ビューティ花壇 Research Memo(6):単価下落の影響のほか、将来に向けた抜本的な物流改革により業績は踊り場
[17/03/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ビューティ花壇<3041>の業績動向
1. 過去の業績推移
過去6期分(2011年6月期−2016年6月期)の業績を振り返ると、2014年6月期までは、主力の「生花祭壇事業」が伸び悩みを見せるなかで、「生花卸売事業」や「ブライダル装花事業」の伸長、M&Aにより参入した新規事業(土木・建設事業、その他の事業)により、事業規模を拡大してきた。ただ、2016年6月期は、「土木・建設事業」からの撤退の影響や単価下落の進展等により業績は踊り場を迎えている。
一方、営業利益率は、「生花祭壇事業」における単価下落や円安による仕入原価の高騰などを受けて低下傾向をたどってきた。特に、2014年6月期は単価下落が想定以上に急速なペースで進んだことから営業利益率は大きく低下した。2016年6月期は、労務費の圧縮や原価低減の取り組みにより若干改善している。
なお、過去6期におけるM&Aの実績は、2012年2月の昇建設(土木・建設事業)、2012年4月のSHF(その他の事業)、2012年6月のビンク(その他の事業)、2013年4月の花時(生花祭壇及び生花卸売事業)、2013年10月のマイ・サクセス(生花卸売事業)、2015年6月のキャリアライフサポート(その他の事業)が挙げられる。
一方、資本効率を示す自己資本利益率(ROE)は、利益率の低下に伴って大きく低下した。2015年6月期は特別損失の計上により純損失に陥ったことからマイナスとなっている。また、財務基盤の安定性を示す自己資本比率も有利子負債残高の増加とともに低下している。同社が「業界のコストリーダー」として事業拡大を実現するためには、収益力の強化とともに財務基盤の増強が課題となるだろう。
当座比率については、2015年6月期末において3期ぶりに100%以上となると、2016年6月期末も流動負債の減少(主に短期借入金の減少、未払法人税及び消費税の減少)により134.7%とさらに改善した。固定長期適合率については、長期資金の調達により62.3%と前期末より17.4ポイント改善している。
2. 2017年6月期上期決算の概要
2017年6月期上期の業績は、売上高が前年同期比2.6%増の2,938百万円、営業損失が43百万円(前年同期は41百万円の利益)、経常損失が53百万円(同45百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が51百万円(同21百万円の利益)と増収ながら減益となり、営業損失を計上した。
主力の生花祭壇事業において、受注単価の下落傾向が続くなかで、受注件数の拡大などが増収に寄与した。ただ、事業再編中の生花卸売事業を始め、ブライダル装花事業、その他の葬儀関連サービスが総じて低調に推移したことにより、売上高全体では微増にとどまった。
一方、利益面では、生花祭壇事業における単価下落のほか、受注件数の拡大に対応するための労務費増により原価率が上昇したことに加え、生花卸売事業の事業再編等にかかる費用等により営業損失に陥った。
財務面では、総資産が「現金及び預金」の増加などにより3,226百万円(前期末比11.9%増)に拡大した一方、自己資本は純損失の計上に伴い491百万円(同13.0%減)に縮小したことから自己資本比率は15.2%に低下した。また、有利子負債残高(リース債務を除く)は長短合わせて2,038百万円(同21.2%増)に増加したが、短期の支払能力を示す流動比率は144.7%の高い水準を維持しており、財務の安全性に懸念はない。
事業別の業績は以下のとおりである。
a) 生花祭壇事業
