サカタインクス Research Memo(3):印刷インキ事業主力で環境配慮型の高機能・高付加価値製品に強み
[17/03/10]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
1. 印刷インキ事業を主力としてグローバル展開
グループ企業は2016年12月期末現在、サカタインクス<4633>、連結子会社23社、及び持分法適用関連会社6社及び非連結子会社2社で構成されている。2016年12月に買収したブラジルのクリエイティブ社(非連結子会社)を含めて、日本及び海外合わせて18の国・地域に印刷用インキ製造販売拠点を展開している。
紙媒体用インキ(新聞インキ、オフセットインキ)及びパッケージ用インキ(フレキソインキ、グラビアインキ、メタルインキ)を製造・販売する印刷インキ事業を主力として、印刷製版用材料や印刷製版用関連機器を仕入・販売する印刷用機材事業、インクジェットインキ、トナー、カラーフィルター用顔料分散液、機能性コーティング剤などを製造・販売する機能性材料事業、その他事業(日本市場向け化成品関連事業、ディスプレイ関連事業、色彩機材関連事業)を、グローバル展開している。
印刷インキ事業は、日本・アジア・北米及び欧州の各市場向けに、紙媒体用インキ(新聞印刷用の新聞インキ、書籍・雑誌・カタログ・ポスター・チラシ・伝票など各種商業印刷物印刷用のオフセットインキ)、及びパッケージ用インキ(段ボールや紙器などパッケージ印刷用のフレキソインキ、食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルム製包材パッケージ印刷用のグラビアインキ、飲料缶など金属印刷用のメタルインキ)を製造・販売している。
印刷用機材事業は主として日本市場向けに、CTP(Computer to Plate)セッター、CTP版、インクジェットプルーファー、インクジェットプルーフ用紙、編集用ソフトウェア、オンデマンド印刷機、カラーマネジメントシステム、有機溶剤回収装置などの印刷製版用材料や印刷製版用関連機器を仕入・販売している。
機能性材料事業は、日本・アジア・北米及び欧州の各市場向けに、デジタル印刷材料(電車・バスのラッピング広告や交通広告などに使用される産業用インクジェットインキ、カラートナー、モノクロトナー)、画像表示材料(カラーフィルター用顔料分散液)、及び機能性コーティング剤を製造・販売している。売上高はデジタル印刷材料が約7割を占めている。
その他事業は主として日本市場向けに、化成品事業(阪田産業(株))、ディスプレイサービス関連事業(サカタラボステーション(株))、及び色彩関連機材事業(サカタインクスエンジニアリング(株))などを行っている。
主力の印刷インキ事業及び機能性材料事業は、グローバル展開加速と各地域特性に応じた製品戦略推進、環境配慮型高機能・高付加価値製品拡販による数量増で、収益拡大を目指している。
なお連結決算における報告セグメントは、印刷インキ・機材(日本)、印刷インキ(アジア)、印刷インキ(北米)、印刷インキ(欧州)、機能性材料、その他事業としている。
2. アジアと北米が収益柱に成長
2016年12月期の連結売上高は151,198百万円で、セグメント別売上高(連結調整前)構成比は、印刷インキ・機材(日本)が34.7%、印刷インキ(アジア)が17.8%、印刷インキ(北米)が26.5%、印刷インキ(欧州)が4.9%、機能性材料が6.4%、その他が9.7%だった。
また2016年12月期の営業利益は10,119百万円で、セグメント別営業利益(連結調整前)構成比は、印刷インキ・機材(日本)が26.6%、印刷インキ(アジア)が33.5%、印刷インキ(北米)が23.4%、印刷インキ(欧州)が2.3%、機能性材料が9.8%、その他が4.4%だった。グローバル展開加速や環境配慮型高機能・高付加価値製品拡販によって、市場拡大余地の大きいアジアと北米が収益柱に成長している。
3. 日本で3位、北米で3位、世界で4位の印刷インキメーカー
なお売上高ランキングで見ると、同社は日本で3位、北米で3位(出典:INK WORLD「North American Top 20 Ink Industry Report」2016.3.30)、そして世界で4位(出典:INK WORLD「The 2016 Top International Ink Companies Report」2016.8.5)という大手印刷インキメーカーである。
