サン電子 Research Memo(2):情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業の2本柱。新規事業を立ち上げ
[18/07/11]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
サン電子<6736>は、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業を2本柱とするIT機器メーカーである。情報通信関連事業では、海外子会社Cellebriteがグローバルに展開する携帯端末関連機器を中心として、M2M通信機器及びIoTソリューション、ゲームコンテンツ配信サービスなども提供している。また、エンターテインメント関連事業では、遊技機メーカー向けの遊技機部品(制御基板、液晶基板等)やパチンコホール向けのトータルコンピュータシステムの開発、製造、販売を手掛けている。
従来、パチンコ業界向けのエンターテインメント関連事業を軸としてきた同社だが、2007年に買収したCellebriteが展開するモバイルデータソリューション事業が急拡大してきた。今後は、需要拡大の見込めるM2Mのほか、AR関連※、O2Oソリューションなど、情報通信関連事業における新たな成長市場への参入により成長を加速する方針である。直近においても、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業の売上構成比率は66:34(2018年3月期実績)となっており、注力する情報通信関連事業の比率が高まる傾向にある。
※Augmented Reality(拡張現実)の略。実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を「仮想的に拡張する」もの。同社では、AR技術を活用した独自製品「AceReal」(産業用スマートグラス及び業務支援アプリケーション)の開発を進めている。
事業セグメントは、「モバイルデータソリューション事業」「エンターテインメント関連事業」「新規IT関連」※「その他」の4つに区分される。
※2018年3月期より、M2M、AR関連、O2Oソリューションに係る事業については、量的重要性が増したため、新たに「新規IT関連」として記載することになった(「その他」から分離)。それに伴い、「その他」については、現状、ゲームコンテンツに係る事業が大部分を占めている。
連結子会社は13社(国内1社、海外12社)、持分法適用会社は2社となっている(2018年3月末現在)。国内の連結子会社は、主にエンターテインメント関連事業の遊技機部品の製造を担うイードリーム(株)である。一方、海外の連結子会社には、2007年に買収したイスラエルのCellebriteとその販売拠点として、米国、ドイツ、ブラジル、シンガポール、英国、フランス、カナダ、中国、オーストラリアに現地法人が置かれているほか、2015年8月に子会社化したイスラエルの Bacsoft Ltd.(以下、Bacsoft)等がある。また、持分法適用会社は、2015年2月に Cellebriteと資本提携をしたイスラエルの Cellomat Israel Ltd.(以下、Cellomat)、同年4月に資本提携をした Infinity Augmented Reality, Inc.(以下、Infinity AR)の2社である。
1. モバイルデータソリューション事業
2007年に買収したCellebriteが開発した携帯端末関連機器の販売を通じて、MLC※1向けにデータ転送や故障診断サービス等を提供するほか、DI※2向けにデータ抽出及びデータ分析等を展開している。ただ、MLCについては、後述するように、代替サービスの登場に伴う需要の減少や、より成長性の高いDIへ経営資源を集中する戦略により、2018年3月末をもって事業を譲渡することに決定した。
※1 Mobile Life Cycleの略。携帯端末販売店向けのサービス。
※2 Digital Intelligenceの略。犯罪捜査機関向けのサービス。
Cellebriteは、1999年に設立された企業であり、2000年から米国でモバイルデータトランスファー機器の販売を開始。携帯電話やスマートフォンなどの利用者が新機種に買い替える際、データの移し替えを円滑に行うものであり、携帯端末の普及に伴ってMLC向けの需要が拡大した。特にスマートフォンの普及が、データの保存量や複雑性を高めたことから、データ転送速度など機能面で優れているCellebrite製品が高いシェアを獲得するに至った。ただ、最近では、クラウド型のデータ移行サービスが台頭するなかで、店頭でのデータ移行に対する需要が減退傾向にある。また、故障診断及び中古携帯端末の下取りなど新たなサービスへのシフトを進めてきたものの、普及までに時間がかかっており、MLC向けの業績は大きく後退している。同社では、MLCのポテンシャルの高さは評価しつつも、より成長性の高いDIに経営資源を集中する戦略により、MLCの事業譲渡に踏み切った。
一方、DI向けについては、Cellebriteが開発した携帯端末関連機器が犯罪捜査時の携帯端末のデータ解析などにも利用できることから、顧客である警察などの法的執行機関にも有用性が認められ、2009年頃より米国や日本などで普及が進んできた。特に最近では、携帯端末のデータが裁判で決定的な証拠となるケースが増加しており、携帯端末からの手掛かりや証拠入手の重要性が世界中で注目され、DIが好調に推移している。グローバル展開にも積極的であり、2008年にドイツに進出したほか、2013年にはシンガポール及びブラジルに開設した拠点が営業を開始した。最近では2014年に英国、2015年にはフランス、カナダ、中国、2017年にはオーストラリアと相次いで拠点を設立している。国内でも、DIを中心に展開をしている。
機器の導入、新機種への買い替え需要等の端末販売に加えて、導入後のソフトウェア更新料が積み上がるフローとストックを組み合わせた収益モデルとなっている。
