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イーストン Research Memo(7):ルネサスエレクトロニクス製品の販売を伸ばすことが第1の成長戦略

注目トピックス 日本株
■中期経営計画『Project “C”』と成長戦略の進捗状況

2. ルネサスエレクトロニクスの成長戦略商品の売上拡大
ルネサスエレクトロニクスは事業ポートフォリオの選択と集中を進めているが、その中で注力事業として強化・拡大が打ち出されているのが、自動車向けと産業向けだ。ルネサスイーストン<9995>もルネサスエレクトロニクスの有力特約店として、歩調を合わせて自動車・産業両市場向けの販売を伸ばすことを、成長戦略の第1に掲げている。

同社はかねてより、「デザイン-イン」活動を重視した営業活動を行ってきた。これは、顧客が新製品を設計する段階で顧客ニーズを満たすソリューション提案を行い、同社の取り扱うルネサスエレクトロニクス製品を顧客の新製品の仕様に組み込ませるといった方式の営業活動である。主力の顧客事業分野である、「自動車」と「産業」の分野においてはデザイン-イン活動を通じたアプローチが非常に重要となっている。

2017年3月期については期初の時点では、自動車分野向け330億円、産業分野向け320億円の合計650億円分のデザイン-イン活動を計画していた。これに対する進捗状況は、2017年3月期第2四半期実績で、自動車分野218億円、産業分野110億円の合計328億円となっている。下期においてはそれぞれ、182億円、140億円を計画しており、2017年3月期通期では自動車分野400億円、産業分野250億円の合計650億円となっている。期初計画と比較して自動車分野が上積みされた一方、産業分野が減少した。

2017年3月期第2四半期におけるデザイン-インの事例には、自動車関連では車車間通信システム、ADAS ECU、二輪向けエンジン制御などが、産業関連ではインダストリー4.0システム、産業用マルチモニタ、医療機器向けIoTシステムなどがある。

2017年3月期のルネサスエレクトロニクス製品の売上高は、61,400百万円を計画している。産業分野の需要の弱さを反映し、期初の61,600百万円の見通しから微調整された。2015年3月期の69,500百万円から大きく減少しているが、これはルネサスエレクトロニクスの事業ポートフォリオ改革の影響だ。ルネサスエレクトロニクスの事業構造改革は2016年3月期で完了し、2017年12月期からは増収に転じる計画だ。これを受けて、同社のルネサスエレクトロニクス製品の売上高も増収トレンドに転換していくと弊社ではみている。

2017年3月期中の進捗の代表例としては、自動車分野ではV2X通信システムソリューションにおけるルネサスエレクトロニクス製品(R-Carマイコン)の採用がある。V2Xとは自動車と自動車(V2V)や自動車とインフラ(V2I)など、自動車を軸に周囲の様々なものとの間で通信し、効率的な交通システムの確立と事故防止を目指すものだ。将来の自動運転実用化につながる重要技術とも位置付けられている。

産業分野では、インダストリー4.0システムソリューションとしてルネサスエレクトロニクス製品(R-IN32M3マイコン)の採用が代表事例として挙げられる。顧客企業の産業ネットワークや工場間ネットワークを活用し、生産性・品質の向上を図りたいというニーズに、R-INマイコンの性能を生かしてリアルタイム応答性能やネットワーク性能向上という形で応えた。

また、ルネサスエレクトロニクスではブロードベース市場を攻略する新製品として、組込みソフトウェア“Renesas Synergy”を開発・リリースしている。これは同社のマイコンにあらかじめ組み込みまれるOS・ミドルウェアで、利用者側はシステム開発期間を短縮し開発コスト削減につなげられるメリットがある。“Renesas Synergy”が広く普及すれば、パソコンにおけるOS“Windows”シリーズのようにプラットフォームビジネスの展開が可能になる。2017年3月期は医療機器向けのIoTシステムソリューションにRZマイコンとRenesas Synergy”が採用された事例などが積み上がりつつある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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