4. 環境配慮型高機能・高付加価値製品に強み
1896年創業以来、120年の歴史の中で培われた環境配慮型の高機能・高付加価値製品の開発力、製品の高い信頼性・品質力を強みとしている。
新聞インキでは自然な色・鮮やかな発色性を求め、色再現範囲の拡大・網点再現性の向上・ドットゲインの最適化によって高紙面品質を追求した高発色性インキ「ニュースウェブマスター エコピュア」を開発し高評価を得ている。またカラー紙面の高品質化や、新聞製作システムの上流から下流までの、色に関する管理を行うカラーマネジメントシステムの技術力と実績が、新聞社から大きな信頼を得ている。
オフセットインキでは、業界に先駆けて環境に配慮した製品の市場導入を図り、高速オフ輪インキ、枚葉インキ、湿し水など多様なニーズに対応できるインキを始め、近年普及が進む高感度UV印刷機に対応した紫外線硬化型UVインキ「ドリームキュア」シリーズの展開も進めている。
パッケージ用インキの分野では、業界に先駆け早くから開発を始めた段ボール用水性フレキソインキで国内シェア1位を誇り、製紙業界に機能性コーティング剤など多様な新技術を提供している。また、主に食品包装などに使用されるフィルムパッケージ用のグラビアインキでは、植物由来材料を使用した「ボタニカルインキ」など、環境に配慮した高性能・高品質なインキを提供している。
国内・海外ともミドルレンジ以上の環境配慮型高機能・高付加価値製品を主力としている。そして市場拡大余地・市場開拓余地の大きい環境配慮型高機能・高付加価値製品の分野で高シェアを誇っている。
紙媒体用インキの分野では、新聞インキ、及び雑誌・パンフレット用などのオフセットインキで、いずれも環境配慮型製品の比率が100%に達している。またパッケージ用インキの分野の市場シェアは、段ボールや紙器などパッケージ印刷用フレキソインキが国内1位、食品・日用品などフィルムパッケージ印刷用グラビアインキが国内2位、飲料缶など金属印刷用メタルインキが世界1位と高シェアを誇っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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1. 印刷インキ事業を主力としてグローバル展開
グループ企業は2016年12月期末現在、サカタインクス<4633>、連結子会社23社、及び持分法適用関連会社6社及び非連結子会社2社で構成されている。2016年12月に買収したブラジルのクリエイティブ社(非連結子会社)を含めて、日本及び海外合わせて18の国・地域に印刷用インキ製造販売拠点を展開している。
紙媒体用インキ(新聞インキ、オフセットインキ)及びパッケージ用インキ(フレキソインキ、グラビアインキ、メタルインキ)を製造・販売する印刷インキ事業を主力として、印刷製版用材料や印刷製版用関連機器を仕入・販売する印刷用機材事業、インクジェットインキ、トナー、カラーフィルター用顔料分散液、機能性コーティング剤などを製造・販売する機能性材料事業、その他事業(日本市場向け化成品関連事業、ディスプレイ関連事業、色彩機材関連事業)を、グローバル展開している。
印刷インキ事業は、日本・アジア・北米及び欧州の各市場向けに、紙媒体用インキ(新聞印刷用の新聞インキ、書籍・雑誌・カタログ・ポスター・チラシ・伝票など各種商業印刷物印刷用のオフセットインキ)、及びパッケージ用インキ(段ボールや紙器などパッケージ印刷用のフレキソインキ、食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルム製包材パッケージ印刷用のグラビアインキ、飲料缶など金属印刷用のメタルインキ)を製造・販売している。
印刷用機材事業は主として日本市場向けに、CTP(Computer to Plate)セッター、CTP版、インクジェットプルーファー、インクジェットプルーフ用紙、編集用ソフトウェア、オンデマンド印刷機、カラーマネジメントシステム、有機溶剤回収装置などの印刷製版用材料や印刷製版用関連機器を仕入・販売している。
機能性材料事業は、日本・アジア・北米及び欧州の各市場向けに、デジタル印刷材料(電車・バスのラッピング広告や交通広告などに使用される産業用インクジェットインキ、カラートナー、モノクロトナー)、画像表示材料(カラーフィルター用顔料分散液)、及び機能性コーティング剤を製造・販売している。売上高はデジタル印刷材料が約7割を占めている。
