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コネクシオ Research Memo(3):主力は個人向けの携帯電話販売だが、法人向けにソリューションサービスも拡大

注目トピックス 日本株
■事業概要

1. 主力事業は携帯電話の販売代理店だが、法人向けに各種ソリューションサービスも展開
基幹事業は携帯電話の販売・御売及び関連したアフターサービスやソリューションの提供だが、それ以外にプリペイドカードの販売なども手掛けている。個人向けのコンシューマ事業と法人向けの法人事業の2つのセグメントとして開示されており、2016年3月期(2015年4月-2016年3月)におけるセグメント別売上構成は、コンシューマ事業93.8%、法人事業6.2%であった。また同期間の営業利益(全社費用消去前)の構成比率は、コンシューマ事業83.1%、法人事業16.9%であった。

携帯電話の販売には、正確には端末(筐体、ハードウェア)の販売と通信回線の契約が含まれるが、前者は一般的な家電製品と同様であり、コネクシオ<9422>においても端末販売時に「商品売上高」として計上される。通信回線については、実際に契約を行うのは利用者(個人、法人等)と通信キャリアであり、同社はあくまで契約を取り次ぐ立場であることから、同社への売上高は契約成立時及びその後一定期間において取次ぎの「手数料収入」として計上される。また後述するように、法人事業におけるプリペイドカード販売は別セクターとして売上高が開示されている。

2. コンシューマ事業:キャリア認定ショップでの個人向け販売が中心
個人顧客向けに携帯電話の販売を行う事業で、全国にキャリア認定ショップ※(ドコモショップ、auショップ、ソフトバンクショップ)を展開(運営)して携帯電話やアクセサリー等の販売を行っている。この他に、大手カメラ/家電量販店への携帯電話の卸売や販売支援も行っている。また、同社が独自開発したポータルサイト「nexi(ネクシィ)」の運営も行っている。コンシューマ事業の売上高は、携帯電話、スマートフォンなどの端末及びその携帯周辺商材の商品売上高と通信キャリア等からの手数料収入からなっている。2016年3月期における商品売上高は200,334百万円(コンシューマ事業売上高に占めるウエイト75.9%)、手数料収入63,500百万円(同24.1%)であったが、利益率は後者のほうが高い。

※キャリア認定ショップとは、キャリアのブランドを冠した公認ショップ。非認定ショップでは複数キャリアの販売を行う場合もある。

(1) キャリア認定ショップ
2016年12月末の店舗数は420店で、このうち直営店が271店、残りの149店が2次販売代理店への運営委託となっている。内訳を通信キャリア別に見ると、NTTドコモが369店舗(直営241店舗、運営委託128店舗)、auは46店舗(直営25店舗、運営委託21店舗)、ソフトバンクは直営のみの5店舗となっている。最多のドコモショップに関しては、店舗数及び販売台数のいずれも、ドコモ代理店でNo.1となっている。

一般的な小売業と同様に、同社の事業においても店舗数を増やして来店客の増加を図り、販売・契約を増加させることが事業拡大につながる。店舗数は全国で飽和状態にあるため更なる収益向上のためには、既存店舗での来客数を増やすことや顧客当たりの収益性改善が重要になってくる。そこで同社では、顧客から「来店したいと思われるキャリア認定ショップ」になることを目指して、直近では積極的な店舗の移転や改装によるリニューアルを行っており、「お客様に選んでもらえる」付加価値の高いショップづくりを推進している。加えて、アクセサリー等の携帯周辺商材のラインナップ充実、来店予約制度の導入、シニア層向けスマートフォン教室の開催など、店舗ごとに様々な施策を展開している。

(2) 大手カメラ/家電量販店
上記の認定ショップでの販売に加えて、大手カメラ/家電量販店で携帯電話の卸売販売を行うとともに、店頭での販売支援も行っている。加えて店内に「サービスコーナー」を設け、料金の支払い受付や端末の修理、各種相談などのアフターサービスも行っている。

さらに、これらの携帯電話販売を支えるために、高い処理能力を誇る物流・開通センターを有している。具体的には、物流センターでは携帯電話の入出荷及び在庫を集中管理し、徹底した在庫管理で各店舗に人気商品や新商品をタイムリーに供給し、販売機会のロスを防いでいる。一方、開通センターは顧客が購入した携帯電話の回線開通業務や機種変更に伴う各種手続きなどを迅速に行うことで、顧客満足度向上をサポートしている。

