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フィンテック銘柄の果実を得る時期が近づいている【フィンテック革命とIT革命(2)】〜「FISCO 株・企業報」より

注目トピックス 日本株

法改正によって金融界は新たな局面へ

フィンテック銘柄への投資の果実としては、もちろん、企業の業績成長に伴う株価の上昇が挙げられるが、それと同時にTOBや株式交換などのM&Aもイグジット(資金回収)となり得る。

2016年5月に銀行法が改正されており、銀行の出資比率の制限であった5%が緩和されている。フィンテックの市場拡大は銀行にとって既存事業の侵食につながる可能性が高いと見られているため、早い段階で、金融機関によるフィンテック企業のM&Aが実現する公算は大きいと考えられる。

また、銀行法の改正とともに、仮想通貨を規制する改正資金決済法も同時に成立しており、これによって仮想通貨は決済手段の1つと解釈されることになっている。

インターネットが本格普及期を迎えたのは、1999年から2003年頃にかけてだが、この時も、2001年1月にIT基本法が施行されている。すべての国民がITの成果を享受できる高度ネットワーク社会の確立を目指し、その実現のために「世界最高水準の高度情報通信ネットワークの整備」、「電子商取引の促進」、「行政の情報化の推進および公共分野の情報化」などが掲げられた。

IT基本法が施行された2001年には、IT書面一括法や電子署名法、電子消費者契約法などが相次いで施行され、インターネット市場の広がりに一役買ったと考えられる。
その後、2013年には医薬品のネット販売が解禁されている。

こうした新分野における中心的な法律制定や法改正は、その後の具体的な詳細分野の法律制定へとつながり、規制緩和の流れも誘うことになるなど、関連分野の市場拡大の契機になり得ると考えられよう。

今回のフィンテック分野における2つの法律改正も、インターネットの本格普及期同様の展開につながっていくとみられ、規制緩和によるビジネスの広がり、新市場の誕生などが想定されることになろう。

また、繰り返しになるが、銀行や持ち株会社による事業会社への出資制限が緩み、IT企業に出資しやすくなったことで、金融機関によるフィンテックスタートアップ企業への出資比率引き上げ、あるいは、買収といった動きは早晩活発化していく可能性もあろう。

(佐藤勝己/フィスコ株式チーフアナリスト)

※本稿は実業之日本社より刊行されているムック「Jマネー FISCO 株・企業報 2016年秋冬号」の記事からの抜粋(一部修正)です。当該書籍にはフィスコが選ぶフィンテック関連注目銘柄46社が紹介されています。




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