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芙蓉リース Research Memo(7):中期経営計画の目標値を上方修正

注目トピックス 日本株
■決算動向

(4)中期経営計画の進捗

芙蓉総合リース<8424>は、2017年3月期を最終年度とする中期経営計画「Value Creation 300」を推進している。「課題解決・付加価値創造による収益力の強化」「戦略的なリスクテイク・出資・M&Aによる領域拡大」「みずほ連携による顧客基盤の強化」「グループ戦略による事業基盤の強化」をビジネス戦略の柱に掲げるとともに、「航空機ビジネス」、「不動産リース」、「ファイナンス事業」、「海外事業」、「リテール事業(SFC事業)」、「再生可能エネルギー」、「会計サービス事業」の7つの戦略分野の強化を図ることにより、「収益性の高い事業ポートフォリオ」の構築を目指してきた。

同社は、前期まで進捗状況を勘案して、2017年3月期の目標数値を営業資産残高2兆円(修正幅+1,500億円)、経常利益320億円(修正幅+20億円)、ROA1.4%以上(変更なし)に上方修正した。

各戦略分野の目標と進捗は以下のとおりである。なお、同社は、とりわけ進捗率の高い3分野(ファイナンス事業、海外事業、不動産リース)についても分野別の目標数値を上方修正している。

a)航空機ビジネス
2019年3月期※1の運航機体数100機体制(その内、自社保有機体数35機)を目標としている。2014年7月に買収した英国ALM社によるプラットフォームの確立やマーケティング強化などが奏功し、前期は自社保有機体7機、JOLCO※26機の計13機を組成した。その結果、前期末の運航機体数は80機(その内、自社保有機体数15機)となり、計画を上回る進捗となっている。なお、自社保有型7機については、すべてB737-800に集中するとともに、ソラシドエア(株)向け2機、シルクエア向け1機、ANAホールディングス<9202>向け3機、スカンジナビア航空向け1機と地域的な分散も図っている。

※1航空機ビジネスのみ2019年3月期の目標設定となっている。
※2コールオプションの付いたオペレーティング型レバレッジドリース。

b)ファイナンス事業
2017年3月期の営業資産残高4,400億円を目標としてきた。ポートフォリオ・バランスを保ちながら、営業有価証券(社債等)の取得やコーポレート向けの営業貸付が増加したことなどにより2016年3月期末の営業資産残高は4,906億円(前期末比18.0%増)に大きく拡大し、目標値を前倒しで達成することができた。同社は、目標数値を5,500億円(修正幅+1,100億円)に上方修正した。

c)海外事業
2017年3月期における海外現法の営業資産残高800億円を目標としてきた。内外連携案件の取組拡大や日系企業のサポート拠点となる外国リース会社との提携、非日系向けシンジケートローンの拡大、米国のリース会社との提携などにより、2016年3月期末の営業資産残高は744億円(前期比17.4%増)と順調に積み上がってきたことから、目標数値を900億円(修正幅+100億円)に上方修正した。

d)再生可能エネルギー
自社事業としてのメガソーラーの開発を進めており、2017年3月期の太陽光発電所の稼働数30基、総出力100MWを目標としている。前期はメガソーラー9基を稼働させたことから稼働総数は29基となり、総出力も76MWに到達した。現在3基の開発が進行中であり、目標に対して順調に進捗していると言える。ただ、政府による固定買取価格の引き下げから、今後は新たな開発についてはスローダウンする方向のようだ。もっとも発電所の稼働により収益貢献はこれから本格化していくものと考えられる。

e)不動産リース
2017年3月期の年間成約額420億円を目標としてきた。同社の得意とする商業設備(大型ショッピングセンター)のほか、インバウンド需要の拡大を背景としてビジネスホテルが伸びたことから、2016年3月期の年間成約額は868億円(前期比90.8%増)と大きく拡大した。戦略分野の中でも最も良好なパフォーマンスと言える。同社は、目標数値を900億円(修正幅+480億円)に大幅上方修正した。また、2016年4月には、不動産リースでは初めてとなる高齢者施設(ニチイケアパレス向け)がオープンしており、新たな需要の取り込みとして注目される。

f)リテール事業
2017年3月期のベンダーリース成約額1,750億円を目標としてきた。ただ、主力の事務機器は伸びているものの、採算の悪い住宅設備の取扱高を大幅に縮小したことから、2016年3月期の成約額は1,439億円(前期比4.2%減)に減少し、目標に対しても大きな遅れが生じた。そのため、目標を1,530億円(修正幅-220億円)に下方修正している。

g)会計サービス事業
固定資産の現物管理サービスとリンクしたリース会計システム「FLOW Cube+」をSAP社と共同開発し、2016年12月のサービス開始を目指している。本サービスの導入により、ライセンス料による安定収益が期待できるが、それ以上に重要なのは、顧客の囲い込みや他社からのリプレースが狙えるところである。サービス開始に向けて順調に進捗しており、当初計画に変更はない。

弊社では、一部に当初計画に対する遅れ(下方修正)がみられるものの、総じて計画を上回るペースで拡大していることから、同社の成長戦略は順調に進展しているものと評価している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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