GMOペパボ Research Memo(5):「minne」の拡大により、2ケタ増収を確保、営業損失は縮小
[16/09/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1)2016年12月期第2四半期連結業績
GMOペパボ<3633>の2016年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結業績は、売上高3,424百万円(前年同期比28.6%増)、営業損失119百万円(前年同期は営業損失184百万円)、経常損失101百万円(同経常損失172百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失54百万円(同親会社株主に帰属する四半期純損失197百万円)と、2ケタ増収を確保、赤字額は縮小した。
売上高が前年同期比で28.6%増加したのは、1)「ロリポップ!」「カラーミーショップ」など主要なストック型サービスが有料契約件数増加と顧客単価アップを図る取り組みの効果が顕在化したことによりホスティング事業、EC支援事業がそれぞれ堅調に推移した、2)「minne」の流通額の拡大に伴いハンドメイド事業の売上高が順調に増加したことが主要因。売上総利益は主要サービスの単価の上昇がプラス寄与したことから、同35.7%増の1,919百万円と売上の伸び以上に拡大し、売上総利益率は前年同期の53.1%から56.1%へ3.0ポイント上昇した。一方、販管費は「minne」への積極投資により広告宣伝費※と人件費が増加したことなどにより、同27.5%増の2,038百万円となったが、売上総利益の増加でカバーし営業損失は前年同期の184百万円から119百万円へ縮小した。
※第2四半期累計期間の「minne」の広告宣伝費は前年同期の605百万円から700百万円へ増加した。
四半期の動向を見ると、第2四半期(4-6月)の売上高は同28.5%増の1,773百万円となった。これは、ホスティング事業及びEC支援事業の主要サービスが堅調に推移したことに加えて、ハンドメイド事業が拡大したことが要因。一方、営業利益は、売上高の増加に加えて、「minne」の投資を抑制したことにより、55百万円(前年同期は営業損失63百万円)と2014年12月期第4四半期(10-12月)以来の黒字転換となった。
○セグメント別業績動向と主要事業の取り組みについて
a)ホスティング事業
第2四半期累計の売上高は1,899百万円(前年同期比10.0%増)、同セグメント利益は589百万円(同13.6%増)と2ケタ増収・増益を確保した。これは、前期より取り組んでいる有料契約件数増加と顧客単価アップを図る取り組みの効果が顕在化したことが主要因。
契約件数の動向をみると、レンタルサーバーサービスは、新規契約を対象とした各種キャンペーンを行ったことなどにより、契約件数は42.9万件(前年同期末比1.4万件増)と堅調に増加したほか、ドメイン取得代行サービス「ムームードメイン」も、各種ドメイン割引キャンペーンを定期的に実施したことに加えて、更新率の上昇を狙った取り組みの効果により、登録ドメイン数は113.3万件(同13.7万件増)と順調に増加した。
一方、顧客単価については、共有レンタルサーバーサービスの「ロリポップ!」は性能面で専用サーバーと同等の機能を提供できるサービスを目指し、新しいレンタルサーバーの概念として次世代ホスティングの取り組みを実施。プランにおける機能面の大幅なブラッシュアップ※を行うと同時に、スタンダードプランへの導線を強化した効果と相まって、新規契約件数におけるスタンダードプランの割合は取り組みを開始する前の2014年1月の9.3%から2016年6月には37.5%へ大幅に上昇。この結果、顧客単価についても右肩あがりでの推移となった。
※サービスプランはエコノミー(月額100円、容量10GB)、ライト(同250円〜、同50GB)、スタンダード(同500円〜、同120GB)、エンタープライズ(同2,000円〜、同400GB)の4種類からなる。機能面のブラッシュアップによりスタンダードプランの場合、取り組み開始前に比べ、ページの表示速度が37倍も速くなっている。
b)EC支援事業
第2四半期累計の売上高は712百万円(前年同期比18.8%増)、同セグメント利益は307百万円(同15.1%増)と2ケタ増収・増益を確保した。これは、オンラインショップ構築ASPサービス「カラーミーショップ」の契約件数が4.4万件(前年同期末比1.3万件増)へ増加するなど堅調に推移したことや、著名なクリエイターや他社企業とのコラボレーションを展開したことによりオリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」の会員数(6月に10万人を突破)及び販売数が順調に推移したことが嵩上げ要因として働いた。
EC支援事業の主力サービスである「カラーミーショップ」※でも「ロリポップ!」と同様に有料契約件数の増加と顧客単価アップに取り組んだ効果が顕在化する格好となった。具体的には、ネットショップの認知度の向上や販売額を増加させたいユーザーニーズに対応し、高機能なプランを導入することで機能面でのソリューションを提供したことに加えて、利用店舗の認知度の向上や流通拡大を促す試みとしてカラーミーショップ大賞(2016年大賞授賞式は5月13日開催)やリアルでのイベントの取り組みを行った。この結果、カラーミーショップ新規契約件数におけるレギュラープランの割合は2014年1月の11.5%から2016年6月には35.1%まで上昇した。加えて、カラーミーショップのオプション機能を利用しているネットショップは利用していないショップに比べ1店舗当たりの流通額が4.4倍違うことに着目、オプション利用の促進に注力した効果も加わって、顧客単価は6月には前年同月比で11.1%上昇した。
