Eストアー Research Memo(2):システム事業とマーケティング事業からなる
[16/07/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■Eストアーの事業内容
2つの事業の概要
Eストアー<4304>は事業セグメントとしてシステム事業とマーケティング事業の2事業体制となっている。システム事業は創業事業であり、内容的にはeコマース(EC)を展開する事業者に対するITサービスの提供だ。当初はショッピングカートサービスからスタートし、サイトを開設するうえで必要なレンタルサーバーの提供などを経て、2006年にECサービス「ショップサーブ」の提供で、現行のサービス体系が完成した。ショップサーブとは、いわばインターネット通販システムで、店舗のWebサイト、ドメイン、メール、決済、受注・顧客の管理などがひとつになったASPサービスだ。
システム事業の収益モデルは、顧客からASPサービスの利用料を月ぎめで徴収するものと、決済代行手数料などの名目で、(Eストアーのショップサーブ上の店舗サイトを経由した)売上高の一定割合を徴収するものと、大きく2種類がある。同社では、システム事業の売上高のうち、月額利用料及びそれと同質の性格の収入を“ストック型収入(売上高)”、後者の売上高に連動した収入を“フロウ型収入(売上高)”と分けて管理している。
ストックとフロウとでは成長モデルが当然変わってくる。ストック型収入は契約企業の数と月額単価の積で決まるため、収益成長のためにはどちらか片方、もしくは両方を拡大させることが必要だ。一方フロウ型収入は、顧客の売上高と同社の手数料割合の積で決まるが、手数料割合を上げるには限度があるため、顧客の売上高を拡大させることが同社にとっての成長シナリオということだ。
顧客の売上高を増やすための支援を事業化したものがマーケティング事業だ。これは2006年の商品検索サイト「ショッピングフィード」の提供からスタートした。その後、インターネット広告代理店業の(株)プレシジョンマーケティングを2011年に子会社化して、マーケティング事業が本格的に展開することとなった。また、2012年には自社の顧客向けのショッピングモールの「PARK」を開設した。さらに、2014年からは、同社の15年に及ぶ専門店型ECの経験とノウハウを生かし、集客と売上増大を目指して、調査・分析やコンサルティング、広告出稿を含めた集客代行、EC業務の運営代行などを幅広く扱う役務提供サービスを開始した。
こうした一連の流れの結果、マーケティング事業の中には、その事業主体とサービス内容に基づいて、「集客事業」(プレシジョンマーケティングの事業)、「メディア事業」(ショッピングモール「PARK」の運営)、及び「販促事業」(調査・分析やコンサルティング、業務代行などの売上高増大のための役務提供サービス)の3つの事業が含まれている。以上が2016年3月期までの状況だった。
このように、同社のシステム事業とマーケティング事業は、車の両輪であり、「フロウ型収入を増大させる」という車軸でつながっている。同社が進める構造改革や、今後の事業展開を見通すうえで、この点を軸に分析や解釈をするとストンと腑に落ちることが多いのではないかと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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2つの事業の概要
Eストアー<4304>は事業セグメントとしてシステム事業とマーケティング事業の2事業体制となっている。システム事業は創業事業であり、内容的にはeコマース(EC)を展開する事業者に対するITサービスの提供だ。当初はショッピングカートサービスからスタートし、サイトを開設するうえで必要なレンタルサーバーの提供などを経て、2006年にECサービス「ショップサーブ」の提供で、現行のサービス体系が完成した。ショップサーブとは、いわばインターネット通販システムで、店舗のWebサイト、ドメイン、メール、決済、受注・顧客の管理などがひとつになったASPサービスだ。
システム事業の収益モデルは、顧客からASPサービスの利用料を月ぎめで徴収するものと、決済代行手数料などの名目で、(Eストアーのショップサーブ上の店舗サイトを経由した)売上高の一定割合を徴収するものと、大きく2種類がある。同社では、システム事業の売上高のうち、月額利用料及びそれと同質の性格の収入を“ストック型収入(売上高)”、後者の売上高に連動した収入を“フロウ型収入(売上高)”と分けて管理している。
ストックとフロウとでは成長モデルが当然変わってくる。ストック型収入は契約企業の数と月額単価の積で決まるため、収益成長のためにはどちらか片方、もしくは両方を拡大させることが必要だ。一方フロウ型収入は、顧客の売上高と同社の手数料割合の積で決まるが、手数料割合を上げるには限度があるため、顧客の売上高を拡大させることが同社にとっての成長シナリオということだ。
顧客の売上高を増やすための支援を事業化したものがマーケティング事業だ。これは2006年の商品検索サイト「ショッピングフィード」の提供からスタートした。その後、インターネット広告代理店業の(株)プレシジョンマーケティングを2011年に子会社化して、マーケティング事業が本格的に展開することとなった。また、2012年には自社の顧客向けのショッピングモールの「PARK」を開設した。さらに、2014年からは、同社の15年に及ぶ専門店型ECの経験とノウハウを生かし、集客と売上増大を目指して、調査・分析やコンサルティング、広告出稿を含めた集客代行、EC業務の運営代行などを幅広く扱う役務提供サービスを開始した。
こうした一連の流れの結果、マーケティング事業の中には、その事業主体とサービス内容に基づいて、「集客事業」(プレシジョンマーケティングの事業)、「メディア事業」(ショッピングモール「PARK」の運営)、及び「販促事業」(調査・分析やコンサルティング、業務代行などの売上高増大のための役務提供サービス)の3つの事業が含まれている。以上が2016年3月期までの状況だった。
このように、同社のシステム事業とマーケティング事業は、車の両輪であり、「フロウ型収入を増大させる」という車軸でつながっている。同社が進める構造改革や、今後の事業展開を見通すうえで、この点を軸に分析や解釈をするとストンと腑に落ちることが多いのではないかと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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