タナベ経営 Research Memo(5):「コンサルティング&コングロマリット戦略(C&C戦略)」の推進
[16/08/01]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績見通し
(2)中期経営計画
タナベ経営<9644>では中期経営計画を毎年ローリングしている。2016年3月期の業績が会社計画を上振れたこともあり、2018年3月期までの目標値を上方修正し、2019年3月期には売上高で9,000百万円、経常利益で960百万円を新たな目標として設定した。売上高経常利益率で10%以上の水準を維持しながら、持続的な成長を目指していく考えで、3年間の平均成長率は売上高、経常利益ともに2.7%と安定成長を見込んでいる。
経営戦略としては、同社の祖業であり強みでもある「コンサルティング」を全社、全事業へと領域拡大して新たなコンサルティングバリューを創造し、変化と成長を実現する「コンサルティング&コングロマリット戦略(C&C戦略)」を推進して行く方針。北海道から沖縄まで全国に10拠点のファームを展開し、かつ中堅・中小企業を顧客とするコンサルティング会社は他に無く、「リージョナル戦略のパートナー」として、均質のコンサルティングサービス、セミナー等を提供する強みを今後も活かしていく。とりわけ、政府の成長戦略でもある「地方創生」において、地域企業の活性化が求められるなかで、同社のビジネスチャンスは大きいと言えよう。
成長戦略としては、ドメイン(事業戦略)×ファンクション(組織戦略)×リージョン(地域戦略)という切り口においてそれぞれのスペシャリストが、「3つの戦略パートナー」として顧客課題に合わせてチームを組成し、高度な専門性を高度に総合化して発揮する「全社チームコンサルティング」により、成長拡大を進めていく。ドメイン(事業戦略)とは、食品フード・ヘルスケア・住まいと暮らし・ものづくりなどの「社会的課題・未来へのテーマ」であり、これらを顧客企業が自社に取り込み、持続的成長に向けて新たな市場や事業を創造する支援をしている。
ファンクション(組織戦略)とは、事業承継・人材・財務・セールスプロモーションなど企業の組織力を向上していくための戦略コンサルティングとなる。特にここ最近では、中堅・中小企業において人手不足の問題が深刻化しており、人材採用や社内の人材育成が今まで以上に経営課題として重要となってきている。このため、同社でも人材育成に関するコンサルティングサービスに注力しており、次世代経営づくりの新テーマとして戦略リーダーを育成する「3ボード(ネクストボード・ジュニアボード・ビジョンボード)コンサルティング」と、育成を加速化させる「アカデミー(社内大学)設計」を推進している。また、マネジメントセミナーにおいても新たに若手・中堅社員向けの「チームリーダースクール」や「女性リーダースクール」を開設し、幅広い人材育成ニーズに対応していく考えだ。
リージョン(地域戦略)では、国内主要10都市に地域特性を熟知したスペシャリストを配置している強みを活かして、各地域企業に地域密着の最適なコンサルティングサービスを提供していく。また、提携先となる地域金融機関や会計事務所を通じた顧客開拓などにも引き続き注力していく方針だ。
同社は顧客創造プロセスとして、戦略ドメイン&マネジメント研究会やセミナーなどを通じて、チームコンサルティング型経営協力の契約数を伸ばしていく戦略を推進している。前述したように研究会では今期に新たに6テーマを新設する予定となっている。また、セミナーについても6〜7月に主要都市で開催する「FCCフォーラム」では参加者数が前年の2倍弱となる2,400名を突破するなど需要は引き続き旺盛であり、これら参加企業をチームコンサルティング型経営協力の有力見込み客として取り込んでいく。
また、セールスプロモーション(SP)コンサルティング事業においても、売上構成比で5%前後となるSPコンサルティングを経営コンサルタント事業との連携を強化していくことで、さらに拡大していく方針となっている。SPコンサルティングの売上構成比が高まってくればセグメント利益率も向上していくことが予想される。
(3)人材戦略
今後の経営課題としては、コンサルタント人材の増員が挙げられる。コンサルティング事業にとって、人材が最も重要な経営資源であり、収益を拡大していくための要となるためだ。特に、今後はドメイン(事業戦略)における専門性の高い人材を増員していく方針となっており、2017年4月を目途に賃金体系を見直すなど、報酬面での環境づくりも進めている。
また、専門性の高いコンサルタント人材の育成、新卒社員の早期戦力化を図ることを目的に、2016年4月より社内教育システムとして「コンサルタントアカデミー」を立ち上げた。Web動画を活用した教育コンテンツにより、3年間でコンサルタントのスキルを習得できるプログラムとなっている。また、新たなコンサルティングメソッドの開発や各種情報発信機能を担う戦略総合研究所についても人員の増員を図り、全社戦略・成長エンジンの加速化をサポートしていく。
当面の人員目標としては、全社で350名体制(2016年4月1日 306名)を目指しており、その中からこれらのコンサルタント人材を数多く育成していく方針となっている。2016年4月末時点でのコンサルティング人員の内訳は、経営コンサルタント140名、アドバイザー16名、SPコンサルタント65名、戦略総合研究所19名の合計240名となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2)中期経営計画
