サイバリンクス Research Memo(7):中期経営計画は順調に進捗、2020年12月期利益目標は達成確度が高い
[17/03/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中期経営計画と将来目標
1. 中期経営計画「LINK Smart 〜もたず、つながる時代へ〜」
(1) 基本方針と事業戦略
サイバーリンクス<3683>は、2016年12月期から2020年12月期を対象期間とする中期経営計画を進行中。事業戦略は、モバイルネットワーク事業の安定収益をベースに、ITクラウド事業、特に流通業向けクラウドサービス分野を伸ばすべく、クラウドサービスの拡充やIT技術の蓄積等への積極投資を行うとしている。
(2) 重点戦略と将来に向けての取り組み
ITクラウド事業の流通クラウド分野では、中大規模小売を対象とする「@rms基幹」サービスの次期バージョンのリリースを2017年に予定しているほか、周辺サービスの先行提案も推進する。これまで対象としてきた小規模小売企業だけでなく、中・大規模小売企業も適用範囲となる。また、クラウドEDIサービスの「クラウドEDI-Platform」は、中・大規模の卸売企業だけが顧客であったものが、新サービスの「C2Platform」の開始によりメーカーとの商談機能も有することになるほか、コード変換基盤の導入により中・小規模卸売業への展開も可能となるなど売上高の拡大余地は大きい。「C2Platform」は、現在個々の企業間で通信により行っている情報交換を、情報を必要とする関連企業すべてに伝達できるプラットフォームで、流通業界の企業間連携の効率化が可能となる。コード変換基盤は、業務改善が進んでいない小規模卸・メーカーがEDIに対応できる基盤で、既存顧客(大手卸)の付加価値向上と中小・小規模卸までターゲット層の拡大を図る。なお、資本提携や業務提携も視野にサービス拡充のスピードアップを図るようだ。
官公庁クラウド分野においては、新たにセキュリティを含めた情報系シェアクラウドサービスを展開、医療・文教分野クラウドサービスにおいては全国展開を目指す。同社は、防災無線の圧倒的に高いシェアから、中期経営計画期間外に及ぶ長期になるが、デジタル化需要も取り込めると思われる。防災無線の更新は導入から10〜15年と長期的にはなるが、収支に貢献する事業となるだろう。また、スマートフォンの普及拡大で独居老人の見守りや福祉などへの展開が見込める。自治体向けサービスでは、同社は2017年2月に奈良県に進出しており、今後、統合住民サービスに関する新サービスで全国展開する方針で、2018年から本格的に開発する予定としている。校務クラウド「Clarinet」及び「青洲リンク」についても同様の方針で、「Clarinet」は既に神戸市で導入済み、これを機能強化して全国展開を図るようだ。学校向けでは、教育情報セキュリティクラウドを新サービスとして提供する計画もある。
モバイルネットワーク事業では、ドコモショップ店舗の大型化による顧客利便性と集客力の向上、スマートライフ関連商材の取り扱いを拡大するとしている。まずは、岩出店の売場面積を拡張し、取扱商材も拡大する。新たに加える商材には、体重計や血圧計などのメディカル・ヘルスケア、生命保険、電気・ガス小売、周辺機器、各コンテンツ、アクセサリ、ウェアラブル機器などを想定。家電量販店よりモバイルの積極的活用でより快適な生活を提案できるようだ。家電をスマートフォンと連結して使用すると利便性が高いと思われる機能が付加されていることが多いが、家電量販店では機能の存在すら他の商品に埋もれてしまう場合が多く、せっかくの商材及びスマートフォンの保有によって得られるはずである利便性を謳歌しているとは決して言えない。よって、長期的な時間軸にはなると思うが、今は顕在化していないニーズを掘り起こすことは可能と弊社では考える。
なお、同社はこれらの戦略を実行するに当たり、機械学習・AI(人工知能)、認証連携、タイムスタンプ等の先進技術の習得と新サービスへの実装、ネットワーク網の強化と効率化、採用力の強化と次世代リーダーの育成、内部管理体制とガバナンス体制の強化に取り組むとしている。
(3) 数値目標
同社はこれらの施策を実施することで、2020年12月期に売上高107億円、経常利益11億円(経常利益率10.2%)、ROE15%以上(2016年12月期実績は10.2%)が目標。なお、セグメント別経常利益率は、ITクラウド事業16.7%(2016年12月期実績7.8%)、モバイルネットワーク事業8.4%(同10.5%)を目標に掲げている。2017年12月期の計画から2020年12月期の目標数値までの増加額は、売上高で9.5億円、経常利益で4.6億円であり、売上増の半分近くが経常利益に落ちてくることになる。利益増の主因は、ITクラウド事業の収益性の向上。これらの数値目標を達成することで、経常利益構成比が2020年12月期には、ITクラウド事業が73%、モバイルネットワーク事業が27%になる見通しである。定常収入比率は、2016年12月期において40.4%だったものが、2020年12月期には46.1%にまで上昇する計画を出している。
