イノベーション Research Memo(1):「ITトレンド」と「List Finder」が成長のけん引役に
[18/06/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
イノベーション<3970>は、法人営業の生産性向上に寄与するインターネットを活用したマーケティング支援サービス事業を展開している。企業が利用するIT製品の比較・資料請求サイト「ITトレンド」(資料請求件数に応じて売上げが発生する成果報酬型ビジネスモデル)を中心としたオンラインメディア事業と、BtoBの中堅・中小企業を対象としたマーケティングオートメーション※(以下、MA)ツール「List Finder」を提供するセールスクラウド事業が2本柱。2016年12月に東証マザーズ市場に上場した。
※マーケティングオートメーションとは、マーケティング活動におけるプロセスの自動化や効率化を支援するシステムの総称で、見込み顧客情報を管理し、中長期にわたって良好な関係性を築くためのコミュニケーションや最適なタイミングで営業に引き渡すことに必要な煩雑な業務を自動化するために開発されたツールのことを指す。
1. 2018年3月期業績
2018年3月期の業績は、売上高で前期比7.0%増の1,345百万円となったものの、営業利益は同82.7%減の29百万円となった。「ITトレンド」の売上を左右するサイト来訪者数が、Gooogle検索結果の表示順位低下により前期比2.8%減と減少し、集客力を向上させるためのSEO対策費用が想定以上に増加したこと、「ITトレンド」の認知度向上を目的とした広告宣伝費38百万円(一時費用)を計上したこと、「List Finder」の新機能追加のための開発費や保守・メンテナンス費用が増加したこと、人員体制強化により人件費や採用募集費が増加したことなどが減益要因となった。また、「List Finder」の期末契約アカウント数についても、前期末比18.8%増の728件と増加したものの、当初の会社計画からは下回る結果となった。
2. 2019年3月期業績見通し
2019年3月期の売上高は前期比11.5%増の1,500百万円、営業利益は同54.3%減の13百万円と増収減益を見込んでいる。2018年3月期業績が期初会社計画(売上高1,475百万円、営業利益197百万円)を大きく下回ったため、今期については確実に達成可能な計画値を発表している。売上高についてはオンラインメディア事業、セールスクラウド事業ともに2ケタ増収を見込んでいる。オンラインメディア事業では、「ITトレンド」の掲載製品・サービス数を拡充していくことに加えて、2017年12月に働き方改革とITを繋ぐ新たなメディア「ITトレンドスタイル」を開設しており、同メディアを通じて働き方改革に取り組む企業の潜在ニーズを掘り起し、資料請求件数の増加につなげていく戦略となっている。一方、セールスクラウド事業では、2018年4月に「List Finder」の機能追加とともに料金プランを改定したこと、また、サービス基盤として「Microsoft Azure」に移行し(2018年6月)、日本マイクロソフト(株)のクラウドパートナープログラムとして販売促進活動を共同で実施していくことで、契約件数の増加が見込まれることなどが増収要因となる。また「List Finder」については、2018年5月に経済産業省の「IT導入補助金」の対象サービスに認定されたこともプラス要因となる。
3. 中長期の成長戦略
中長期の成長戦略として、「ITトレンド」や「List Finder」等の既存事業の拡大に加えて、中堅・中小企業のニーズに対応した新サービスの開発や協業パートナーである(株)日経BPとの連携も進めていく方針。「ITトレンド」では「掲載製品・サービス数の拡大」×「サービスカテゴリー数の拡大」×「来訪ユーザー数の拡大」の3次元成長により、成長スピードを加速化していく方針。また「List Finder」では、販売パートナー戦略の拡充と機能拡充を進めていくことで拡大していく戦略となる。業績は積極的な投資を行ったこともありやや足踏みする状況となったが、同社を取り巻く市場環境は良好であり、今後の収益成長が期待される。
■Key Points
・BtoB企業向けに特化した営業・マーケティング支援サービス事業を展開
・2018年3月期は広告宣伝費増や人材募集費用、開発費用等の積極投資により増収減益決算に