生花祭壇事業は、売上高が前年同期比5.2%増の1,570百万円、セグメント利益が同0.2%減の128百万円であった。葬儀業全体の売上単価がほぼ横ばいで推移するなかで、引き続き、加工物流センターを生かした低価格商品の推進等により、生花祭壇(単体)の受注件数(施行件数)が9,503件(前年同期比7.4%増)に拡大したことや、新たに開設した成田営業所(9月から営業開始)が増収に寄与した。特に、受注件数については、関東エリアが4,789件(前年同期比12.3%増)と大きく伸びてり、シェア拡大に向けた取り組みが奏功していると言える。一方、受注単価については59,676円(前年同期比4.6%減)と下落しており、そのうち関東エリアにおいては55,460円(同6.5%減)と下落率が高くなっているが、ほぼ想定内のようだ。
利益面では、単価下落による影響のほか、受注件数の大幅な拡大に対応するための労務費増(採用費を含む)からセグメント利益率は8.2%(前年同期は8.7%)に低下した。特に、1月から2月の年間ピーク時に備えてあらかじめスタッフを確保(体制準備)したことから、上期においては稼働率にやや意図的な余剰感が生じたものとみられる。
b) 生花卸売事業
生花卸売事業は、売上高が前年同期比2.7%増の860百万円、セグメント損失が9百万円(前年同期は58百万円の利益)であった。輸入卸売部門が抜本的な物流改革に向けた事業再編(産地との従来型の取引慣行等の見直し)などにより落ち込んだが、国内流通部門が堅調に推移したことで微増収を確保した。ただ、利益面では、輸入卸売部門の売上減や事業再編等にかかる費用等によりセグメント損失に陥った。
c) ブライダル装花事業
ブライダル装花事業は、売上高が前年同期比8.0%減の248百万円、セグメント利益が同28.2%減の32百万円であった。銀座・葉山2会場での生花装飾の独占業務委託による売上げは堅調に推移したものの、全体的な受注単価の下落に加えて、関東エリアにおける件数微減の影響により減収となった。また、利益面でも減収による押し下げのほか、一部原価率の高い案件を受注した影響により利益率が低下した。
d) その他の事業
その他の事業は、売上高が前年同期比0.8%減の259百万円、セグメント損失が15百万円(前年同期は3百万円の損失)であった。葬儀業務支援システム販売や、冠婚葬祭に関する企画並びにコンサルタント業務など、葬儀関連事業が総じて低調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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1. 過去の業績推移
過去6期分(2011年6月期−2016年6月期)の業績を振り返ると、2014年6月期までは、主力の「生花祭壇事業」が伸び悩みを見せるなかで、「生花卸売事業」や「ブライダル装花事業」の伸長、M&Aにより参入した新規事業(土木・建設事業、その他の事業)により、事業規模を拡大してきた。ただ、2016年6月期は、「土木・建設事業」からの撤退の影響や単価下落の進展等により業績は踊り場を迎えている。
一方、営業利益率は、「生花祭壇事業」における単価下落や円安による仕入原価の高騰などを受けて低下傾向をたどってきた。特に、2014年6月期は単価下落が想定以上に急速なペースで進んだことから営業利益率は大きく低下した。2016年6月期は、労務費の圧縮や原価低減の取り組みにより若干改善している。
なお、過去6期におけるM&Aの実績は、2012年2月の昇建設(土木・建設事業)、2012年4月のSHF(その他の事業)、2012年6月のビンク(その他の事業)、2013年4月の花時(生花祭壇及び生花卸売事業)、2013年10月のマイ・サクセス(生花卸売事業)、2015年6月のキャリアライフサポート(その他の事業)が挙げられる。
一方、資本効率を示す自己資本利益率(ROE)は、利益率の低下に伴って大きく低下した。2015年6月期は特別損失の計上により純損失に陥ったことからマイナスとなっている。また、財務基盤の安定性を示す自己資本比率も有利子負債残高の増加とともに低下している。同社が「業界のコストリーダー」として事業拡大を実現するためには、収益力の強化とともに財務基盤の増強が課題となるだろう。
当座比率については、2015年6月期末において3期ぶりに100%以上となると、2016年6月期末も流動負債の減少(主に短期借入金の減少、未払法人税及び消費税の減少)により134.7%とさらに改善した。固定長期適合率については、長期資金の調達により62.3%と前期末より17.4ポイント改善している。
