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エニグモ Research Memo(3):独自のCtoCサービスにより新たな提供価値を創出

注目トピックス 日本株
■会社概要

2. 企業特長
(1) 「BUYMA」による新たな提供価値
a) 幅広い品ぞろえと適正な価格を実現
出品者であるパーソナルショッパーは、主に海外在住の日本人が個人として登録しているが、法人として豊富な出品数と独自のラインナップを構成する法人ショップがあるほか、個人ではあるが取引実績等によりエニグモ<3665>から認定されたプレミアムパーソナルショッパーも存在する。注文を受けてから買い付けるシステムであるため、出品者は在庫リスクを持たずに販売でき、世界137ヶ国から最先端のアイテムや希少性のあるアイテム等がラインナップされる上、パーソナルショッパー約10万人の嗜好性が反映されることから、多様化する消費者の趣味を幅広くカバーすることができる。最近では、規模拡大に伴い、様々な出品者(ショップやブランド・メーカー、専門商社など)の参加も増えており、それに伴って、多様なニーズを満たす品ぞろえがさらに充実してきた。

また、実店舗がなく、中間業者が存在しないことから、現地に近い価格を実現している上、出品者間の競争原理が働くことから価格を適正なレベルに維持することが可能となっている。

b) データを活用した最適なターゲティング
同社は、保有する膨大な取引データや国内の消費トレンド等から有望な商品を分析し、出品者へのアドバイスを行っている。特に、AIを活用して多様な品ぞろえを最適なユーザーに届けるターゲティングの機能は、「BUYMA」の価値や信頼を高める要素となっている。また、購入者からも出品者に対して欲しいアイテムの買い付けを依頼できるリクエスト機能もある。

c) CtoC取引を円滑に行う仕組み
出品者及び購入者は、「BUYMA」を介することで直接金銭をやりとりせず、詐欺やトラブルを回避できる安全で安心な決済システムを利用することができる。また、購入者は、購入したアイテムの紛失、破損、及び汚損など、品質におけるトラブルや不安に対して、「あんしんベーシック」(標準)と「あんしんプラス」(有料オプション)の2つの補償サービスを選択することができる上、本物保証制度「BUYMA 鑑定サービス」を無料で利用することもできる。また、出品者に対しては、購入者との対応や商品の梱包などの教育を行い、煩雑となりがちなCtoC取引を円滑に行う仕組みを提供している。2018年1月期も、4つの新規決済サービス(詳細は後述)の提供を開始しており、利便性をさらに高めている。

(2) 収益モデルと収益拡大のメカニズム
「BUYMA」の収益モデルは、取引されたアイテムの価格に応じて、出品者と購入者の双方から受領する手数料収入(出品者から5.40〜7.56%、購入者から5.40%が基本)によって支えられている。また、出品価格の1.44%を購入者から徴収する「あんしんプラス」の利用料も収益源となっている。したがって、同社の売上高は総取扱高にほぼ連動している。一方、総取扱高は、「会員数」と「アクティブ率」と「ARPU(1人当たりの年間購入額)」のかけ算に分解できるため、それぞれを伸ばすことが収益拡大につながる。同社では、それぞれをKPIとして管理するとともに、内部施策を通じて維持・向上を図っている。過去の実績を振り返ると、ARPUは4万円弱の水準で頭打ちとなっており、「会員数の拡大」と「アクティブ率の向上」が同社の業績の伸びをけん引してきたと言える。ただ、最近では、「ARPU」を構成する「1人当たりの平均購入件数」※を伸ばす施策にも注力している。

※「ARPU」は、「1人当たりの平均購入件数」と「1件当たりの購入単価」のかけ算に分解できる。ただ、「1件当たりの購入単価」は為替の影響やその時々のトレンドによりコントロールができないところが大きいため、同社では「1人当たりの平均購入件数」を増やす施策に注力し、ARPUの維持・向上を目指している。


(3) ソーシャルメディア等を活用した集客力の仕組み
「BUYMA」の会員基盤の拡大は、幅広い品ぞろえにより検索エンジンで上位に表示され、その結果、認知度や集客力を高めてきたことで実現してきた。人気ブランドにだけ依存した品ぞろえでは限界があるSEO対策も、希少性の高いアイテムを持つことによって上位に表示される可能性が高くなる。また、集客力が増すことによって、出品者からの出品数や種類も増加し、それがさらに集客力を高める好循環が成立していることも会員基盤の拡大に拍車をかける要因となってきた。

また、Webメディアを活用した集客の仕組みにも特長がある。特に、「POST」や「STYLE HAUS」などのオウンドメディアを経由した注文や会員登録が急拡大している。様々な趣味嗜好のライターが「BUYMA」の品ぞろえの魅力を伝えることにより新たな集客チャネルとして確立してきた。加えて、コンバージョン率※の高いアプリについてもDL数が拡大しており、それに伴ってアプリ経由の総取扱高も増えてきた。アプリ経由の総取扱高シェアは全体の36%にまで拡大している(2018年1月期上期実績)。

※コンバージョン率=注文件数÷訪問数

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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