児玉化 Research Memo(3):2018年3月期は事業・資本構造の改革により黒字転換の見通し
[17/09/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 第1四半期実績と2018年3月期見通し
児玉化学工業<4222>の2017年3月期第1四半期決算は、売上高が前年比8.2%減の4,594百万円と減収を余儀なくされながら、営業利益は42百万円(前年同期は42百万円の損失)と営業黒字に転換した。
営業黒字化した大きな要因は、インドネシア、中国の海外事業において事業構造、資本構造を転換したことによる。詳細は後述するが、これまで足かせになっていたインドネシア子会社を連結対象から除外、持分法適用会社に変更したことにより、営業利益段階では収益が大幅に改善した。
ただ、営業外収支では、持分法による投資損失が49百万円を計上するなど、インドネシア子会社の低迷が引き続き響いている。この結果、経常損失は44百万円(前年同期は59百万円の損失)、純損失は88百万円(同77百万円)となった。
売上高の減少は、こうした子会社の持分法適用会社への変更のほか、海外でメインターゲットとしているASEAN地域での需要低迷が響いている。なかでも、タイは昨年のプミポン国王の逝去に伴う自粛ムードが続いていることが影響として大きい。
2018年3月期見通しについては、売上高が前年比12.3%減の18,700百万円(2017年3月期は21,331百万円)と減収だが、営業利益が250百万円(同96百万円の損失)と通期でも黒字に転換する見込みだ。経常利益は80百万円(同315百万円の損失)、当期純利益は30百万円(同349百万円)といずれも黒字に転換する。通期も第1四半期同様、事業・資本構造の変革の効果が生じるほか、プミポン国王逝去1周忌後にタイの自粛ムードが緩和される期待がある。
2. 債務超過の解消
同社は、2016年3月期に債務超過となったものの、これは会計上の純資産を637百万円と計上したところ、東京証券取引所の内規によって、非支配株主持分647百万円を引く必要があり、結果として、東証の基準で10百万円の債務超過に転落。この判定によって、上場廃止基準にかかる猶予期間に入った。
しかし、インドネシア子会社である Echo Advanced Technology Indonesiaの株主の一部譲渡によって出資比率を60%から39.2%に引き下げ資本構造を改善。持分変動利益として321百万円を計上した。さらに、自己資本の増強として、第三者割当による新株予約権を発行し、前期中に新株予約権の行使により172百万円の増資を実施したことにより、2017年3月期の純資産は1,274百万円で債務超過を解消。自己資本比率は7.8%となっている。
この構造改革は、 Echo Advanced Technology Indonesiaが連結子会社から持分法適会社に変更したことで、赤字負担が軽減されるなど、前項で記したように、財務上だけではなく、フローにおいても効果が表れている。さらに、海外子会社においては、中国の無錫普拉那塑膠有限公司も事業構造改革によって収益改善が進み、これらによって、2018年3月期は黒字転換が見込めるまでになった。
同社は、2008年ごろに約40億円、2010年から2013年にかけて約40億円、両時期に有利子負債が膨らんだ経緯がある。国内外で大きな投資を行なった結果だが、成長を期待していたインドネシアの事業が収益化せず、むしろ圧迫要因となった。これらが緩和されたことで、今後は利益を生む収益向上となる。
連結ベースの有利子負債は、ピークで11,518百万円まで増加したのが、第1四半期末現在の長短借入金の合計は9,350百万円まで減少。新株予約権の行使が進むにつれ、その分、借入金返済に回す意向で、今後はさらに財務体質の改善が進みそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
<MW>
1. 第1四半期実績と2018年3月期見通し
児玉化学工業<4222>の2017年3月期第1四半期決算は、売上高が前年比8.2%減の4,594百万円と減収を余儀なくされながら、営業利益は42百万円(前年同期は42百万円の損失)と営業黒字に転換した。
営業黒字化した大きな要因は、インドネシア、中国の海外事業において事業構造、資本構造を転換したことによる。詳細は後述するが、これまで足かせになっていたインドネシア子会社を連結対象から除外、持分法適用会社に変更したことにより、営業利益段階では収益が大幅に改善した。
ただ、営業外収支では、持分法による投資損失が49百万円を計上するなど、インドネシア子会社の低迷が引き続き響いている。この結果、経常損失は44百万円(前年同期は59百万円の損失)、純損失は88百万円(同77百万円)となった。
売上高の減少は、こうした子会社の持分法適用会社への変更のほか、海外でメインターゲットとしているASEAN地域での需要低迷が響いている。なかでも、タイは昨年のプミポン国王の逝去に伴う自粛ムードが続いていることが影響として大きい。
2018年3月期見通しについては、売上高が前年比12.3%減の18,700百万円(2017年3月期は21,331百万円)と減収だが、営業利益が250百万円(同96百万円の損失)と通期でも黒字に転換する見込みだ。経常利益は80百万円(同315百万円の損失)、当期純利益は30百万円(同349百万円)といずれも黒字に転換する。通期も第1四半期同様、事業・資本構造の変革の効果が生じるほか、プミポン国王逝去1周忌後にタイの自粛ムードが緩和される期待がある。
2. 債務超過の解消
同社は、2016年3月期に債務超過となったものの、これは会計上の純資産を637百万円と計上したところ、東京証券取引所の内規によって、非支配株主持分647百万円を引く必要があり、結果として、東証の基準で10百万円の債務超過に転落。この判定によって、上場廃止基準にかかる猶予期間に入った。
しかし、インドネシア子会社である Echo Advanced Technology Indonesiaの株主の一部譲渡によって出資比率を60%から39.2%に引き下げ資本構造を改善。持分変動利益として321百万円を計上した。さらに、自己資本の増強として、第三者割当による新株予約権を発行し、前期中に新株予約権の行使により172百万円の増資を実施したことにより、2017年3月期の純資産は1,274百万円で債務超過を解消。自己資本比率は7.8%となっている。
この構造改革は、 Echo Advanced Technology Indonesiaが連結子会社から持分法適会社に変更したことで、赤字負担が軽減されるなど、前項で記したように、財務上だけではなく、フローにおいても効果が表れている。さらに、海外子会社においては、中国の無錫普拉那塑膠有限公司も事業構造改革によって収益改善が進み、これらによって、2018年3月期は黒字転換が見込めるまでになった。
同社は、2008年ごろに約40億円、2010年から2013年にかけて約40億円、両時期に有利子負債が膨らんだ経緯がある。国内外で大きな投資を行なった結果だが、成長を期待していたインドネシアの事業が収益化せず、むしろ圧迫要因となった。これらが緩和されたことで、今後は利益を生む収益向上となる。
連結ベースの有利子負債は、ピークで11,518百万円まで増加したのが、第1四半期末現在の長短借入金の合計は9,350百万円まで減少。新株予約権の行使が進むにつれ、その分、借入金返済に回す意向で、今後はさらに財務体質の改善が進みそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
<MW>