※主要なサービスプランは、エコノミー(月額833円、ディスク容量200MB)、レギュラー(同3,000円、同5GB)、ラージ(同7,222円、同100GB)。
c)ハンドメイド事業
第2四半期累計の売上高は「minne」の流通額の拡大を背景に586百万円(前年同期比285.2%増)へ拡大したほか、第2四半期(4-6月)に「minne」のTVコマーシャルをしなかったことなどが利益面にプラス要因として働いたことから、セグメント損失は603百万円(前年同期はセグメント損失651百万円)へ縮小した。
具体的な「minne」の取り組みについてみると、Web広告の積極的な展開に加え、新たな取り組みとして4月28日〜30日の3日間に東京ビッグサイトで「minne」のイベントとして過去最大となるハンドメイドマーケットを開催するなど、認知度の向上を図ったことや、パン、焼き菓子、ジャム等の手作り食品を販売するカテゴリーを新たに追加しハンドメイド領域の拡大や、「minne」自体の機能改善などの内部施策を行った。これらの結果、第2四半期末における作家数は25.2万人(2015年度末17.4万人)、作品数は327万点(同209万点)、アプリのダウンロード数は602万ダウンロード(同441万ダウンロード)、流通額は4,012百万円(前年同期は1,540百万円、同160.5%増)となり、いずれも順調に拡大した。ちなみに、同業他社比較でみると、「minne」は積極投資の効果顕在化により圧倒的No.1のポジション固めが着実に進展しつつあることが窺われる結果となった。
ただ、四半期別の流通額をみると、第2四半期(4-6月)は2,041百万円となり、前年同期比では120.0%増の高い伸びとなったが、前四半期比では3.6%増と低い伸びに止まった。これは、1)第1四半期に比べプロモーション費用を抑制した、2)4月に起きた熊本地震により消費マインドが低下したことや作家活動が自粛された、3)ゴールデンウィークの影響でDAUが一時的に落ち込み購入件数が減少したことなどによる。
d)コミュニティ事業
第2四半期累計の売上高は114百万円(前年同期比17.7%減)と減収を余儀なくされたものの、セグメント利益は47百万円(同3.6%増)と増益を確保した。減収になったのは、PCユーザーが主力であるため、ブログサービス「JUGEM」の有料会員数及びPV数が引き続き減少傾向にあることに加えて、株式譲渡によりブグログが連結対象外となったことがマイナス要因として働いたことによる。にもかかわらず増益となったのは、コストコントロールによる利益確保を図ったためだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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(1)2016年12月期第2四半期連結業績
GMOペパボ<3633>の2016年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結業績は、売上高3,424百万円(前年同期比28.6%増)、営業損失119百万円(前年同期は営業損失184百万円)、経常損失101百万円(同経常損失172百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失54百万円(同親会社株主に帰属する四半期純損失197百万円)と、2ケタ増収を確保、赤字額は縮小した。
売上高が前年同期比で28.6%増加したのは、1)「ロリポップ!」「カラーミーショップ」など主要なストック型サービスが有料契約件数増加と顧客単価アップを図る取り組みの効果が顕在化したことによりホスティング事業、EC支援事業がそれぞれ堅調に推移した、2)「minne」の流通額の拡大に伴いハンドメイド事業の売上高が順調に増加したことが主要因。売上総利益は主要サービスの単価の上昇がプラス寄与したことから、同35.7%増の1,919百万円と売上の伸び以上に拡大し、売上総利益率は前年同期の53.1%から56.1%へ3.0ポイント上昇した。一方、販管費は「minne」への積極投資により広告宣伝費※と人件費が増加したことなどにより、同27.5%増の2,038百万円となったが、売上総利益の増加でカバーし営業損失は前年同期の184百万円から119百万円へ縮小した。
※第2四半期累計期間の「minne」の広告宣伝費は前年同期の605百万円から700百万円へ増加した。
四半期の動向を見ると、第2四半期(4-6月)の売上高は同28.5%増の1,773百万円となった。これは、ホスティング事業及びEC支援事業の主要サービスが堅調に推移したことに加えて、ハンドメイド事業が拡大したことが要因。一方、営業利益は、売上高の増加に加えて、「minne」の投資を抑制したことにより、55百万円(前年同期は営業損失63百万円)と2014年12月期第4四半期(10-12月)以来の黒字転換となった。
○セグメント別業績動向と主要事業の取り組みについて
a)ホスティング事業
第2四半期累計の売上高は1,899百万円(前年同期比10.0%増)、同セグメント利益は589百万円(同13.6%増)と2ケタ増収・増益を確保した。これは、前期より取り組んでいる有料契約件数増加と顧客単価アップを図る取り組みの効果が顕在化したことが主要因。
