ザインエレクトロニクス Research Memo(6):長期的には車載機器向け製品の成長ポテンシャルの高さに注目
[17/03/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ザインエレクトロニクス<6769>の今後の見通し
2. 戦略市場
(1) 民生機器市場
今後、3年間で最も成長が期待される製品は、次世代USB規格(USB3.1 Gen2)対応の高速インターフェース用半導体及び周辺回路も含めたモジュール品となる。次世代USB規格品は既に出始めているが、本格的に普及するのはMPU大手が次世代規格に対応するMPUを投入予定の2017年からになると見られており、2020年にはPC・周辺機器やVR機器、デジタル家電製品を中心に世界で20億ポートまで需要が拡大すると予測されている。
同社が開発するインターフェース用半導体は、独自の伝送技術により伝送距離を延伸することが可能となっている。現状、同規格では10Gbpsの動作保証距離を1mとしているが、同社製品は数mまで延伸することが可能と見ており、利便性の向上が期待できる。同社では2017年に量産を開始するほか、さらに性能を向上させた製品やモジュール製品としての販売も進めていく計画となっている。本格的に収益に貢献し始めるのは、2018年に入ってからになると予想される。
また、その他にも16Gbpsの高速伝送に対応した「V-by-One®US」の開発も進めている。同技術を使えば、8Kテレビの場合、「V-by-One®HS」で32対のケーブルを必要としているものが8対で対応できることになり、8Kテレビにおけるデファクト・スタンダードになることが期待される。
(2) 産業機器市場
産業機器市場では、中期的に安定したビジネス基盤の確立を目指している。OA機器等で「V-by-One®HS」等の既存製品群とのシナジーが期待できる新製品群を投入し、トータルシステムコストの低減に寄与する付加価値を提供していく。
また、セキュリティカメラ市場も同社にとっては魅力的な市場となる。直近で4K対応品が出てくるなど高解像度が進んでいるほか、セキュリティカメラでは駆動制御やズームアップ機能など付加機能も要求されるため、周辺のアナログ半導体の需要も見込まれるためだ。セキュリティカメラ市場では現在、世界トップ3に入る中国のHIKVISION(ハイクビジョン)やDahua(ダーファ)などが主力顧客となっている。まだ、両社とも高解像度品の比率は少ない。逆に言えば、今後高解像度品の商品ラインナップ拡充で、同社の売上高もさらに拡大していくことが期待される。
(3) 車載機器市場
車載機器市場については、車載用カメラの需要増加や車内ディスプレイの高精細化などを背景に、当面2ケタ成長が見込まれる。車載用カメラについては、後方確認用やドライブレコーダー用途に加えて、今後はドアミラー用や自動運転用等にも採用が広がる見込みで、将来的には1台当たり20個程度のカメラが搭載されるとの予測もある。市場調査会社のテクノ・システム・リサーチ社によれば、世界の車載用カメラ市場は2014年の約6,500万台から、2022年には約1.9億台と3倍に急成長する見込みとなっている。
車載用カメラでも今後は高解像度化が進む見通しで、同社にとってはビジネスチャンスとなる。同社の高速伝送技術を使えば、少ないケーブル本数で距離の延伸も可能なため、カメラとディスプレイ部や制御部分の配線距離が長くなる車載用途では、その長所が最大限活かせるためだ。特に、自動運転技術でカメラを使う際には、高解像度での高速伝送が求められる。外部の状況を正確かつ瞬時に把握して、車の制御を実行しなければ事故につながるリスクが高まるためだ。同社ではこうした課題を解決する新製品となるイメージセンサ直結型高速インターフェース用半導体(車載用V-by-One®HS)を2017年内に量産開始する予定となっている。同製品はイメージセンサと直結することで画像圧縮することなく伝送できるため、遅延時間が発生しないというメリットがあり、今後の採用拡大が期待されている。
そのほかにも、車載機器や産業機器向けではシステムLSI大手のNovatek(台湾)と2015年10月に提携し、共同ソリューション提案での展開も進めている。Novatekは中華圏で顧客を多く持っており、NovatekのシステムLSIに同社からライセンス供与を受けた「V-by-One®HS」受信用回路を組み込むことによって、ドライブレコーダーやセキュリティカメラ分野での売上拡大を狙っている。NovatekのシステムLSIが売れれば、同社の「V-by-One®HS」送信用半導体の売上げも拡大することになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 戦略市場
