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トーセイ Research Memo(8):厳しい取得環境下でも、仕入れはM&Aなどの工夫を凝らし順調

注目トピックス 日本株
■決算動向

(4)トーセイ<8923>の上期の仕入れ状況

上期の流動化物件及び開発用地の仕入高は、想定売上高ベースで383億円相当(固定資産として取得したレジデンス1棟、約16億円を含む)。売買契約締結済みで未引渡の案件78億円を含めると461億円となり、2015年11月期の仕入高451億円を既に上回った。通期の仕入れ目標700億円に対する進捗率は契約ベースで66%。良好な資金調達環境を受け取得競争が一段と激化するなかでも順調に進捗した。

引渡済みの383億円の内訳は、流動化物件が32物件、306億円、開発用地が4件、77億円。流動化物件の仕入れでは、不動産M&Aの手法を活用。池袋に本社を置く不動産会社2社をM&Aしたことにより、収益不動産7物件(うち5物件は池袋に所在、アセットタイプ別では複合ビル2物件、レジデンス3物件、ホテル、駐車場が各1物件)を取得した。7物件で売上高想定は63億円となる。

流動化物件の仕入れの中では、引続きオフィスビルが15棟、217億円(1棟平均14.5億円)と最も多く、この中には空ビル、空ビルに近い低稼働物件があったもよう。

開発用地の仕入れの内訳は、青山の商業ビル用地などオフィス・商業が2プロジェクト、戸建・土地分譲が鎌倉など2プロジェクトだった。

(5)財務状況

2016年5月末の資本は402億円。期間利益の積み上げにより、前期末から39.7億円増加したが、積極的な仕入れにより自己資本比率は35.9%(前期末比3.0pt減)と低下した。それでも自己資本比率は不動産会社としてはかなり高い水準であり、足元の非常に良好なデットの調達環境を考えれば物件取得によるアセット拡大余力は大きいと言える。

日本の会計基準の賃貸等不動産の含み益に相当する投資不動産の含み益は2015年11月期末で101.9億円。キャップレート低下を主因に2014年11月期末の63.4億円から増加している。この投資不動産の含み益を自己資本に単純に加味したNAV(純資産価値)は1株当たり1,043円となる。

2016年5月末の棚卸資産は簿価で598億円、想定売上高規模で860億円。今後、開発案件の建築費や流動化物件のバリューアップ費用の支出により簿価は増加するため、この差額262億円が含み益ということにはならないが、棚卸資産には100億円超の含み益があるとみていいだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)



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