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ジャストプラ Research Memo(2):外食業界向け店舗管理システムの大手

注目トピックス 日本株
■事業概要

ジャストプランニング<4287>の事業は、ASP事業、システムソリューション事業、物流ソリューション事業、太陽光発電事業、その他事業の5つの事業セグメントで区分されている。2018年1月期第2四半期累計の事業セグメント別構成比を見ると、売上高ではASP事業が36.6%、物流ソリューション事業が48.0%と2つの事業で全体の80%以上を占めるが、売上総利益ではASP事業が70.5%を占め同社収益の大半を占める主力事業となっている。各事業の内容については以下のとおり。

1. ASP事業
ASP事業は、インターネットを介して売上、仕入、勤怠管理など店舗運営をしていく上で必要な業務用ソフトを利用できるサービス、「まかせてネット」が主力となっている。主な顧客は、20〜50店舗規模のチェーン展開をしている中小規模の外食企業であり、「まかせてネット」を導入することで、顧客企業は店舗の経営状況を迅速、かつ低コストで収集・管理・分析することが可能となる。契約店舗からの月額利用料が売上高の大半を占めるストック型のビジネスモデルで、売上総利益率も75%超と高く同社の主力事業となっている。

「まかせてネット」の月額利用料金は、利用するサービスによって変わるが、1店舗当たり平均で1.5万円台となっている(売上高÷期中平均契約店舗数)。競合企業の多くが月額1万円前後の料金水準で提供していることからすれば割高な水準だが、これは他社であれば別途追加料金が発生するようなカスタマイズ対応についても、同社は無償で行っていることが要因となっている(ただし、大幅な仕様変更については別途料金が必要)。

2018年1月期第2四半期末時点の「まかせてネット」契約店舗数は、4,835店舗(契約企業数233社)と前期末比で56店舗減となっている。国内の外食チェーン店舗数は2017年3月末時点で5.86万店舗(日本フランチャイズチェーン協会調べ)となっており、同社の業界シェアは1割弱の水準だが、主要ターゲットとなる50店舗以下の中小規模の外食チェーン向けに限れば1割強のシェアになっていると推定される。

競合企業としては、アルファクス・フード・システム<3814>、(株)日立システムズ、(株)アスピットなど同規模クラスの企業が10社以上ある。このうち、アルファクス・フード・システムの契約店舗数は、2017年3月末時点で7,199店舗(281社)と同社を上回って業界トップの水準となっているが、売上高についてはARPU(1店舗当たり平均売上高)が同社よりも低いためほぼ同水準となっている。なお、外食企業向けのASPサービスとしては、インフォマート<2492>も受発注サービスを行っており、一部サービスが重複している。ただし、インフォマートは主に売り手側(食品卸会社向け)のサービスをメインとしているため、インフォマートと顧客が重複する場合には互いにシステム連携を行うなど良好な関係を構築している。

同社ではARPUの向上、あるいは顧客の囲い込みを図るため、「まかせてネット」以外の付加価値サービスの拡充も進めている。2012年秋に発表したクラウド型POSオーダリングサービス「まかせてタッチ」を始め、2014年に公共料金価格適正化診断サービス、2015年には「まかせて通訳」(音声通訳サービス)、「Pre Order POS」(リアルタイム売上送信電卓アプリ)、2017年にはPOSシステムなどを対象とした「物損対応付き延長保証サービス」「給与前払サービス」「外国人留学生派遣代行運用管理サービス」などを他社との業務提携を通じて相次いで開始している。

このうち、「まかせてタッチ」とは飲食店で来店客からのオーダーを受ける際に使用する専用端末(ハンディターミナル)を、iPadやiPod touchなどの汎用端末に置き換えたサービスとなる。同サービスの特徴は、汎用端末を用いることで初期導入費用を約3分の1と大幅に低減できることに加え、一般的に広く普及している端末を使うため、従業員の習熟度も早く教育研修費用を圧縮できること、メンテナンス費用を低減できることなどが挙げられる。将来的には来店客のスマートフォンから直接オーダーが可能となるサービスや、オーダー情報を利用して接客向上につなげていくサービスなど、追加機能の拡充も視野に入れている。「まかせてタッチ」の導入費用は初期費用で10万円から、月額利用料は1店舗当たりオーダリングサービスで9,800円、POSサービスで5,000円、保守サービスで5,000円の合計19,800円となる。

スマートデバイスを使ったPOSオーダリングサービスは既に複数社が展開しているが、先行企業との違いは、他社が専用アプリでサービスを提供しているのに対して、同社はブラウザベースでサービスを提供していることにある。専用アプリでのサービス提供はAppleやGoogleによるOSの仕様変更によって、その都度改修が必要となる可能性があり、改修が間に合わなければサービスの提供を一時停止しなければならないリスクがあるが、ブラウザベースのサービス提供であれば、そういったリスクは発生しない。契約店舗数は当初の想定より開拓が遅れ気味ではあるものの、直近では「まかせてネット」の導入店舗のほか新規顧客の開拓も進み、100店舗を超える水準まで拡大している。

また、公共料金価格適正化診断サービスは、電気やガス、下水道などの公共料金の契約内容を診断し、低コスト化が実現できるよう最適なプランニングを提案するサービスとなる。顧客ターゲットは既存契約企業店舗のうち、直接、電力会社やガス会社等と契約している店舗(ロードサイド型店舗)となる。同サービスについては、顧客の解約防止策としての位置付けとなる。

2. システムソリューション事業
システムソリューション事業は、主にASPサービス契約企業の店舗に導入するPOSシステムやオーダリングシステムなど各種端末機器の販売や設定・メンテナンス収入で構成されている。ただ、ASPサービスを新規契約した場合でも、既に店舗に端末機器が設置されている場合は買い替える必要もないため、ASP事業との売上げの連動性は低い。また、端末機器に関しては仕入販売となるため、売上総利益率も20%台と相対的に低くなっている。

3. 物流ソリューション事業
物流ソリューション事業は、子会社の(株)サクセスウェイ(出資比率70.0%)で展開する事業である。主に外食企業向けの物流ソリューションやマーチャンダイズソリューション、本部業務代行サービスなどを展開している。現在は、労働集約型である物流業務代行サービスが売上の大半を占めていることもあり、売上総利益率は10%台と低くなっている。収益性向上を図るため、同社で開発した物流総合管理システム(店舗発注、倉庫管理、在庫管理等)のASPサービス「Logi Logi(ロジロジ)システム」(契約店舗数は約400店舗)の拡販に注力している。

4. 太陽光発電事業
2015年2月より子会社の(株)JPパワー(出資比率100.0%)で太陽光発電事業を開始している。栃木県内2ヶ所で合計1.7MWhの発電所を稼働したほか、2016年2月より宮城県内で1.1MWhの発電所を稼働させている。当面は現有設備で売電事業を行っていく方針で、新たな投資は計画していない。減価償却負担がかかるため当初の利益率は低いが、償却負担減とともに利益率の上昇が見込める事業となる。

5. その他事業
その他事業では、店舗運営ノウハウを学ぶ社員研修や新システムのテストマーケティングの場として外食店舗2店舗(居酒屋)を運営しているほか、福岡県のゴルフバー1店舗(2014年10月事業譲受)をJPパワーで運営している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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