契約件数の動向をみると、レンタルサーバーサービスは、新規契約を対象とした各種キャンペーンを行ったことなどにより、契約件数は42.9万件(前年同期末比1.4万件増)と堅調に増加したほか、ドメイン取得代行サービス「ムームードメイン」も、各種ドメイン割引キャンペーンを定期的に実施したことに加えて、更新率の上昇を狙った取り組みの効果により、登録ドメイン数は113.3万件(同13.7万件増)と順調に増加した。
一方、顧客単価については、共有レンタルサーバーサービスの「ロリポップ!」は性能面で専用サーバーと同等の機能を提供できるサービスを目指し、新しいレンタルサーバーの概念として次世代ホスティングの取り組みを実施。プランにおける機能面の大幅なブラッシュアップ※を行うと同時に、スタンダードプランへの導線を強化した効果と相まって、新規契約件数におけるスタンダードプランの割合は取り組みを開始する前の2014年1月の9.3%から2016年6月には37.5%へ大幅に上昇。この結果、顧客単価についても右肩あがりでの推移となった。
※サービスプランはエコノミー(月額100円、容量10GB)、ライト(同250円〜、同50GB)、スタンダード(同500円〜、同120GB)、エンタープライズ(同2,000円〜、同400GB)の4種類からなる。機能面のブラッシュアップによりスタンダードプランの場合、取り組み開始前に比べ、ページの表示速度が37倍も速くなっている。
b)EC支援事業
第2四半期累計の売上高は712百万円(前年同期比18.8%増)、同セグメント利益は307百万円(同15.1%増)と2ケタ増収・増益を確保した。これは、オンラインショップ構築ASPサービス「カラーミーショップ」の契約件数が4.4万件(前年同期末比1.3万件増)へ増加するなど堅調に推移したことや、著名なクリエイターや他社企業とのコラボレーションを展開したことによりオリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」の会員数(6月に10万人を突破)及び販売数が順調に推移したことが嵩上げ要因として働いた。
EC支援事業の主力サービスである「カラーミーショップ」※でも「ロリポップ!」と同様に有料契約件数の増加と顧客単価アップに取り組んだ効果が顕在化する格好となった。具体的には、ネットショップの認知度の向上や販売額を増加させたいユーザーニーズに対応し、高機能なプランを導入することで機能面でのソリューションを提供したことに加えて、利用店舗の認知度の向上や流通拡大を促す試みとしてカラーミーショップ大賞(2016年大賞授賞式は5月13日開催)やリアルでのイベントの取り組みを行った。この結果、カラーミーショップ新規契約件数におけるレギュラープランの割合は2014年1月の11.5%から2016年6月には35.1%まで上昇した。加えて、カラーミーショップのオプション機能を利用しているネットショップは利用していないショップに比べ1店舗当たりの流通額が4.4倍違うことに着目、オプション利用の促進に注力した効果も加わって、顧客単価は6月には前年同月比で11.1%上昇した。
※主要なサービスプランは、エコノミー(月額833円、ディスク容量200MB)、レギュラー(同3,000円、同5GB)、ラージ(同7,222円、同100GB)。
c)ハンドメイド事業
第2四半期累計の売上高は「minne」の流通額の拡大を背景に586百万円(前年同期比285.2%増)へ拡大したほか、第2四半期(4-6月)に「minne」のTVコマーシャルをしなかったことなどが利益面にプラス要因として働いたことから、セグメント損失は603百万円(前年同期はセグメント損失651百万円)へ縮小した。
具体的な「minne」の取り組みについてみると、Web広告の積極的な展開に加え、新たな取り組みとして4月28日〜30日の3日間に東京ビッグサイトで「minne」のイベントとして過去最大となるハンドメイドマーケットを開催するなど、認知度の向上を図ったことや、パン、焼き菓子、ジャム等の手作り食品を販売するカテゴリーを新たに追加しハンドメイド領域の拡大や、「minne」自体の機能改善などの内部施策を行った。これらの結果、第2四半期末における作家数は25.2万人(2015年度末17.4万人)、作品数は327万点(同209万点)、アプリのダウンロード数は602万ダウンロード(同441万ダウンロード)、流通額は4,012百万円(前年同期は1,540百万円、同160.5%増)となり、いずれも順調に拡大した。ちなみに、同業他社比較でみると、「minne」は積極投資の効果顕在化により圧倒的No.1のポジション固めが着実に進展しつつあることが窺われる結果となった。
ただ、四半期別の流通額をみると、第2四半期(4-6月)は2,041百万円となり、前年同期比では120.0%増の高い伸びとなったが、前四半期比では3.6%増と低い伸びに止まった。これは、1)第1四半期に比べプロモーション費用を抑制した、2)4月に起きた熊本地震により消費マインドが低下したことや作家活動が自粛された、3)ゴールデンウィークの影響でDAUが一時的に落ち込み購入件数が減少したことなどによる。
d)コミュニティ事業
第2四半期累計の売上高は114百万円(前年同期比17.7%減)と減収を余儀なくされたものの、セグメント利益は47百万円(同3.6%増)と増益を確保した。減収になったのは、PCユーザーが主力であるため、ブログサービス「JUGEM」の有料会員数及びPV数が引き続き減少傾向にあることに加えて、株式譲渡によりブグログが連結対象外となったことがマイナス要因として働いたことによる。にもかかわらず増益となったのは、コストコントロールによる利益確保を図ったためだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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