イグニス Research Memo(2):ジャンル別売上構成では「ネイティブソーシャルゲーム」が87.8%を占める
[16/09/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
イグニス<3689>はスマートフォンアプリ事業の単一セグメントであるが、収益モデル別に、「無料ネイティブアプリ」(広告収入モデル)、「ネイティブソーシャルゲーム」(課金収入モデル)の大きく2つのジャンルに分類している。なお、前期まで独立したジャンルとしていた「全巻無料型ハイブリッドアプリ」(広告収入モデル+課金収入モデル)については、「無料ネイティブアプリ」に含めて記載することとなった。
2016年9月期第3四半期累計期間の実績では、好調な「ぼくとドラゴン」の貢献により「ネイティブソーシャルゲーム」が売上高の約87.8%を占めている。一方、これまで同社の収益基盤を支えてきた「無料ネイティブアプリ」については、収益貢献までに時間のかかる中・大規模アプリ(更新型アプリ)に注力していることから一旦縮小しているが、これは収益構造改革を進めるに当たっての一時的な現象と見るのが妥当である。
各ジャンルの特徴は以下のとおりである。
(1)無料ネイティブアプリ(広告収入モデル)
このモデルは無料で提供するアプリ内に広告を掲載することで、広告主からの広告収入を主な収益源とする。したがって、ダウンロード数及びMAUを増やすことが広告収入の拡大に結び付く。スマートフォンの使い勝手及び日常生活の利便性を高めるツール系アプリのほか、カジュアルゲーム系アプリ、コミュニケーション系アプリなど、様々なジャンルのアプリを展開している。無料ながら有料アプリと同等の品質を保証していることに加え、利便性の追求などがユーザーからの評価を高め、ダウンロード数及びMAUの拡大に貢献してきた。特に、同社の得意分野となってきたツール系アプリは、基本的に収益貢献が3ヶ月程度であるカジュアルゲーム系と違って、長期使用を前提としたユーザー積み上げ型であり、同社の事業基盤を下支えしてきた。
前期(2015年9月期)からは、コミュニケーション領域などの更新型アプリ※(中・大規模アプリ)の開発に注力しており、更なるユーザー数の積み上げとライフタイムの長期化に取り組んでいる。また、最近の環境変化により、無料ネイティブアプリにおいても、広告収入だけではなく課金収入の重要性も高まってきている。
※試行的な運用によりユーザーの声を反映させるなどの改善を図りながら成長させていくアプリ。
一方、今期から「無料ネイティブアプリ」に含めて記載されることになった「全巻無料型ハイブリッドアプリ」(広告収入+課金収入モデル)は、コンテンツの公開期間中、毎日一定量の漫画コンテンツを無料でお試しできるところに特徴がある。継続して漫画コンテンツを読みたいユーザーは課金購入することで続きを楽しむことができ、広告収入と課金収入を合わせた収益モデルとなっているため、ハイブリッドアプリと呼称している。有力作品の配信許諾を多数獲得するなど、当該事業モデルにおいては優位性を維持しているものの、無料コミックアプリの一般化に伴う利用者の嗜好変化及び競争激化に苦戦しているため、今後は有力作品に絞ってスポット的に展開していく方針である。
(2)ネイティブソーシャルゲーム(課金収入モデル)
このモデルはアイテム課金を基本とするネイティブソーシャルゲームを提供している。ソーシャルゲームは他のユーザーとコミュニケーションを取りながらプレイするオンラインゲームである。開発本数を一定数に絞り込むことで品質の高いゲームを提供するという方針のもと、2015年5月には2作品目となる「ぼくとドラゴン」をリリースし、順調に立ち上がった。今期に入ってからも高い水準で好調を維持しており、同社の業績の伸びをけん引している。2016年8月には累計300万DLを突破、デイリー売上ランキングでも上位に収斂・定着する傾向が顕著になっており、ロングセラーゲームとしての足場を固めつつある。
同社グループは、2016年6月末現在、連結子会社9社で構成される。連結子会社には、無料ネイティブアプリの企画・開発・運営・売却を行う(株)アイビー、(株)IGNIS APPS※1、IGNIS AMERICA, INC. (米国子会社)のほか、全巻無料型ハイブリッドアプリの企画・開発・運営・売却を行う(株)イグニッション、ネイティブソーシャルゲームの企画・開発・運営・売却を行う(株)スタジオキング、新しい視点でSNSを展開するALTR THINK(株)(2014年10月に買収)のほか、2015年10月に買収した(株)U-NOTE※2などがある。なお、2016年2月1日には関連会社のM.T.Burn(株)の株式を譲渡した。
※1旧スワッグアップ(株)。
※2「仕事を楽しく、毎日をかっこ良く。」をコンセプトとしたビジネスパーソン向けキュレーションメディア「U-NOTE」を運営。