3. 法人事業:携帯電話販売に加えてソリューションサービスも展開
法人顧客に対する携帯電話等の通信サービスの契約取次、アフターサービスの提供、携帯電話端末等の販売のほか、様々なソリューションサービスを提供する事業である。加えて、コンビニエンスストアへのプリペイドカード等の商品販売及びIoTソリューションの提供も手掛けている。

法人事業の売上高は、携帯電話端末及び携帯周辺商材の販売からなる商品売上高、通信キャリア等からの手数料やソリューションサービスの売上からなる手数料収入、プリペイドカード販売のプリペイドカード情報の3つで構成される。2016年3月期における商品売上高は6,007百万円(法人事業売上高に占めるウエイト34.4%)、手数料収入7,552百万円(同43.2%)、プリペイドカード情報3,913百万円(同22.4%)であった。

(1) 法人向けの様々なソリューションサービス
法人企業向けでは、携帯電話販売に加えてスマートフォンの運用管理業務受託サービス(初期設定代行、ヘルプデスク等のBPOサービス)を提供するマネージドサービスのほか、スマートフォンをビジネスに活用するための各種ソリューションサービスをワンストップで提供するモバイル・ビズ・スイート(mbs)を提供している。このうち、モバイル運用の強みを生かし、スマートフォンを導入した企業に対して24時間365日体制で、多機能なスマートフォンを使いこなすために必要なサポートを提供するヘルプデスクサービスが順調に拡大する傾向にある。同サービスは、主にセキュリティを重視する金融機関や保険会社からの利用が多い。同サービスのコールセンターはオペレーター数で100名規模体制となっている。

(2) プリペイドカード販売
全国のファミリーマート<8028>を始め、複数のコンビニチェーン(スリーエフ<7544>、ポプラ<7601>)においてプリペイドカードを販売する。加えて、全国の小売店・Webサービス会社に対してプリペイドカードの発行支援※も行っている。

※具体的な導入事例として、オイシックスギフトカード(安心安全でおいしい食材を宅配するネットスーパー・オイシックス(Oisix)<3182>の食材と交換ができるギフトカード)、OPTiMカード(IoTプラットフォーム企業のオプティム<3694>が提供する人気雑誌の読み放題サービス「タブホ」が利用可能なプリペイドカード)などが挙げられる。

(3) IoTソリューション
作業機械や車両等、様々な機器から遠隔でビッグデータの収集を実現する、企業のIoT導入に必要なソリューション(各種デバイスや通信回線、プラットフォーム、導入支援等)を提供しており、特殊車両や自動販売機などへの納入実績は、30万台規模に達する。最近では、同社の強みである携帯電話の販売代理店としての通信に関する豊富な知識や通信機能組み込み技術を生かしたIoTモジュール製品の開発にも注力している。

(4) MVNO支援事業
MVNO事業への参画を希望する企業に対して、MVNO回線の仕入れ、端末の仕入れ、回線申し込みの受付、料金管理、ユーザーサポートなどの必要な機能を提供する支援サービスを2016年5月から開始している。

4. 特色、強み
(1) 大手としての資金力、信用力、社員教育等に強み
携帯電話事業の重要な要素である機種や通信料金などはキャリアが決定するため、この点において同社を含めた代理店に決定権はなく、同業他社との差別化はできない。したがって差別化が可能なのは、既存店の立地や内装、販売社員の接客マナー等と言うことになる。この点において同社は、記述のように「コミュニケーション・ネットワークの世界でお客様一人ひとりの想いを先取りしたサービスを創出し 最も頼りになるパートナーとなる」という10年ビジョンを掲げ、顧客から「来店したい」と思われるキャリア認定ショップになることを目指し、付加価値の高いショップづくりを推進している。

このように付加価値の高いショップを展開するためには、店舗リニューアル投資を行う資金力、社員教育を行う経験・ノウハウ等が必要であり、この点で同社は、上場企業であること、携帯電話販売では長い歴史を有していることなどから、業界の中では比較的優位であると言える。

(2) 複数ブランド展開
同社事業の中心はドコモショップだが他のキャリアショップも展開しており、さらに運営店舗は全国に拡がっている。この点は他の大手代理店も同様であるが、中小代理店に比べて店舗展開におけるリスクはある程度は分散されていると言える。

(3) 法人事業への展開力
既に同社では法人向けに、携帯電話販売だけでなく、各種のソリューションや管理業務、コールセンターサービス等を展開している。この法人事業は今後同社の成長ドライバーとして期待される分野だが、大手商社系としての人脈や情報網、技術力などを生かしていけば、この分野を拡大していくことは十分可能だろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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