MRT Research Memo(7):2018年度には遠隔診療の診療報酬で評価、「ポケットドクター」の立ち上げに全力
[17/08/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略
1. 「ポケットドクター」これまでの進捗
「ポケットドクター」は、医師とコンシューマをつなぐプラットフォームで、国内初のスマートフォン・タブレットを用いた遠隔診療・健康相談サービスである。MRT<6034>が培ってきた医療情報及び医師、医療機関のネットワークとオプティムが持つリモートマネジメントテクノロジーを遠隔診療サービス向けに必要なあらゆる機能を取り込み再構築したテクノロジーを組み合わせることにより開発された。
サービスは内容により、2016年4月からサービスの提供を開始した「かかりつけ医診療」のほか、同7月に提供開始した「予約相談」と2017年3月開始の「今すぐ相談」の3つからなる。2017年3月期は、参画する医療機関に無料で提供し、予約相談登録医師数は240名(64診療科目)、登録医療機関数で350院を超えた。患者サイドのアプリダウンロード数は、1年で5,500件を超えた。
サービスの特長は、1)相談者がスマートデバイスのカメラで写している映像や画像、ウエアラブル機器、ヘルスケア機器から取得されるバイタルデータを医師と共有することにより、医師は相談者の状態を詳細に把握できる、2)相談者が映像や画像の共有を行う際に、医師は赤ペン機能や、指差し機能を用いて、映してほしい箇所の指示や、症状の説明を的確に行える、3)医師は、診療の合間の空き時間を活用して、「予約相談」、「いますぐ相談」を受け付けることで、空き時間の有効活用が行える、4)相談者や医師及び医療機関は、手持ちのスマートフォンやタブレットに「ポケットドクター」のアプリをインストールすることで利用が可能(「ポケットドクター」アプリはiOS8.0以降のiPhoneやiPad、AndroidTM4.0以降のスマートデバイスで動作)、などである。
2. 「かかりつけ医診療」から「遠隔診療ポケットドクター」に刷新
サービス開始から約1年が経過し、患者ニーズや医師の使い勝手などの情報が蓄積されてきたため、2017年4月に「かかりつけ医診療」サービスが刷新され、「遠隔診療ポケットドクター」として有償で医療機関向けに提供されることになった。
「遠隔診療ポケットドクター」では、従来の「ビデオ通話」機能に加え、オンラインでの診療に必要な「診療予約」、「オンライン決済」、「薬・処方箋の配送支援」、「医療機関向け管理画面」などの新たな機能が搭載され、圧倒的に利便性が高まった。
以下の(1)から(4)は、今回の刷新で新たに追加された機能である。
(1) 「診療予約」機能
患者はスマートフォンやタブレットからかかりつけ医療機関に遠隔診療の予約を行うことができる。診療当日には予約のリマインド通知が来るため、予約忘れを防止することが可能。スケジュールに合わせた24時間予約を受け付ける。
(2) 「オンライン決済」機能
診療後はクレジットカードによるオンライン決済により、診療にかかった費用の支払いがスムーズに完了する。なお、サービス内で利用している決済システムには、ベリトランス(株)の決済サービスを採用。
(3) 「薬・処方箋の配送支援」機能
医療機関は、患者への薬・処方箋の配送に必要な情報を管理することができる。患者は在宅で、医薬品を受け取ることが可能となる。
(4) 「医療機関向け管理画面」機能
「遠隔診療ポケットドクター」を利用した患者の予約状況や決済状況、薬・処方箋の配送状況等の情報を管理する「医療機関向け管理画面」機能を提供する。医療機関は、Webブラウザーから「医療機関向け管理画面」を利用することで、遠隔診療をスムーズに行える。
以下の(5)と(6)は、これまでも提供されていた機能である。
(5) 「ビデオ通話」機能
スマートフォン・タブレットのカメラを利用し、顔色や患部の状況を医師に共有しながら診療を受けることができる。医師はオプティムが開発した基本特許技術「Overlay Technology」(特許第5192462号)による赤ペン機能や、指差し機能を用いることにより、映してほしい箇所の指示や、症状の説明を的確に行うことが可能。
(6) 「ヘルスケア機器連携」機能
スマートフォンと連携している血圧計や体組成計、体温計などのヘルスケア機器から取得したバイタルデータを、「遠隔診療ポケットドクター」と連携し、自身の日々のバイタルデータを医療機関に共有しながら診療を受けることが可能。
3. 日本の医療の課題と遠隔診療の動向
日本の医療を取り巻く課題を概観すると、1)医療費の高騰、2)医師の不足、3)地域格差、などが挙げられる。医療費の高騰に関しては、高齢化の進展に伴い2015年の45兆円から2025年には60兆円になると予想されている。その一方で、日本の人口千人当たりの臨床医数は、OECD加盟の34ヶ国中29位とむしろ少なく、医師の供給は常に不足している。また、医療の地域格差も課題として挙がっており、人口当たりの医師数を都道府県別に比較すると、上位と下位の都道府県で約2倍の格差が存在する。このような医療の課題を解決する1つの方法論として、遠隔診療が注目されている。2016年11月に開催された未来投資会議(政府が開催する成長戦略を決定する会議、議長は安部首相)では、2018年度の診療報酬・介護報酬改定で遠隔診療の診療報酬を一部評価、2020年度の診療報酬改定では本格的に評価される可能性が示唆された。現状、外来での診療と遠隔診療は3倍〜5倍の診療報酬の差があり、医療機関としてのインセンティブが働きにくいという課題がある。同社としては、「遠隔診断ポケットドクター」での実績・エビデンスを早期に積み上げ、この分野のトップランナーとして各界に成果を示していきたい考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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1. 「ポケットドクター」これまでの進捗