・2019年3月期は主力の「ITトレンド」「List Finder」とも2ケタ増収を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
イノベーション<3970>は、法人営業の生産性向上に寄与するインターネットを活用したマーケティング支援サービス事業を展開している。企業が利用するIT製品の比較・資料請求サイト「ITトレンド」(資料請求件数に応じて売上げが発生する成果報酬型ビジネスモデル)を中心としたオンラインメディア事業と、BtoBの中堅・中小企業を対象としたマーケティングオートメーション※(以下、MA)ツール「List Finder」を提供するセールスクラウド事業が2本柱。2016年12月に東証マザーズ市場に上場した。
※マーケティングオートメーションとは、マーケティング活動におけるプロセスの自動化や効率化を支援するシステムの総称で、見込み顧客情報を管理し、中長期にわたって良好な関係性を築くためのコミュニケーションや最適なタイミングで営業に引き渡すことに必要な煩雑な業務を自動化するために開発されたツールのことを指す。
1. 2018年3月期業績
2018年3月期の業績は、売上高で前期比7.0%増の1,345百万円となったものの、営業利益は同82.7%減の29百万円となった。「ITトレンド」の売上を左右するサイト来訪者数が、Gooogle検索結果の表示順位低下により前期比2.8%減と減少し、集客力を向上させるためのSEO対策費用が想定以上に増加したこと、「ITトレンド」の認知度向上を目的とした広告宣伝費38百万円(一時費用)を計上したこと、「List Finder」の新機能追加のための開発費や保守・メンテナンス費用が増加したこと、人員体制強化により人件費や採用募集費が増加したことなどが減益要因となった。また、「List Finder」の期末契約アカウント数についても、前期末比18.8%増の728件と増加したものの、当初の会社計画からは下回る結果となった。
2. 2019年3月期業績見通し
2019年3月期の売上高は前期比11.5%増の1,500百万円、営業利益は同54.3%減の13百万円と増収減益を見込んでいる。2018年3月期業績が期初会社計画(売上高1,475百万円、営業利益197百万円)を大きく下回ったため、今期については確実に達成可能な計画値を発表している。売上高についてはオンラインメディア事業、セールスクラウド事業ともに2ケタ増収を見込んでいる。オンラインメディア事業では、「ITトレンド」の掲載製品・サービス数を拡充していくことに加えて、2017年12月に働き方改革とITを繋ぐ新たなメディア「ITトレンドスタイル」を開設しており、同メディアを通じて働き方改革に取り組む企業の潜在ニーズを掘り起し、資料請求件数の増加につなげていく戦略となっている。一方、セールスクラウド事業では、2018年4月に「List Finder」の機能追加とともに料金プランを改定したこと、また、サービス基盤として「Microsoft Azure」に移行し(2018年6月)、日本マイクロソフト(株)のクラウドパートナープログラムとして販売促進活動を共同で実施していくことで、契約件数の増加が見込まれることなどが増収要因となる。また「List Finder」については、2018年5月に経済産業省の「IT導入補助金」の対象サービスに認定されたこともプラス要因となる。
3. 中長期の成長戦略
中長期の成長戦略として、「ITトレンド」や「List Finder」等の既存事業の拡大に加えて、中堅・中小企業のニーズに対応した新サービスの開発や協業パートナーである(株)日経BPとの連携も進めていく方針。「ITトレンド」では「掲載製品・サービス数の拡大」×「サービスカテゴリー数の拡大」×「来訪ユーザー数の拡大」の3次元成長により、成長スピードを加速化していく方針。また「List Finder」では、販売パートナー戦略の拡充と機能拡充を進めていくことで拡大していく戦略となる。業績は積極的な投資を行ったこともありやや足踏みする状況となったが、同社を取り巻く市場環境は良好であり、今後の収益成長が期待される。
■Key Points
・BtoB企業向けに特化した営業・マーケティング支援サービス事業を展開
・2018年3月期は広告宣伝費増や人材募集費用、開発費用等の積極投資により増収減益決算に
・2019年3月期は主力の「ITトレンド」「List Finder」とも2ケタ増収を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>