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TYO Research Memo(4):経営統合でアジアNo.1の映像を主とする広告関連サービス提供会社へ

注目トピックス 日本株
■AOI Pro.との経営統合について

ティー・ワイ・オー<4358>は、2016年7月11日にAOI Pro.との共同持株会社設立(株式移転)による経営統合を発表した。2017年1月4日に共同持株会社「AOI TYO Holdings(株)」を設立し、両社がその傘下におさまる形態となる。これに伴い、同社株式は年内で上場廃止となり、2017年からは新設持株会社が上場企業となる予定である(株式移転比率は同社1株に対して新会社株0.18株)。

(1)背景

インターネットを中心とした媒体の多様化や、スマートフォンやタブレット端末等に代表されるデバイスの多様化に加え、通信速度やデータ解析、VRやAR等のテクノロジーの進化など、広告業界を取り巻く環境が大きく急激に変化している中で、これまでのTVCM制作では大きな成長は見込みにくくなる一方、広告に関連する事業領域は、その手法や構造の変化を伴いながらも拡大していくものと予想されている。そのような環境認識のもと、業界をリードする新たなグループを形成し、経営資源の結集及び有効活用により、「より大きなシェア」「より強い交渉力」「より強靭な資本」を保持するとともに、競争力のある先進的なビジネスモデルを構築していくことが中長期的な成長のために必要であると判断したものである。

(2)目的

業界をリードする新たなグループ企業として、先進的なビジネスモデルを構築するとともに、魅力あるサービスを提供し、日本のみならず、アジアNo.1の映像を主とする広告関連サービス提供会社へと進化を図る。

(3)効果

a)動画広告映像制作事業領域の強化
コア事業である動画広告映像制作事業においては「ブランド競争力」及び「業務効率化」、「新技術開発」、「コスト競争力」において統合の効果を追求する。すなわち、それぞれのブランドは従来通り競合関係を維持し、切磋琢磨していくことで売上機会の極大化を目指す一方、人材交流、効率化施策等の共有による業務効率化のほか、仕入共同化、ポストプロダクション(編集)部門や撮影機材レンタル部門の相互融通等によるコスト競争力の促進を図る。加えて、VRやAR等、新たな映像制作技術の開発力についても、新技術の共同開発や投資機会の拡充により格段に向上するものと考えられる。

b)戦略的事業領域の推進
同社が戦略的に取り組んできた広告主直接取引とAOI Pro.が同様に注力してきた動画コンテンツマーケティングの融合を図る。具体的には、同社の強みとする広告主直接取引については、広告主と直接取引するための営業体制やノウハウを蓄積してきた一方、広告主が求める、Webやオンライン動画に関するソリューション提供が必要となっている。一方、AOI Pro.が強みとする動画コンテンツマーケティングにおいては、拡大を続けるオンライン動画市場におけるソリューション提供を可能とする一方、広告主との直接取引となることから営業力が必要となっていた。そこで両社が相互活用を図ることによりシナジー創出が可能になるものと考えられる。

c)海外領域の加速化
海外事業については、同社が広告会社とのM&Aを進めている一方で、AOI Pro.は広告映像制作ビジネスを展開しており、機能重複がないうえ、クライアントを日系企業から現地企業へと拡大する方針が一致していることから、アジアでの両社拠点を相互活用することによりアジア戦略の加速化を図る。

加えて、共同持株会社体制により、共通の経営戦略のもと、成長分野に両社の経営資源を効率的に配分することができるようになるため、経営の機動性や効率性が増すとともに、これまで以上に前向きなリスクテイクが可能となり、業界の変化への適応力が高まるものと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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