2. 2017年6月期上期決算の概要
2017年6月期上期の業績は、売上高が前年同期比2.6%増の2,938百万円、営業損失が43百万円(前年同期は41百万円の利益)、経常損失が53百万円(同45百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が51百万円(同21百万円の利益)と増収ながら減益となり、営業損失を計上した。
主力の生花祭壇事業において、受注単価の下落傾向が続くなかで、受注件数の拡大などが増収に寄与した。ただ、事業再編中の生花卸売事業を始め、ブライダル装花事業、その他の葬儀関連サービスが総じて低調に推移したことにより、売上高全体では微増にとどまった。
一方、利益面では、生花祭壇事業における単価下落のほか、受注件数の拡大に対応するための労務費増により原価率が上昇したことに加え、生花卸売事業の事業再編等にかかる費用等により営業損失に陥った。
財務面では、総資産が「現金及び預金」の増加などにより3,226百万円(前期末比11.9%増)に拡大した一方、自己資本は純損失の計上に伴い491百万円(同13.0%減)に縮小したことから自己資本比率は15.2%に低下した。また、有利子負債残高(リース債務を除く)は長短合わせて2,038百万円(同21.2%増)に増加したが、短期の支払能力を示す流動比率は144.7%の高い水準を維持しており、財務の安全性に懸念はない。
事業別の業績は以下のとおりである。
a) 生花祭壇事業
生花祭壇事業は、売上高が前年同期比5.2%増の1,570百万円、セグメント利益が同0.2%減の128百万円であった。葬儀業全体の売上単価がほぼ横ばいで推移するなかで、引き続き、加工物流センターを生かした低価格商品の推進等により、生花祭壇(単体)の受注件数(施行件数)が9,503件(前年同期比7.4%増)に拡大したことや、新たに開設した成田営業所(9月から営業開始)が増収に寄与した。特に、受注件数については、関東エリアが4,789件(前年同期比12.3%増)と大きく伸びてり、シェア拡大に向けた取り組みが奏功していると言える。一方、受注単価については59,676円(前年同期比4.6%減)と下落しており、そのうち関東エリアにおいては55,460円(同6.5%減)と下落率が高くなっているが、ほぼ想定内のようだ。
利益面では、単価下落による影響のほか、受注件数の大幅な拡大に対応するための労務費増(採用費を含む)からセグメント利益率は8.2%(前年同期は8.7%)に低下した。特に、1月から2月の年間ピーク時に備えてあらかじめスタッフを確保(体制準備)したことから、上期においては稼働率にやや意図的な余剰感が生じたものとみられる。
b) 生花卸売事業
生花卸売事業は、売上高が前年同期比2.7%増の860百万円、セグメント損失が9百万円(前年同期は58百万円の利益)であった。輸入卸売部門が抜本的な物流改革に向けた事業再編(産地との従来型の取引慣行等の見直し)などにより落ち込んだが、国内流通部門が堅調に推移したことで微増収を確保した。ただ、利益面では、輸入卸売部門の売上減や事業再編等にかかる費用等によりセグメント損失に陥った。
c) ブライダル装花事業
ブライダル装花事業は、売上高が前年同期比8.0%減の248百万円、セグメント利益が同28.2%減の32百万円であった。銀座・葉山2会場での生花装飾の独占業務委託による売上げは堅調に推移したものの、全体的な受注単価の下落に加えて、関東エリアにおける件数微減の影響により減収となった。また、利益面でも減収による押し下げのほか、一部原価率の高い案件を受注した影響により利益率が低下した。
d) その他の事業
その他の事業は、売上高が前年同期比0.8%減の259百万円、セグメント損失が15百万円(前年同期は3百万円の損失)であった。葬儀業務支援システム販売や、冠婚葬祭に関する企画並びにコンサルタント業務など、葬儀関連事業が総じて低調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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