その他事業は主として日本市場向けに、化成品事業(阪田産業(株))、ディスプレイサービス関連事業(サカタラボステーション(株))、及び色彩関連機材事業(サカタインクスエンジニアリング(株))などを行っている。
主力の印刷インキ事業及び機能性材料事業は、グローバル展開加速と各地域特性に応じた製品戦略推進、環境配慮型高機能・高付加価値製品拡販による数量増で、収益拡大を目指している。
なお連結決算における報告セグメントは、印刷インキ・機材(日本)、印刷インキ(アジア)、印刷インキ(北米)、印刷インキ(欧州)、機能性材料、その他事業としている。
2. アジアと北米が収益柱に成長
2016年12月期の連結売上高は151,198百万円で、セグメント別売上高(連結調整前)構成比は、印刷インキ・機材(日本)が34.7%、印刷インキ(アジア)が17.8%、印刷インキ(北米)が26.5%、印刷インキ(欧州)が4.9%、機能性材料が6.4%、その他が9.7%だった。
また2016年12月期の営業利益は10,119百万円で、セグメント別営業利益(連結調整前)構成比は、印刷インキ・機材(日本)が26.6%、印刷インキ(アジア)が33.5%、印刷インキ(北米)が23.4%、印刷インキ(欧州)が2.3%、機能性材料が9.8%、その他が4.4%だった。グローバル展開加速や環境配慮型高機能・高付加価値製品拡販によって、市場拡大余地の大きいアジアと北米が収益柱に成長している。
3. 日本で3位、北米で3位、世界で4位の印刷インキメーカー
なお売上高ランキングで見ると、同社は日本で3位、北米で3位(出典:INK WORLD「North American Top 20 Ink Industry Report」2016.3.30)、そして世界で4位(出典:INK WORLD「The 2016 Top International Ink Companies Report」2016.8.5)という大手印刷インキメーカーである。
4. 環境配慮型高機能・高付加価値製品に強み
1896年創業以来、120年の歴史の中で培われた環境配慮型の高機能・高付加価値製品の開発力、製品の高い信頼性・品質力を強みとしている。
新聞インキでは自然な色・鮮やかな発色性を求め、色再現範囲の拡大・網点再現性の向上・ドットゲインの最適化によって高紙面品質を追求した高発色性インキ「ニュースウェブマスター エコピュア」を開発し高評価を得ている。またカラー紙面の高品質化や、新聞製作システムの上流から下流までの、色に関する管理を行うカラーマネジメントシステムの技術力と実績が、新聞社から大きな信頼を得ている。
オフセットインキでは、業界に先駆けて環境に配慮した製品の市場導入を図り、高速オフ輪インキ、枚葉インキ、湿し水など多様なニーズに対応できるインキを始め、近年普及が進む高感度UV印刷機に対応した紫外線硬化型UVインキ「ドリームキュア」シリーズの展開も進めている。
パッケージ用インキの分野では、業界に先駆け早くから開発を始めた段ボール用水性フレキソインキで国内シェア1位を誇り、製紙業界に機能性コーティング剤など多様な新技術を提供している。また、主に食品包装などに使用されるフィルムパッケージ用のグラビアインキでは、植物由来材料を使用した「ボタニカルインキ」など、環境に配慮した高性能・高品質なインキを提供している。
国内・海外ともミドルレンジ以上の環境配慮型高機能・高付加価値製品を主力としている。そして市場拡大余地・市場開拓余地の大きい環境配慮型高機能・高付加価値製品の分野で高シェアを誇っている。
紙媒体用インキの分野では、新聞インキ、及び雑誌・パンフレット用などのオフセットインキで、いずれも環境配慮型製品の比率が100%に達している。またパッケージ用インキの分野の市場シェアは、段ボールや紙器などパッケージ印刷用フレキソインキが国内1位、食品・日用品などフィルムパッケージ印刷用グラビアインキが国内2位、飲料缶など金属印刷用メタルインキが世界1位と高シェアを誇っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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