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ダイヤモンドD Research Memo(8):17/2期は過去最高の売上高、営業利益を更新。収益体質の強化にも成果

注目トピックス 日本株
■決算動向

2. 2017年2月期決算の概要
ダイヤモンドダイニング<3073>の2017年2月期の業績は、売上高が前期比2.3%増の30,509百万円、営業利益が同72.2%増の1,641百万円、経常利益が同61.4%増の1,435百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が648百万円(前期は262百万円の損失)と増収及び大幅な増益を実現し、過去最高の売上高、営業(経常)利益を更新した。特に、利益面では増額修正後の会社予想をさらに上回る着地となっている。最終損益も一過性の要因※により純損失となった前期からの黒字転換を果たした。

※繰延税金資産の取崩しによる法人税等の増加など。


売上高は、前期出店分(43店舗)の通年寄与や今期出店分(21店舗)が増収に寄与した。また、既存店売上高(国内)も前期比101.6%(当初計画99.6%)と厳しい業界環境の中で好調に推移している。

利益面でも、原価低減に加えて、販管費の抑制や増収効果により大幅な増益を実現し、営業利益率も5.4%(前期は3.2%)に大きく上昇した。なお、販管費率の改善については、新規出店費用の抑制や前期におけるM&A関連費用※の解消、水道光熱費率の改善などが寄与した。特に、新規出店の順調な立ち上がり(出店の精度向上)が計画を上回る増益につながったようだ。海外事業についても、不採算のシンガポールからの事業撤退等により損益改善を図っている。一方、営業外費用には、ゼットンの持分法投資損失233百万円(のれん償却費28百万円を含む)を計上しており、こちらは想定よりも損失幅が膨らんだようである(計画では約100百万円の損失を見込んでいたもよう)。

※関西養老乃瀧からの店舗取得にかかる費用。


財務面では、新規出店やゼットン株式取得(1,429百万円)による固定資産の増加のほか、繰延資産の増加※等により総資産が18,737百万円(前期末比18.1%増)に拡大した一方、自己資本も内部留保により3,896百万円(前期末比26.1%増)に積み増したことから、自己資本比率は20.8%(前期末は19.5%)に上昇した。また、ゼットン株式取得資金を借入金で調達したことから有利子負債は長短併せて9,679百万円(前期末比14.3%増)に増加している。

※国内ウェディング事業における開業費(157百万円)。


主な事業別の業績は以下のとおりである。

国内飲食事業は、売上高が前期比1.1%増の21,033百万円、セグメント利益が同21.3%増の2,392百万円と緩やかな増収ながら大幅な増益となった。利益率も11.4%(前期は9.5%)に大きく改善している。前期出店分(38店舗)の通年寄与や今期出店分(14店舗)が増収に寄与した。既存店売上高も前期比100.4%と好調であった。利益面でも原価低減や販管費率の改善により増益となった。特に、新規出店ペースを抑えたことで出店費用が大幅に減少したことや新規出店の順調な立ち上がりが利益率の改善につながった。

海外飲食事業は、売上高が前期比14.3%減の1,416百万円、セグメント損失が181百万円(前期は347百万円の損失)と減収ながら損失幅は縮小した。不採算であったシンガポールの事業撤退完了(4店舗退店)が減収を招いたものの、損益改善に貢献した。一方、ハワイにおいては、前期に出店した3号店の通年寄与が増収に寄与した。利益面でも、ハワイ店舗の競争激化による影響やウェディング事業の先行費用が継続しているものの、損失幅は縮小している。

アミューズメント事業は、売上高が前期比9.7%増の8,029百万円、セグメント利益が同1.2%減の1,118百万円と増収ながらわずかに減益となった。前期出店分(4店舗)の通年寄与や今期出店分(7店舗)が増収に寄与した。また、既存店売上高もリピーター施策の導入※1等により同104.8%と好調であった。ただ、微減益となったのは、優良大型3店舗の退店※2や新規大型店舗の開店費用、戦略的な設備投資(減価償却費の増加)によるもので想定内である。むしろ、優良大型店舗の退店による影響が懸念されたものの、既存店の伸びや新規大型店舗の順調な立ち上がりにより想定を上回る着地となったと言える。

※1「DDマイル」会員向けのイベント開催や専用アプリを利用したPR活動等。
※2 Bane BAGUS渋谷店、GRAN CYBER CAFE BAGUS渋谷、Bane BAGUS新宿東口店(すべて賃貸借契約満了に伴うもの)。


以上から、2017年2月期の業績を総括すると、前期まで積極的に拡大してきた新規出店投資をやや抑え気味とする一方、不採算店舗の整理(高収益ブランドへの業態変更を含む)や海外事業の損益改善に注力した結果、その戦略的な意図(収益体質の強化)を反映した着地になったものと評価することができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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