「ポケットドクター」は、医師とコンシューマをつなぐプラットフォームで、国内初のスマートフォン・タブレットを用いた遠隔診療・健康相談サービスである。MRT<6034>が培ってきた医療情報及び医師、医療機関のネットワークとオプティムが持つリモートマネジメントテクノロジーを遠隔診療サービス向けに必要なあらゆる機能を取り込み再構築したテクノロジーを組み合わせることにより開発された。
サービスは内容により、2016年4月からサービスの提供を開始した「かかりつけ医診療」のほか、同7月に提供開始した「予約相談」と2017年3月開始の「今すぐ相談」の3つからなる。2017年3月期は、参画する医療機関に無料で提供し、予約相談登録医師数は240名(64診療科目)、登録医療機関数で350院を超えた。患者サイドのアプリダウンロード数は、1年で5,500件を超えた。
サービスの特長は、1)相談者がスマートデバイスのカメラで写している映像や画像、ウエアラブル機器、ヘルスケア機器から取得されるバイタルデータを医師と共有することにより、医師は相談者の状態を詳細に把握できる、2)相談者が映像や画像の共有を行う際に、医師は赤ペン機能や、指差し機能を用いて、映してほしい箇所の指示や、症状の説明を的確に行える、3)医師は、診療の合間の空き時間を活用して、「予約相談」、「いますぐ相談」を受け付けることで、空き時間の有効活用が行える、4)相談者や医師及び医療機関は、手持ちのスマートフォンやタブレットに「ポケットドクター」のアプリをインストールすることで利用が可能(「ポケットドクター」アプリはiOS8.0以降のiPhoneやiPad、AndroidTM4.0以降のスマートデバイスで動作)、などである。
2. 「かかりつけ医診療」から「遠隔診療ポケットドクター」に刷新
サービス開始から約1年が経過し、患者ニーズや医師の使い勝手などの情報が蓄積されてきたため、2017年4月に「かかりつけ医診療」サービスが刷新され、「遠隔診療ポケットドクター」として有償で医療機関向けに提供されることになった。
「遠隔診療ポケットドクター」では、従来の「ビデオ通話」機能に加え、オンラインでの診療に必要な「診療予約」、「オンライン決済」、「薬・処方箋の配送支援」、「医療機関向け管理画面」などの新たな機能が搭載され、圧倒的に利便性が高まった。
以下の(1)から(4)は、今回の刷新で新たに追加された機能である。
(1) 「診療予約」機能
患者はスマートフォンやタブレットからかかりつけ医療機関に遠隔診療の予約を行うことができる。診療当日には予約のリマインド通知が来るため、予約忘れを防止することが可能。スケジュールに合わせた24時間予約を受け付ける。
(2) 「オンライン決済」機能
診療後はクレジットカードによるオンライン決済により、診療にかかった費用の支払いがスムーズに完了する。なお、サービス内で利用している決済システムには、ベリトランス(株)の決済サービスを採用。
(3) 「薬・処方箋の配送支援」機能
医療機関は、患者への薬・処方箋の配送に必要な情報を管理することができる。患者は在宅で、医薬品を受け取ることが可能となる。
(4) 「医療機関向け管理画面」機能
「遠隔診療ポケットドクター」を利用した患者の予約状況や決済状況、薬・処方箋の配送状況等の情報を管理する「医療機関向け管理画面」機能を提供する。医療機関は、Webブラウザーから「医療機関向け管理画面」を利用することで、遠隔診療をスムーズに行える。
以下の(5)と(6)は、これまでも提供されていた機能である。
(5) 「ビデオ通話」機能
スマートフォン・タブレットのカメラを利用し、顔色や患部の状況を医師に共有しながら診療を受けることができる。医師はオプティムが開発した基本特許技術「Overlay Technology」(特許第5192462号)による赤ペン機能や、指差し機能を用いることにより、映してほしい箇所の指示や、症状の説明を的確に行うことが可能。
(6) 「ヘルスケア機器連携」機能
スマートフォンと連携している血圧計や体組成計、体温計などのヘルスケア機器から取得したバイタルデータを、「遠隔診療ポケットドクター」と連携し、自身の日々のバイタルデータを医療機関に共有しながら診療を受けることが可能。
3. 日本の医療の課題と遠隔診療の動向
日本の医療を取り巻く課題を概観すると、1)医療費の高騰、2)医師の不足、3)地域格差、などが挙げられる。医療費の高騰に関しては、高齢化の進展に伴い2015年の45兆円から2025年には60兆円になると予想されている。その一方で、日本の人口千人当たりの臨床医数は、OECD加盟の34ヶ国中29位とむしろ少なく、医師の供給は常に不足している。また、医療の地域格差も課題として挙がっており、人口当たりの医師数を都道府県別に比較すると、上位と下位の都道府県で約2倍の格差が存在する。このような医療の課題を解決する1つの方法論として、遠隔診療が注目されている。2016年11月に開催された未来投資会議(政府が開催する成長戦略を決定する会議、議長は安部首相)では、2018年度の診療報酬・介護報酬改定で遠隔診療の診療報酬を一部評価、2020年度の診療報酬改定では本格的に評価される可能性が示唆された。現状、外来での診療と遠隔診療は3倍〜5倍の診療報酬の差があり、医療機関としてのインセンティブが働きにくいという課題がある。同社としては、「遠隔診断ポケットドクター」での実績・エビデンスを早期に積み上げ、この分野のトップランナーとして各界に成果を示していきたい考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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