(1) 民生機器市場
今後、3年間で最も成長が期待される製品は、次世代USB規格(USB3.1 Gen2)対応の高速インターフェース用半導体及び周辺回路も含めたモジュール品となる。次世代USB規格品は既に出始めているが、本格的に普及するのはMPU大手が次世代規格に対応するMPUを投入予定の2017年からになると見られており、2020年にはPC・周辺機器やVR機器、デジタル家電製品を中心に世界で20億ポートまで需要が拡大すると予測されている。
同社が開発するインターフェース用半導体は、独自の伝送技術により伝送距離を延伸することが可能となっている。現状、同規格では10Gbpsの動作保証距離を1mとしているが、同社製品は数mまで延伸することが可能と見ており、利便性の向上が期待できる。同社では2017年に量産を開始するほか、さらに性能を向上させた製品やモジュール製品としての販売も進めていく計画となっている。本格的に収益に貢献し始めるのは、2018年に入ってからになると予想される。
また、その他にも16Gbpsの高速伝送に対応した「V-by-One®US」の開発も進めている。同技術を使えば、8Kテレビの場合、「V-by-One®HS」で32対のケーブルを必要としているものが8対で対応できることになり、8Kテレビにおけるデファクト・スタンダードになることが期待される。
(2) 産業機器市場
産業機器市場では、中期的に安定したビジネス基盤の確立を目指している。OA機器等で「V-by-One®HS」等の既存製品群とのシナジーが期待できる新製品群を投入し、トータルシステムコストの低減に寄与する付加価値を提供していく。
また、セキュリティカメラ市場も同社にとっては魅力的な市場となる。直近で4K対応品が出てくるなど高解像度が進んでいるほか、セキュリティカメラでは駆動制御やズームアップ機能など付加機能も要求されるため、周辺のアナログ半導体の需要も見込まれるためだ。セキュリティカメラ市場では現在、世界トップ3に入る中国のHIKVISION(ハイクビジョン)やDahua(ダーファ)などが主力顧客となっている。まだ、両社とも高解像度品の比率は少ない。逆に言えば、今後高解像度品の商品ラインナップ拡充で、同社の売上高もさらに拡大していくことが期待される。
(3) 車載機器市場
車載機器市場については、車載用カメラの需要増加や車内ディスプレイの高精細化などを背景に、当面2ケタ成長が見込まれる。車載用カメラについては、後方確認用やドライブレコーダー用途に加えて、今後はドアミラー用や自動運転用等にも採用が広がる見込みで、将来的には1台当たり20個程度のカメラが搭載されるとの予測もある。市場調査会社のテクノ・システム・リサーチ社によれば、世界の車載用カメラ市場は2014年の約6,500万台から、2022年には約1.9億台と3倍に急成長する見込みとなっている。
車載用カメラでも今後は高解像度化が進む見通しで、同社にとってはビジネスチャンスとなる。同社の高速伝送技術を使えば、少ないケーブル本数で距離の延伸も可能なため、カメラとディスプレイ部や制御部分の配線距離が長くなる車載用途では、その長所が最大限活かせるためだ。特に、自動運転技術でカメラを使う際には、高解像度での高速伝送が求められる。外部の状況を正確かつ瞬時に把握して、車の制御を実行しなければ事故につながるリスクが高まるためだ。同社ではこうした課題を解決する新製品となるイメージセンサ直結型高速インターフェース用半導体(車載用V-by-One®HS)を2017年内に量産開始する予定となっている。同製品はイメージセンサと直結することで画像圧縮することなく伝送できるため、遅延時間が発生しないというメリットがあり、今後の採用拡大が期待されている。
そのほかにも、車載機器や産業機器向けではシステムLSI大手のNovatek(台湾)と2015年10月に提携し、共同ソリューション提案での展開も進めている。Novatekは中華圏で顧客を多く持っており、NovatekのシステムLSIに同社からライセンス供与を受けた「V-by-One®HS」受信用回路を組み込むことによって、ドライブレコーダーやセキュリティカメラ分野での売上拡大を狙っている。NovatekのシステムLSIが売れれば、同社の「V-by-One®HS」送信用半導体の売上げも拡大することになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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