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ラクス Research Memo(3):安定した急成長を支えるストック型ビジネスモデル

注目トピックス 日本株
■事業概要

1. クラウド事業
ラクス<3923>のクラウドサービスの特徴の1つは、カスタマイズや機器販売を極力行わないことである。これは、受注に伴う労働集約的な要素を排除し、効率を上げる狙いがある。結果として、クラウド事業売上高に占める月額料金の割合は93.5%(2018年3月期第2四半期)となっており、高いストック売上比率になっている。個別のカスタマイズは極力行わない一方で、営業・サポート・開発チームは、顧客ニーズを的確に捉え、素早く本体サービスを改善する。この結果、解約率が低くなり、導入社数は積み上がっていく。売上高が固定費を超えてくると、変動費が小さいために利益率が急速に高まってくる。同社のクラウド事業の利益率(セグメント利益/セグメント売上高)は19.6%(同)に達する。

同社の特徴は、複数のクラウドサービスを開発・育成し、クラウドサービスのポートフォリオを有していることである。対象は、中小企業向けの、業務効率化に貢献するサービスに絞っている。顧客はコスト削減や業務効率化効果が見えやすいため、継続利用につながりやすい。

これまで同社を支えてきた「メールディーラー」は、2001年の発売以来、EC事業者やWebサービス事業者にとって欠かせないサービスとして浸透し、この分野のデファクトサービスとなっている。ニッチな市場ながら約7割の市場シェアを持ち、営業利益率は約50%に達し、なお成長を続けている。

主力サービスに躍進した「楽楽精算」は、すべての経費処理を一元管理し、すべての利用者(申請者、承認者、経理担当者)の業務を効率化するツールである。「楽楽精算」がターゲットにしているのは、紙やExcelで精算を行っている中堅中小企業(従業員50人〜1,000人規模、国内約10万社)であり、その市場規模は約500億円と推定されている。クラウド型経理精算システム導入社数のシェアでトップを走っており、導入社数は2,412社(2017年9月末)に達した。3年前(2015年3月期)には月間の新規導入社数は29社/月であったが、現在(2018年3月期第2四半期)では、76社/月となっており導入が加速している。競合他社では、(株)コンカーやマネーフォワード<3994>がある。

このほかにもメール配信システム「配配メール」、Webデータベース「働くDB」など多数のクラウドサービスを持ち、いずれも高い収益性を確保している。既存サービスからの収益を注力する新規サービス(「楽楽精算」など)に投下するポートフォリオマネジメントがうまく回っているのが同社の強みである。

2. IT人材事業
同社のIT人材事業は、1)正社員に特化して、2) JAVAに特化して未経験者を育て、3)開発が継続するWebサービス事業者に派遣先を絞る、という特徴がある。これらの特化戦略により、派遣契約が長期化し、ストックビジネス化を実現している。企業収益の改善に伴うIT投資の増加や慢性的なITエンジニア不足により顧客企業のニーズが高い状況にある。同社としては、積極的な投資を行わない事業と位置付けてはいるが、人材確保を先行し巡航速度で成長させたい考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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