売上高は、2016年12月期の計画95.9億円を下回る93.1億円の着地となったが、定常収入は計画37.4億円に対し37.5億円と超過達成し、定常収入比率は前期比2.6ポイント増の40.4%となった。2017年12月期は、中期経営計画99.0億円に対し98.0億円を予想するなど引き続き少し届かないと見込んでいるものの、定常収入は計画40.3億円に対し41.9億円の見通しを発表している。定常収入比率は、前期比2.4ポイント上昇となる42.8%を見込んでいる。「@rms」の次期バージョンのリリースは2017年に予定しており、2017年12月期における寄与は大きくはないが、2018年12月期以降に本格的に収益貢献する見通し。「@rms」を始めとする新サービスの追加でITクラウド事業の売上高が拡大、2020年12月期には107.5億円、定常収入比率は46.1%に届く見通しとしている。
2016年12月期の経常利益は計画5.3億円を上回る5.8億円だったが、減価償却及びのれん償却前の経常利益は9.3億円であり、3.5億円も償却負担により利益が圧縮されていた。2020年12月期の償却負担額は3.6億円の計画で、経常利益は11.0億円、償却前経常利益は14.6億円を見込んでいる。
(4) 初年度の進捗状況
中期経営計画初年度である2016年12月期の決算については後述するが、計画を上回る経常利益を計上、ROEは10.2%だった。2017年12月期予想も中期経営計画6.0億円を上回る6.4億円を予想しており、計画どおりの進捗を確認できたと言える。また、外部環境などの変動要因による影響を排除できないものの、同社の2020年12月期の経常利益目標額である11億円は投資効果や償却負担減によりITクラウド事業の収益性が大きく向上することを織り込んで策定されており、大きな事業環境の悪化がない限り、達成確度は高いと言えるだろう。
2. 将来目標
2020年12月期以降の将来目標も同社は示している。顧客の潜在要求を捉えて展開していくことが重要と考えているようで、ドコモショップはスマートライフ関連商品を取り扱う総合ショップに進化し顧客のスマートパートナーになるほか、官公庁プラットフォームから医療・文教分野にも拡大、流通クラウド分野では新たな事業分野への展開を模索するようだ。将来目標の種まきは、進行中の中期経営計画期間においても成されている。
(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)
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1. 中期経営計画「LINK Smart 〜もたず、つながる時代へ〜」
(1) 基本方針と事業戦略
サイバーリンクス<3683>は、2016年12月期から2020年12月期を対象期間とする中期経営計画を進行中。事業戦略は、モバイルネットワーク事業の安定収益をベースに、ITクラウド事業、特に流通業向けクラウドサービス分野を伸ばすべく、クラウドサービスの拡充やIT技術の蓄積等への積極投資を行うとしている。
(2) 重点戦略と将来に向けての取り組み
ITクラウド事業の流通クラウド分野では、中大規模小売を対象とする「@rms基幹」サービスの次期バージョンのリリースを2017年に予定しているほか、周辺サービスの先行提案も推進する。これまで対象としてきた小規模小売企業だけでなく、中・大規模小売企業も適用範囲となる。また、クラウドEDIサービスの「クラウドEDI-Platform」は、中・大規模の卸売企業だけが顧客であったものが、新サービスの「C2Platform」の開始によりメーカーとの商談機能も有することになるほか、コード変換基盤の導入により中・小規模卸売業への展開も可能となるなど売上高の拡大余地は大きい。「C2Platform」は、現在個々の企業間で通信により行っている情報交換を、情報を必要とする関連企業すべてに伝達できるプラットフォームで、流通業界の企業間連携の効率化が可能となる。コード変換基盤は、業務改善が進んでいない小規模卸・メーカーがEDIに対応できる基盤で、既存顧客(大手卸)の付加価値向上と中小・小規模卸までターゲット層の拡大を図る。なお、資本提携や業務提携も視野にサービス拡充のスピードアップを図るようだ。
官公庁クラウド分野においては、新たにセキュリティを含めた情報系シェアクラウドサービスを展開、医療・文教分野クラウドサービスにおいては全国展開を目指す。同社は、防災無線の圧倒的に高いシェアから、中期経営計画期間外に及ぶ長期になるが、デジタル化需要も取り込めると思われる。防災無線の更新は導入から10〜15年と長期的にはなるが、収支に貢献する事業となるだろう。また、スマートフォンの普及拡大で独居老人の見守りや福祉などへの展開が見込める。自治体向けサービスでは、同社は2017年2月に奈良県に進出しており、今後、統合住民サービスに関する新サービスで全国展開する方針で、2018年から本格的に開発する予定としている。校務クラウド「Clarinet」及び「青洲リンク」についても同様の方針で、「Clarinet」は既に神戸市で導入済み、これを機能強化して全国展開を図るようだ。学校向けでは、教育情報セキュリティクラウドを新サービスとして提供する計画もある。