同社は各連結子会社を通じて、ゲーム及び非ゲームの領域で、広告収入及び課金収入の両方の収益モデルを手掛けており、専業への特化及び単一の収益モデルに依存しがちな同業他社と比較すると、IT 上場企業では特殊なポジショニングを取っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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イグニス<3689>はスマートフォンアプリ事業の単一セグメントであるが、収益モデル別に、「無料ネイティブアプリ」(広告収入モデル)、「ネイティブソーシャルゲーム」(課金収入モデル)の大きく2つのジャンルに分類している。なお、前期まで独立したジャンルとしていた「全巻無料型ハイブリッドアプリ」(広告収入モデル+課金収入モデル)については、「無料ネイティブアプリ」に含めて記載することとなった。
2016年9月期第3四半期累計期間の実績では、好調な「ぼくとドラゴン」の貢献により「ネイティブソーシャルゲーム」が売上高の約87.8%を占めている。一方、これまで同社の収益基盤を支えてきた「無料ネイティブアプリ」については、収益貢献までに時間のかかる中・大規模アプリ(更新型アプリ)に注力していることから一旦縮小しているが、これは収益構造改革を進めるに当たっての一時的な現象と見るのが妥当である。
各ジャンルの特徴は以下のとおりである。
(1)無料ネイティブアプリ(広告収入モデル)
このモデルは無料で提供するアプリ内に広告を掲載することで、広告主からの広告収入を主な収益源とする。したがって、ダウンロード数及びMAUを増やすことが広告収入の拡大に結び付く。スマートフォンの使い勝手及び日常生活の利便性を高めるツール系アプリのほか、カジュアルゲーム系アプリ、コミュニケーション系アプリなど、様々なジャンルのアプリを展開している。無料ながら有料アプリと同等の品質を保証していることに加え、利便性の追求などがユーザーからの評価を高め、ダウンロード数及びMAUの拡大に貢献してきた。特に、同社の得意分野となってきたツール系アプリは、基本的に収益貢献が3ヶ月程度であるカジュアルゲーム系と違って、長期使用を前提としたユーザー積み上げ型であり、同社の事業基盤を下支えしてきた。
前期(2015年9月期)からは、コミュニケーション領域などの更新型アプリ※(中・大規模アプリ)の開発に注力しており、更なるユーザー数の積み上げとライフタイムの長期化に取り組んでいる。また、最近の環境変化により、無料ネイティブアプリにおいても、広告収入だけではなく課金収入の重要性も高まってきている。
※試行的な運用によりユーザーの声を反映させるなどの改善を図りながら成長させていくアプリ。
一方、今期から「無料ネイティブアプリ」に含めて記載されることになった「全巻無料型ハイブリッドアプリ」(広告収入+課金収入モデル)は、コンテンツの公開期間中、毎日一定量の漫画コンテンツを無料でお試しできるところに特徴がある。継続して漫画コンテンツを読みたいユーザーは課金購入することで続きを楽しむことができ、広告収入と課金収入を合わせた収益モデルとなっているため、ハイブリッドアプリと呼称している。有力作品の配信許諾を多数獲得するなど、当該事業モデルにおいては優位性を維持しているものの、無料コミックアプリの一般化に伴う利用者の嗜好変化及び競争激化に苦戦しているため、今後は有力作品に絞ってスポット的に展開していく方針である。
(2)ネイティブソーシャルゲーム(課金収入モデル)
このモデルはアイテム課金を基本とするネイティブソーシャルゲームを提供している。ソーシャルゲームは他のユーザーとコミュニケーションを取りながらプレイするオンラインゲームである。開発本数を一定数に絞り込むことで品質の高いゲームを提供するという方針のもと、2015年5月には2作品目となる「ぼくとドラゴン」をリリースし、順調に立ち上がった。今期に入ってからも高い水準で好調を維持しており、同社の業績の伸びをけん引している。2016年8月には累計300万DLを突破、デイリー売上ランキングでも上位に収斂・定着する傾向が顕著になっており、ロングセラーゲームとしての足場を固めつつある。
同社グループは、2016年6月末現在、連結子会社9社で構成される。連結子会社には、無料ネイティブアプリの企画・開発・運営・売却を行う(株)アイビー、(株)IGNIS APPS※1、IGNIS AMERICA, INC. (米国子会社)のほか、全巻無料型ハイブリッドアプリの企画・開発・運営・売却を行う(株)イグニッション、ネイティブソーシャルゲームの企画・開発・運営・売却を行う(株)スタジオキング、新しい視点でSNSを展開するALTR THINK(株)(2014年10月に買収)のほか、2015年10月に買収した(株)U-NOTE※2などがある。なお、2016年2月1日には関連会社のM.T.Burn(株)の株式を譲渡した。
※1旧スワッグアップ(株)。
※2「仕事を楽しく、毎日をかっこ良く。」をコンセプトとしたビジネスパーソン向けキュレーションメディア「U-NOTE」を運営。
同社は各連結子会社を通じて、ゲーム及び非ゲームの領域で、広告収入及び課金収入の両方の収益モデルを手掛けており、専業への特化及び単一の収益モデルに依存しがちな同業他社と比較すると、IT 上場企業では特殊なポジショニングを取っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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