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メタップス Research Memo(1):直近3期で売上高7倍、FinTech・AIに注力し更なる業績拡大を図る

注目トピックス 日本株
メタップス<6172>はアプリの集客、分析、収益化を支援するプラットフォーム「metaps」と、ECサイト向けオンライン決済プラットフォーム「SPIKE」を事業の柱とし、設立後約8年で東証マザーズに上場したITベンチャー企業である。

同社は2007年に現代表取締役社長の佐藤航陽(さとうかつあき)氏が、SEO(検索エンジン最適化)やWebマーケティングのコンサルティングを行うイーファクター株式会社として創業した。2011年には、現在の主力事業であるアプリ収益化プラットフォーム「metaps」のサービス提供を始め、社名を株式会社メタップスに変更した。2014年にオンライン決済サービス「SPIKE」を発表し、現在の事業基盤を揃え、2015年8月には東証マザーズに上場し、拡大を続けている。

「metaps」はアプリの集客から分析、収益化までをワンストップで支援する開発者向けプラットフォームである。アプリ事業者から広告予算を預かり、同社で広告の運用・買付を行うというのが、同社のビジネスモデルである。この時、併せてアプリ事業者にデータ分析プラットフォーム「Metaps Analytics」を提供し、得られたデータを使って人工知能を用いてユーザごとに最適な広告を配信することで、広告収入の最大化を手助けする。2015年2月時点でのmetaps導入アプリは全世界で20億ダウンロードを突破するなど、多くのアプリ事業者が「metaps」を活用している。

「SPIKE」は主に個人事業、中小事業者向けのオンライン決済サービスである。2014年のサービス開始当初は決済金額が月100万円※までは決済手数料無料という破格の条件が話題を呼び、多くのユーザを集めた。決済サービスだけでなく、SPIKEコイン、SPIKEマーケットなどのサービスなども加わり、ユーザ数は順調に伸びサービス開始後15ヶ月で10万アカウント突破、20ヶ月で20万アカウント突破を達成している。2016年4月に国内大手決済代行会社であったペイデザイン株式会社を買収し、同社の決済事業は飛躍的に拡大。

※2016年4月以降、月額10万円の取引まで決済手数料無料

前述のペイデザイン株式会社の他にも、他社との業務提携やM&Aに積極的に取り組んでおり、2016年8月期は韓国モバイル広告プラットフォーム大手など5社を買収し、事業基盤を強化するとともに、広告、販促、決算、分析というEC事業に必要なソリューションをワンストップで提供できる体制を強化した。また、2016年10月にはみずほフィナンシャルグループ<8411>との業務提携に向けた基本合意を発表し、FinTech時代における革新的な決済サービスを目的とする取り組みを開始している。日本国外での展開にも意欲的で、「metaps」サービスをシンガポールで立ち上げるなど早くから国外進出をしており、現地の人材のみを採用し、アメリカ、イギリス、東アジア諸国など8ヶ国・拠点にて各地域に根付いた事業を展開している。

2016年8月期は売上高が8,886百万円(前期比115.4%増)と大幅に伸びたが、市場環境変化と競争激化に伴い収益化タイミングが遅れたこと、第4四半期の取引計上の期ずれ、円高による為替差損の影響などもあり、817百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前期は390百万円の損失)と前期を大幅に下回った。しかし、子会社の合併効果が発揮された第4四半期のみで見ると、2015年の上場後初めて営業利益ベースで黒字転換を達成しており、収益性が急激に改善している。

2017年8月期第2四半期(16年12月-17年2月)決算は、売上高が前年同期比101.2%増の6,318百万円、営業利益が383百万円(前年同期は286百万円の損失)、税引前利益は442百万円(同370百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する四半期利益が271百万円(同402百万円の損失)だった。なお、同社グループは、2017年8月期第1四半期累計期間より国際財務報告基準(IFRS)を適用している。

第2四半期連結累計期間においては、アプリ収益化プラットフォーム「metaps」などの既存サービスが堅調に推移したほか、ファイナンス関連サービスが寄与し、第1四半期連結累計期間から継続してグループ全体の営業黒字化を実現した。尚、ファイナンス関連サービスは安定的に収益を計上しており、第2四半期連結累計期間においては連結売上高の約44%(2016年8月期は18%)を占めるまでに成長している。

2017年8月期はFinTechとAIに集中投資を行いながらも、既存事業の伸びにより売上高18,000百万円(前期比102.5%増)、営業利益700百万円(前期は313百万円の損失)を見込む。

中期経営計画としてデータノミクス構想を掲げ、データとAIを軸とした経済圏の構築を行い、2020年にトリプルワン(取扱高1兆円、売上高1,000億円、営業利益100億円)の達成を目指している。

■Check Point
・アプリ開発プラットフォーム「metaps」と決済サービスプラットフォーム「SPIKE」が事業の柱
・2016年8月期は当期純損失817百万円も、第4四半期は上場後初の営業利益計上で収益が改善傾向
・2017年8月期はFinTechとAIに集中投資も、既存事業の伸びで増収増益を図り通期での黒字転換を見込む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)



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