市場向けリアル絵のオリジナルタイトルのことであり、それをSFスタジオで現地開発したシステムに乗せF2Pタイトルとしてローンチしている。北米市場向けアニメ絵のオリジナルタイトルであるDRAGONについては2016年6月期において既に2作品を投入しており、ユニークユーザー(UU)数も着実に積み上がってきている状況であり、今後の展開に弾みをつけている。

※1 DRAGON:北米市場向けアニメ絵であり、北米市場向けに作ったコンテンツ。北米向けにアレンジされたドラゴンロール寿司に由来したネーミング。対ユーザー呼称はAmeMix(アメミックス)。
※2 US REAL:北米市場向けリアル絵のコンテンツ(旧表記はUSオリジナル)。

c)サスペンスアプリ
新たに男性ユーザーの獲得に向けて取り組みを進めているサスペンスアプリについては、現在、3作目となる『六本木』の拡販に注力中だ。この点については重なるところが多いので、市場セグメント別動向の項で詳述する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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