タナベ経営<9644>では中期経営計画を毎年ローリングしている。2016年3月期の業績が会社計画を上振れたこともあり、2018年3月期までの目標値を上方修正し、2019年3月期には売上高で9,000百万円、経常利益で960百万円を新たな目標として設定した。売上高経常利益率で10%以上の水準を維持しながら、持続的な成長を目指していく考えで、3年間の平均成長率は売上高、経常利益ともに2.7%と安定成長を見込んでいる。
経営戦略としては、同社の祖業であり強みでもある「コンサルティング」を全社、全事業へと領域拡大して新たなコンサルティングバリューを創造し、変化と成長を実現する「コンサルティング&コングロマリット戦略(C&C戦略)」を推進して行く方針。北海道から沖縄まで全国に10拠点のファームを展開し、かつ中堅・中小企業を顧客とするコンサルティング会社は他に無く、「リージョナル戦略のパートナー」として、均質のコンサルティングサービス、セミナー等を提供する強みを今後も活かしていく。とりわけ、政府の成長戦略でもある「地方創生」において、地域企業の活性化が求められるなかで、同社のビジネスチャンスは大きいと言えよう。
成長戦略としては、ドメイン(事業戦略)×ファンクション(組織戦略)×リージョン(地域戦略)という切り口においてそれぞれのスペシャリストが、「3つの戦略パートナー」として顧客課題に合わせてチームを組成し、高度な専門性を高度に総合化して発揮する「全社チームコンサルティング」により、成長拡大を進めていく。ドメイン(事業戦略)とは、食品フード・ヘルスケア・住まいと暮らし・ものづくりなどの「社会的課題・未来へのテーマ」であり、これらを顧客企業が自社に取り込み、持続的成長に向けて新たな市場や事業を創造する支援をしている。
ファンクション(組織戦略)とは、事業承継・人材・財務・セールスプロモーションなど企業の組織力を向上していくための戦略コンサルティングとなる。特にここ最近では、中堅・中小企業において人手不足の問題が深刻化しており、人材採用や社内の人材育成が今まで以上に経営課題として重要となってきている。このため、同社でも人材育成に関するコンサルティングサービスに注力しており、次世代経営づくりの新テーマとして戦略リーダーを育成する「3ボード(ネクストボード・ジュニアボード・ビジョンボード)コンサルティング」と、育成を加速化させる「アカデミー(社内大学)設計」を推進している。また、マネジメントセミナーにおいても新たに若手・中堅社員向けの「チームリーダースクール」や「女性リーダースクール」を開設し、幅広い人材育成ニーズに対応していく考えだ。
リージョン(地域戦略)では、国内主要10都市に地域特性を熟知したスペシャリストを配置している強みを活かして、各地域企業に地域密着の最適なコンサルティングサービスを提供していく。また、提携先となる地域金融機関や会計事務所を通じた顧客開拓などにも引き続き注力していく方針だ。
同社は顧客創造プロセスとして、戦略ドメイン&マネジメント研究会やセミナーなどを通じて、チームコンサルティング型経営協力の契約数を伸ばしていく戦略を推進している。前述したように研究会では今期に新たに6テーマを新設する予定となっている。また、セミナーについても6〜7月に主要都市で開催する「FCCフォーラム」では参加者数が前年の2倍弱となる2,400名を突破するなど需要は引き続き旺盛であり、これら参加企業をチームコンサルティング型経営協力の有力見込み客として取り込んでいく。
また、セールスプロモーション(SP)コンサルティング事業においても、売上構成比で5%前後となるSPコンサルティングを経営コンサルタント事業との連携を強化していくことで、さらに拡大していく方針となっている。SPコンサルティングの売上構成比が高まってくればセグメント利益率も向上していくことが予想される。
(3)人材戦略
今後の経営課題としては、コンサルタント人材の増員が挙げられる。コンサルティング事業にとって、人材が最も重要な経営資源であり、収益を拡大していくための要となるためだ。特に、今後はドメイン(事業戦略)における専門性の高い人材を増員していく方針となっており、2017年4月を目途に賃金体系を見直すなど、報酬面での環境づくりも進めている。
また、専門性の高いコンサルタント人材の育成、新卒社員の早期戦力化を図ることを目的に、2016年4月より社内教育システムとして「コンサルタントアカデミー」を立ち上げた。Web動画を活用した教育コンテンツにより、3年間でコンサルタントのスキルを習得できるプログラムとなっている。また、新たなコンサルティングメソッドの開発や各種情報発信機能を担う戦略総合研究所についても人員の増員を図り、全社戦略・成長エンジンの加速化をサポートしていく。
当面の人員目標としては、全社で350名体制(2016年4月1日 306名)を目指しており、その中からこれらのコンサルタント人材を数多く育成していく方針となっている。2016年4月末時点でのコンサルティング人員の内訳は、経営コンサルタント140名、アドバイザー16名、SPコンサルタント65名、戦略総合研究所19名の合計240名となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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