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イグニス Research Memo(2):「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3つが既存事業の柱

注目トピックス 日本株
■事業概要

イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・運営・販売を手掛けている。「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3つのジャンルを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立している。また、新規事業としてVRやIoTなどにも挑戦している

「次のあたりまえを創る。何度でも」をミッションに掲げ、過去においては、日常的に利用する高品質なツール系アプリなど数多くの小規模アプリを量産してきたことが、ノウハウの蓄積を含め、同社の成長をけん引してきた。2015年9月期からは、それまでの小規模アプリ中心から、コミュニティ領域などライフタイムの長い中・大規模アプリへ開発リソースをシフトすることによる収益構造改革に取り組み、2016年9月期には、その成果が具体的に現われ始めてきた。

ネイティブアプリは、App Store及びGoogle Play等のプラットフォームを通じてスマートフォンユーザーに提供されている。また、収益モデルには、広告収入と課金収入の大きく2つのタイプがある。

事業セグメントは、スマートフォンアプリ事業の単一セグメントであるが、現時点においてはジャンルごとに「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「その他(メディア等)」の3つに分類している。なお、前期までは、「無料ネイティブアプリ」「ネイティブソーシャルゲーム」の2つに分類していたが、収益構造改革に伴って収益モデルが変化してきた(課金収入モデルの重要性が高まってきた)ことや、新たな事業分野での成長軸が立ち上がってきたことから新しい枠組みへと変更した。

事業別の売上構成比では、「ぼくとドラゴン」による「ネイティブゲーム」が82.5%を占め、「コミュニティ」は9.5%、「その他(メディア等)」は7.9%にすぎない(2017年9月期第1四半期実績)。ただ、足元では「コミュニティ」等の伸長により、徐々に「ネイティブゲーム」への依存度が解消されつつある。

1. 既存事業の概要
(1) コミュニティ
婚活サービス「with」(月額課金収入モデル)を中心に展開している。「with」は2016年3月にiOS版をリリース※1して以来、類似サービスの中では後発参入であるものの、登録会員数で業界3番手グループ※2にまで伸びてきた。国内iOSのSNSの売上ランキングでも10位台前半に定着している。人気メンタリストDaiGo(ダイゴ)氏※3監修の下、最適なマッチングを実現する独自の心理学及び統計学的アプローチが差別化要因となっていることに加えて、積極的な広告宣伝によるユーザー獲得が奏功している。

※1 android版は2016年5月にリリース
※2 Facebook認証型の婚活サービス上位には、「Pairs」「Omiai」「ゼクシィ恋結び」などが存在する
※3 メンタリスト、作家、新潟リハビリテーション大学特任教授。著書は累計150万部突破、企業の顧問や経営戦略パートナー、講演など、様々な分野で活動。


(2) ネイティブゲーム
2015年2月にリリースした「ぼくとドラゴン」(アイテム課金収入モデル)を展開している。多彩なイベントや人気コンテンツとのコラボ、機能追加など、継続的な安定運用を通じて好調を持続しており、同社の業績の伸びを支えてきた。2016年12月末には累計320万DLを突破、デイリー売上ランキングでも10位を達成しており、ロングセラーゲームとして足場を固めている。また、新タイトル「GK(コードネーム)」についても現在開発を進めている。

(3) その他(メディア等)
2015年10月に買収したビジネス情報メディア「U-NOTE」(広告収入モデル)を中心に展開している。若手ビジネスパーソンにターゲットを絞ったことにより、リクルーティングサイトへの送客を軸として順調に立ち上がってきた。2017年1月には広告へのコミットメントをより高めるため、キャリアに関わる様々な情報をカバーした新メディア「CAREER ABOUT」をスタートさせた。一方、メディア以外では、スマートフォンの使い勝手や日常生活の利便性を高めるツール系アプリなど、過去の業績を支えてきた小規模アプリが含まれているが、中・大規模アプリへ開発リソースをシフトしたことにより足元では縮小傾向にある。

2. 新規事業の概要
(1) VR
2016年11月にVR領域※1への進出を目的とした子会社パルス(株)を設立すると、秋元康(あきもとやすし)氏※2、松尾豊(まつおゆたか)氏※3、DaiGo氏などが資本参加し、各分野における第一人者との協業により革新的な価値創造を目指している。2016年12月には、順天堂大学教授(堀江氏、川戸氏)とのVR技術応用(認知症の防止・進行遅延効果の研究をVRコンテンツ開発に活用)に関する共同研究を開始した。他にも複数のプロジェクトが準備中となっているが、事業収益化に向けては今後の市場規模拡大やVRデバイスの普及度合い・技術革新なども勘案しつつ、長い時間をかける方針のようだ。

※1 Virtual Realityの略
※2 作詞家、放送作家、映画監督、漫画原作者。A K B48 グループなどのプロデューサーとして、ほぼすべての楽曲の作詞を行っており、番組の企画構成やドラマの脚本なども手掛ける。
※3 東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の特任准教授。専門分野は、人工知能、Web工学、ディープラーニング。


(2) ライフハック
2015年11月に持分法適用関連会社としたIoTベンチャー(株)ロビットとの連携を軸として、スマートフォンアプリを通じて培ってきた体験設計のノウハウとIoT関連テクノロジーを活用した新たな製品及びサービスを展開している。足元では2016年7月にロビットのブランドで販売を開始したスマートフォン連動型カーテン自動開閉機「めざましカーテンmornin’」※が好評を博している。本件による収益モデルは、ロビットに計上されるデバイス売上高のみであり、同社にはその利益の持分割合(営業外損益)が反映されることになる。

※「mornin’」は取り付け簡単で、スマホと連動させてタイマー設定するだけで、設定した時刻にカーテンが開閉するアイデアIoT 家電(目覚まし装置)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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