全国保証 Research Memo(1):前中期経営計画は当初計画を大幅に上回る着地
[17/04/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
全国保証<7164>は、独立系の信用保証最大手である。銀行や信用金庫、信用組合など全業態の金融機関との提携による民間住宅ローン向け保証業務を柱とし、沖縄を除く全国に展開している。民間住宅ローン向けの保証業務に特化することで、関連するデータやノウハウの蓄積を図り、迅速かつ精度の高い審査能力やリスク・リターンに見合った適正な料率設定などによる精緻な与信管理に強みがある。外部保証を活用することによる業務の効率化や与信管理の強化を目指す提携金融機関の拡大とともに、同社業績も順調に拡大している。
2015年3月期から2017年3月期までの中期経営計画「make good “TEN”」についても、当初計画(保証債務残高10兆円、新規保証実行件数64,000件、提携金融機関数720機関)を前倒しで達成すると、修正後の計画もさらに上回る着地となりそうである。2017年3月期末の保証債務残高は10兆9,010億円、新規保証実行件数は71,550件、提携金融機関数は739機関を見込んでいる。また、2017年3月期の業績についても、営業収益が前期比12.2%増の35,800百万円、営業利益が同9.9%増の27,615 百万円と当初計画を大幅に上回る増収増益となる見通しである。大型銀行(メガバンクや信託銀行、大手地銀など)との提携を含む新規提携先の増加や既存提携先の利用率の向上が業績の伸びをけん引しており、民間住宅ローン市場におけるシェアも着実に拡大してきた。また、外部環境(住宅ローン市場の堅調な推移や良好な雇用環境等)も同社業績にとって追い風となっている。
同社は、新たに2020年3月期を最終年度とする中期経営計画「Best route to 2020」を公表した。「住宅ローン保証事業におけるトップ地位確立」をスローガンとし、1)事業規模の拡大、2)企業価値の向上、3)事業領域の拡大(長期的課題)に取り組む方針である。2020年3月期の目標として保証債務残高13兆5,370億円、新規保証実行件数81,500件を掲げるとともに、営業収益45,100百万円(3年間の平均成長率は8.0%)、営業利益33,510百万円(同6.7%)を目指している。特に、事業規模の拡大については、大型銀行など既存提携先との関係強化に向けた付加価値向上により、顧客内シェアを高める戦略である。また、長期的な視点からは、民間住宅ローン保証事業との相乗効果が期待できる新たな事業について、この中期経営計画の期間中に検討を進める方針である。M&Aや他社との提携も視野に入れながら、730を超える提携金融機関のネットワークや豊富な保有データ量、民間住宅ローン業務ノウハウ(審査、債権管理等)など同社の強みを生かせる分野への事業領域の拡大を目指していく。
弊社では、好調な外部環境や同社の優位性から判断して、中期経営計画の達成は十分に可能であるとみている。特に、保証債務残高の拡大のためには、大型銀行との取引拡大が最も重要であるとみているが、同社の施策(システム連携などによる利便性の向上など)が利用率の向上(顧客内シェアの拡大)に結び付く可能性は高い。唯一の独立系信用保証大手でありながら、市場シェアがまだ小さいところも成長余地の大きさを示している。また、政府の後押しが期待される中古住宅・リフォーム市場の拡大についても同社にとって追い風となる可能性がある。今後も、本業におけるシェア拡大に向けた戦略の進捗に加えて、新規事業を含めた事業領域の拡大の動きに注目していきたい。
■Key Points
・前中期経営計画は好調な外部環境と内部施策の進展により当初計画を大きく上回る着地見込み
・新中期経営計画では保証債務残高13兆円の達成によりトップ地位確立を目指す
・コア事業との相乗効果を生み出す新たな事業の検討を進め、事業領域の拡大にも取り組む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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全国保証<7164>は、独立系の信用保証最大手である。銀行や信用金庫、信用組合など全業態の金融機関との提携による民間住宅ローン向け保証業務を柱とし、沖縄を除く全国に展開している。民間住宅ローン向けの保証業務に特化することで、関連するデータやノウハウの蓄積を図り、迅速かつ精度の高い審査能力やリスク・リターンに見合った適正な料率設定などによる精緻な与信管理に強みがある。外部保証を活用することによる業務の効率化や与信管理の強化を目指す提携金融機関の拡大とともに、同社業績も順調に拡大している。
2015年3月期から2017年3月期までの中期経営計画「make good “TEN”」についても、当初計画(保証債務残高10兆円、新規保証実行件数64,000件、提携金融機関数720機関)を前倒しで達成すると、修正後の計画もさらに上回る着地となりそうである。2017年3月期末の保証債務残高は10兆9,010億円、新規保証実行件数は71,550件、提携金融機関数は739機関を見込んでいる。また、2017年3月期の業績についても、営業収益が前期比12.2%増の35,800百万円、営業利益が同9.9%増の27,615 百万円と当初計画を大幅に上回る増収増益となる見通しである。大型銀行(メガバンクや信託銀行、大手地銀など)との提携を含む新規提携先の増加や既存提携先の利用率の向上が業績の伸びをけん引しており、民間住宅ローン市場におけるシェアも着実に拡大してきた。また、外部環境(住宅ローン市場の堅調な推移や良好な雇用環境等)も同社業績にとって追い風となっている。
同社は、新たに2020年3月期を最終年度とする中期経営計画「Best route to 2020」を公表した。「住宅ローン保証事業におけるトップ地位確立」をスローガンとし、1)事業規模の拡大、2)企業価値の向上、3)事業領域の拡大(長期的課題)に取り組む方針である。2020年3月期の目標として保証債務残高13兆5,370億円、新規保証実行件数81,500件を掲げるとともに、営業収益45,100百万円(3年間の平均成長率は8.0%)、営業利益33,510百万円(同6.7%)を目指している。特に、事業規模の拡大については、大型銀行など既存提携先との関係強化に向けた付加価値向上により、顧客内シェアを高める戦略である。また、長期的な視点からは、民間住宅ローン保証事業との相乗効果が期待できる新たな事業について、この中期経営計画の期間中に検討を進める方針である。M&Aや他社との提携も視野に入れながら、730を超える提携金融機関のネットワークや豊富な保有データ量、民間住宅ローン業務ノウハウ(審査、債権管理等)など同社の強みを生かせる分野への事業領域の拡大を目指していく。
弊社では、好調な外部環境や同社の優位性から判断して、中期経営計画の達成は十分に可能であるとみている。特に、保証債務残高の拡大のためには、大型銀行との取引拡大が最も重要であるとみているが、同社の施策(システム連携などによる利便性の向上など)が利用率の向上(顧客内シェアの拡大)に結び付く可能性は高い。唯一の独立系信用保証大手でありながら、市場シェアがまだ小さいところも成長余地の大きさを示している。また、政府の後押しが期待される中古住宅・リフォーム市場の拡大についても同社にとって追い風となる可能性がある。今後も、本業におけるシェア拡大に向けた戦略の進捗に加えて、新規事業を含めた事業領域の拡大の動きに注目していきたい。
■Key Points
・前中期経営計画は好調な外部環境と内部施策の進展により当初計画を大きく上回る着地見込み
・新中期経営計画では保証債務残高13兆円の達成によりトップ地位確立を目指す
・コア事業との相乗効果を生み出す新たな事業の検討を進め、事業領域の拡大にも取り組む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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