nms Research Memo(3):PS事業を核にシナジー効果を狙う
[16/06/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業戦略
○電源に関わる様々な切り口の実行
電源の製造は、PS事業だけが担当しているのではなく、セット品メーカーの電源ラインの請負をHS事業にて、セット品&専業メーカーのEMSとして電源の製造をEMS事業が手掛けている。同時に、日本マニュファクチャリングサービス<2162>は電源専業メーカーの側面もある為、スイッチングトランス、高圧トランス等の部品の販売も行うことが出来る。つまり、電源に関わることならば、完成品を製造することにこだわるのではなく、HS事業〜EMS事業〜PS事業全てのセグメントで対応が可能であり、人材サービスの提供〜電子部品の販売〜設計請負〜EMSによるOEM製造〜PSTによるODM製造〜完成品の販売まで、他社には提供できないサービスラインアップを誇る。
全てのサービスのベースには、電源を企画立案からデザイン(開発)、検証、製品設計、試作、検証、量産設計、量産、検査、出荷までの製造プロセスすべてをカバーしているPSTの技術力があり、同時に自社内の製造プロセスの中で、製品設計にHS事業の技術者派遣、EMS事業からは試作段階の試作サービスや量産・検査では基板実装に組立作業の製造受託サービスを受けることができる。EMS事業もHS事業の製造派遣や製造請負を利用する。
○グループ営業体制の構築
現状の営業体制は、同社、志摩電子、TKRとPSTの各社が別々に顧客へ営業を行っており、グループシナジーを十分発揮していなかった。取扱製品や顧客窓口は別々のため現在の体制を継続するものの、営業情報集約とマーケティングを行う組織を設け、同社グループとしてのアカウント営業体制を構築する。
同社グループは、PS事業を核に、グループの総力を生かして、設計・生産・サービスを提供するようにする。PSTは、電源設計技術力を生かしたフルカスタム対応により、顧客の新製品開発の初期段階から関わっており、パナソニックから国内外の約200社の顧客ベースを承継している。また、購買はパナソニックグループのステータスを引き継いだため、価格を含め部品の調達力が強い。
業種別売上高構成では、複合機やプロジェクターの情報機器向けの事業別内訳は、PS事業が63.7%であるのに対し、EMS事業が33.6%、HS事業は2.7%にとどまる。PS事業から、他の事業への顧客紹介が進んでいないことを表している。住宅関連では、LED照明の電源(PS事業)やパワーコンディショナーの組立(EMS事業)を行っている。同業種の売上高比率は、PS事業が65.4%と高く、EMS事業が25.4%、HS事業が9.2%になる。
同様の売上高データを、重要顧客別に集計してある。総売上高の22.3%を依存する総合家電メーカー(パナソニック)に対しては、EMS事業が80.7%、PS事業が17.4%とボリューム確保しているものの、HS事業は1.9%でしかない。売上高ランキング3位の情報通信機器メーカーのPS事業の比率は98.8%、9位の情報通信機器メーカーは100%である。
現在、同社グループの事業別業界売上順位は、国内人材サービスで7位、日系EMSで9位、日系電源で9位にある。同社はグループ力を発揮したサービスを提供することで、すべての事業の順位をトップ5入りさせることを狙う。同社は、2020年の売上目標を1,000億円としているが、現在のビジネスのレベルアップだけでは達成できないため、海外で人材サービスの伸長を図る。
○ニーズの高いアナログ技術者の要請
顧客ニーズが高いのは、アナログ技術者だ。団塊の世代の引退や技術者の高齢化で、絶対数が不足している。同社は中国子会社と連携し、優秀な中国人技術者を確保し、日本での派遣業務の拡大を図る。PSTにて教育・研修を施したあと、PST社員として登用されるか、同社から日系メーカーに技術者派遣される。
○中国の「老区プロジェクト」
中国では、労働契約法の改正により企業が雇用する派遣労働者数の制限が規定されているため、請負事業のニーズが高まっている。中国の人材仲介業者の収入は、仲介時の斡旋手数料が主体となる。労働者が短期間で職場を変わることが収入増加につながることから、そのように仕向ける業者もいる。労働者は雇用が不安定になる一方、企業にとっても採用コストがかさみ、技術が蓄積されないというデメリットがある。中国政府も現状を問題視しており、その打開策を検討するため「老区プロジェクト」を立ち上げた。ここに中国労働学会労務派遣専門委員会と共に行っている製造請負(承欖)研究プロジェクトを組み合わせ、同社が老区の労働者を社員として採用し、TKP東莞で教育を施した後、顧客工場で製造請負(承欖)を行うというもの。人材紹介ビジネスでないことから、仲介手数料に依存しない。労働者の雇用は安定し、労働者自身の習熟度も上がる。
○グループの総力を挙げる海外工場開設の受託
製造業は、拠点を置く国の経済発展のステージに沿って、生産拠点を移動する。中国は、かつて『世界の工場』であったが、カントリー・リスクや人件費の高騰もあり、チャイナ・プラスワンに移行している。インドネシア、タイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーに進出する企業が増えている。同社は、2014年にHS事業がベトナムに進出したが、まだ非連結子会社でいる。グループの総力を挙げることで、新規工場開設のニーズに応える。グループ本社が財務機能と工場建設の経験を生かし、HS事業が人員採用、EMS事業がこれまで培った異文化・教育ツールと低コストでの工場運営のノウハウを提供する。マレーシアに拠点を持つグループ企業は、多国籍教育を実施してきた。2016年6月から量産体制に入ると、従業員数は510名から2,000人規模に増加する。規模の拡大に応じて、ベトナムの子会社は連結対象になるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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○電源に関わる様々な切り口の実行