モバイルネットワーク事業では、ドコモショップ店舗の大型化による顧客利便性と集客力の向上、スマートライフ関連商材の取り扱いを拡大するとしている。まずは、岩出店の売場面積を拡張し、取扱商材も拡大する。新たに加える商材には、体重計や血圧計などのメディカル・ヘルスケア、生命保険、電気・ガス小売、周辺機器、各コンテンツ、アクセサリ、ウェアラブル機器などを想定。家電量販店よりモバイルの積極的活用でより快適な生活を提案できるようだ。家電をスマートフォンと連結して使用すると利便性が高いと思われる機能が付加されていることが多いが、家電量販店では機能の存在すら他の商品に埋もれてしまう場合が多く、せっかくの商材及びスマートフォンの保有によって得られるはずである利便性を謳歌しているとは決して言えない。よって、長期的な時間軸にはなると思うが、今は顕在化していないニーズを掘り起こすことは可能と弊社では考える。
なお、同社はこれらの戦略を実行するに当たり、機械学習・AI(人工知能)、認証連携、タイムスタンプ等の先進技術の習得と新サービスへの実装、ネットワーク網の強化と効率化、採用力の強化と次世代リーダーの育成、内部管理体制とガバナンス体制の強化に取り組むとしている。
(3) 数値目標
同社はこれらの施策を実施することで、2020年12月期に売上高107億円、経常利益11億円(経常利益率10.2%)、ROE15%以上(2016年12月期実績は10.2%)が目標。なお、セグメント別経常利益率は、ITクラウド事業16.7%(2016年12月期実績7.8%)、モバイルネットワーク事業8.4%(同10.5%)を目標に掲げている。2017年12月期の計画から2020年12月期の目標数値までの増加額は、売上高で9.5億円、経常利益で4.6億円であり、売上増の半分近くが経常利益に落ちてくることになる。利益増の主因は、ITクラウド事業の収益性の向上。これらの数値目標を達成することで、経常利益構成比が2020年12月期には、ITクラウド事業が73%、モバイルネットワーク事業が27%になる見通しである。定常収入比率は、2016年12月期において40.4%だったものが、2020年12月期には46.1%にまで上昇する計画を出している。
売上高は、2016年12月期の計画95.9億円を下回る93.1億円の着地となったが、定常収入は計画37.4億円に対し37.5億円と超過達成し、定常収入比率は前期比2.6ポイント増の40.4%となった。2017年12月期は、中期経営計画99.0億円に対し98.0億円を予想するなど引き続き少し届かないと見込んでいるものの、定常収入は計画40.3億円に対し41.9億円の見通しを発表している。定常収入比率は、前期比2.4ポイント上昇となる42.8%を見込んでいる。「@rms」の次期バージョンのリリースは2017年に予定しており、2017年12月期における寄与は大きくはないが、2018年12月期以降に本格的に収益貢献する見通し。「@rms」を始めとする新サービスの追加でITクラウド事業の売上高が拡大、2020年12月期には107.5億円、定常収入比率は46.1%に届く見通しとしている。
2016年12月期の経常利益は計画5.3億円を上回る5.8億円だったが、減価償却及びのれん償却前の経常利益は9.3億円であり、3.5億円も償却負担により利益が圧縮されていた。2020年12月期の償却負担額は3.6億円の計画で、経常利益は11.0億円、償却前経常利益は14.6億円を見込んでいる。
(4) 初年度の進捗状況
中期経営計画初年度である2016年12月期の決算については後述するが、計画を上回る経常利益を計上、ROEは10.2%だった。2017年12月期予想も中期経営計画6.0億円を上回る6.4億円を予想しており、計画どおりの進捗を確認できたと言える。また、外部環境などの変動要因による影響を排除できないものの、同社の2020年12月期の経常利益目標額である11億円は投資効果や償却負担減によりITクラウド事業の収益性が大きく向上することを織り込んで策定されており、大きな事業環境の悪化がない限り、達成確度は高いと言えるだろう。
2. 将来目標
2020年12月期以降の将来目標も同社は示している。顧客の潜在要求を捉えて展開していくことが重要と考えているようで、ドコモショップはスマートライフ関連商品を取り扱う総合ショップに進化し顧客のスマートパートナーになるほか、官公庁プラットフォームから医療・文教分野にも拡大、流通クラウド分野では新たな事業分野への展開を模索するようだ。将来目標の種まきは、進行中の中期経営計画期間においても成されている。
(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)
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