電源の製造は、PS事業だけが担当しているのではなく、セット品メーカーの電源ラインの請負をHS事業にて、セット品&専業メーカーのEMSとして電源の製造をEMS事業が手掛けている。同時に、日本マニュファクチャリングサービス<2162>は電源専業メーカーの側面もある為、スイッチングトランス、高圧トランス等の部品の販売も行うことが出来る。つまり、電源に関わることならば、完成品を製造することにこだわるのではなく、HS事業〜EMS事業〜PS事業全てのセグメントで対応が可能であり、人材サービスの提供〜電子部品の販売〜設計請負〜EMSによるOEM製造〜PSTによるODM製造〜完成品の販売まで、他社には提供できないサービスラインアップを誇る。
全てのサービスのベースには、電源を企画立案からデザイン(開発)、検証、製品設計、試作、検証、量産設計、量産、検査、出荷までの製造プロセスすべてをカバーしているPSTの技術力があり、同時に自社内の製造プロセスの中で、製品設計にHS事業の技術者派遣、EMS事業からは試作段階の試作サービスや量産・検査では基板実装に組立作業の製造受託サービスを受けることができる。EMS事業もHS事業の製造派遣や製造請負を利用する。
○グループ営業体制の構築
現状の営業体制は、同社、志摩電子、TKRとPSTの各社が別々に顧客へ営業を行っており、グループシナジーを十分発揮していなかった。取扱製品や顧客窓口は別々のため現在の体制を継続するものの、営業情報集約とマーケティングを行う組織を設け、同社グループとしてのアカウント営業体制を構築する。
同社グループは、PS事業を核に、グループの総力を生かして、設計・生産・サービスを提供するようにする。PSTは、電源設計技術力を生かしたフルカスタム対応により、顧客の新製品開発の初期段階から関わっており、パナソニックから国内外の約200社の顧客ベースを承継している。また、購買はパナソニックグループのステータスを引き継いだため、価格を含め部品の調達力が強い。
業種別売上高構成では、複合機やプロジェクターの情報機器向けの事業別内訳は、PS事業が63.7%であるのに対し、EMS事業が33.6%、HS事業は2.7%にとどまる。PS事業から、他の事業への顧客紹介が進んでいないことを表している。住宅関連では、LED照明の電源(PS事業)やパワーコンディショナーの組立(EMS事業)を行っている。同業種の売上高比率は、PS事業が65.4%と高く、EMS事業が25.4%、HS事業が9.2%になる。
同様の売上高データを、重要顧客別に集計してある。総売上高の22.3%を依存する総合家電メーカー(パナソニック)に対しては、EMS事業が80.7%、PS事業が17.4%とボリューム確保しているものの、HS事業は1.9%でしかない。売上高ランキング3位の情報通信機器メーカーのPS事業の比率は98.8%、9位の情報通信機器メーカーは100%である。
現在、同社グループの事業別業界売上順位は、国内人材サービスで7位、日系EMSで9位、日系電源で9位にある。同社はグループ力を発揮したサービスを提供することで、すべての事業の順位をトップ5入りさせることを狙う。同社は、2020年の売上目標を1,000億円としているが、現在のビジネスのレベルアップだけでは達成できないため、海外で人材サービスの伸長を図る。
○ニーズの高いアナログ技術者の要請
顧客ニーズが高いのは、アナログ技術者だ。団塊の世代の引退や技術者の高齢化で、絶対数が不足している。同社は中国子会社と連携し、優秀な中国人技術者を確保し、日本での派遣業務の拡大を図る。PSTにて教育・研修を施したあと、PST社員として登用されるか、同社から日系メーカーに技術者派遣される。
○中国の「老区プロジェクト」
中国では、労働契約法の改正により企業が雇用する派遣労働者数の制限が規定されているため、請負事業のニーズが高まっている。中国の人材仲介業者の収入は、仲介時の斡旋手数料が主体となる。労働者が短期間で職場を変わることが収入増加につながることから、そのように仕向ける業者もいる。労働者は雇用が不安定になる一方、企業にとっても採用コストがかさみ、技術が蓄積されないというデメリットがある。中国政府も現状を問題視しており、その打開策を検討するため「老区プロジェクト」を立ち上げた。ここに中国労働学会労務派遣専門委員会と共に行っている製造請負(承欖)研究プロジェクトを組み合わせ、同社が老区の労働者を社員として採用し、TKP東莞で教育を施した後、顧客工場で製造請負(承欖)を行うというもの。人材紹介ビジネスでないことから、仲介手数料に依存しない。労働者の雇用は安定し、労働者自身の習熟度も上がる。
○グループの総力を挙げる海外工場開設の受託
製造業は、拠点を置く国の経済発展のステージに沿って、生産拠点を移動する。中国は、かつて『世界の工場』であったが、カントリー・リスクや人件費の高騰もあり、チャイナ・プラスワンに移行している。インドネシア、タイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーに進出する企業が増えている。同社は、2014年にHS事業がベトナムに進出したが、まだ非連結子会社でいる。グループの総力を挙げることで、新規工場開設のニーズに応える。グループ本社が財務機能と工場建設の経験を生かし、HS事業が人員採用、EMS事業がこれまで培った異文化・教育ツールと低コストでの工場運営のノウハウを提供する。マレーシアに拠点を持つグループ企業は、多国籍教育を実施してきた。2016年6月から量産体制に入ると、従業員数は510名から2,000人規模に増加する。規模の拡大に応じて、ベトナムの子会社は連結対象になるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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