2. エンターテインメント関連事業
遊技機メーカーに販売する制御基板等の遊技機部品及びパチンコホール経営を支援するトータルコンピュータシステムを取り扱っている※。
※2016年3月期までの「遊技台部品事業」と「ホールシステム事業」を統合したもの。
遊技機部品は、デジタル技術やグラフィック表現力を駆使し、パチンコ・スロットの演出などを行う制御基板や液晶基板等を主力としている。基板製造は協力会社に委託し、最終組立、検査を子会社のイードリームで行う。パチンコ機がヒットするかどうかは、制御基板による音や描写、映像などの演出にかかっており、創造性豊かな企画力や開発力によるところが大きい。同社はゲーム開発で培ったノウハウをパチンコ開発でも生かしている。
また、パチンコホールの経営に必要な遊技機の出玉情報や売上、景品、顧客などの情報をリアルタイムで収集、分析するトータルコンピュータシステムの企画、開発、販売も行っている。加えて、来店客が遊技機を選ぶために必要となる情報を提供する台上演出パネル「PREVO」を販売するなど、パチンコホールの経営を支援する新しい商品の企画、開発、販売も手掛けている。顧客からの様々な要望に柔軟に対応してきた開発力が強みとなっている。業界シェアでは、ダイコク電機<6430>が約35%のシェアを握る最大手で、同社は10%弱の3番手グループに位置する。ただし、低貸玉営業による収入の伸び悩みや遊技人口の減少などに加えて、遊技機の規制(射幸性の高い機種の入れ替え)の影響が重なり、パチンコホールの収益環境は一段と厳しいものになっており、同社業績も下降線をたどっている。同社は、業界環境の悪化に伴うリスクを最小限に抑えながら事業構造の変革を進めている。
3. 新規IT関連事業
2018年3月期より新たに追加されたセグメントである(「その他」より分離)。M2Mデジタル通信機器を中心としたM2M事業のほか、AR関連やO2Oソリューションなど新規事業によって構成される。ただ、前期までの売上高はM2M事業が大部分を占めている(AR関連はリリースに向けて準備中であり、O2Oソリューションもまだ立ち上がったばかりである)。M2M事業が伸びているが、損益面では、まだ投資フェーズにある事業が多いことから費用が先行している。
M2M事業では、施設・設備の稼働状況などをモバイル回線で送受信する通信機器「Rooster」の開発、製造、販売を行う。同社製品の特長は、通信モジュールとパソコンの機能を一体化したことで汎用性を高めているところにある。気象観測システムや太陽光発電、セキュリティ関連、在庫管理など幅広い用途に採用されており、NTTドコモ<9437>の回線で利用されている3rdパーティ製製品でのシェアはトップの実績※1を誇る。従来は、通信モジュールの売り切り型であったが、ソリューション提供型のストックビジネス(従量課金方式の収益モデル)への転換を図っている。2015年1月にはイスラエルのBacsoft(2015年8月に連結子会社化)との連携によりIoTプラットフォーム※2のサービスを開始した。通信機器(ハードウェア)だけでなく、システム部分の需要を取り込むことでソリューション力の向上と売上高の拡大に狙いがある。
※1 5年連続モバイルルータ国内シェアNo.1の実績(出典:2017年発行。テクノ・システム・リサーチ「国内モバイルM2M/IoT市場動向調査2016年度調べ」)。
※2 ペルーにおいて、サトウキビ畑の水がめやポンプ等の灌漑設備をIoT化し、水量データを収集するなどの実証実験を行っている。
また、新規事業として、AR関連やO2Oソリューションに取り組んでいる。AR関連は、2015年4月に資本提携(持分法適用会社化)したInfinity ARの開発プラットフォーム及び同年10月に業務提携したLumus Ltd.(以下、Lumus)の高性能のディスプレイユニットとの連携により、3社の強みを生かした企業向け業務支援システム「AceReal」(メガネ型のウェアラブルコンピュータとAR技術を組み込んだ業務支援ソリューションシステム)の開発を進めている。なお、第一弾の「AceReal One」ではハードウェアのスペックの都合もあり、ARエンジンはNSENSEを使う予定である。ハード性能の高さや独自のAR技術、優れたガイダンス性に特長があり、製造業、メンテナンス業、医療、教育などにおけるフィールド作業の効率化や安全対策、教育コンテンツなど、産業界の改善に特化した製品を開発しており、2019年3月期の下期からの本格販売を目指す。
一方、O2Oソリューションは、飲食店向けにテイクアウト予約決済アプリ「iToGo(アイトゥーゴー)プラットフォーム」を展開している。利用者にとっては事前予約で「待たずに購入できる」ところにメリットがあり、飲食店にとっても集客や売上アップはもちろん、店舗オペレーションの効率化や食材ロスの削減につながる。まだ、業績貢献は小さいものの、既にサガミチェーン<9900>やどんどん庵、小僧寿し<9973>などで導入されており、順調に立ち上がってきている。
4. その他
主にゲームコンテンツ事業で構成されている。主力であるスマートフォン向けゲームコンテンツは、ニッチ市場及びシリーズのコアなファン向けにターゲットを絞り込む戦略により、独自のポジショニングを確立してきた。また、ソニー<6758>グループによる家庭用ゲーム「PlayStation®VR」向けに開発してきたVRゲームコンテンツ「DARK ECLIPSE(ダークエクリプス)」は、2018年内からの発売を予定しており、今後の目玉となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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サン電子<6736>は、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業を2本柱とするIT機器メーカーである。情報通信関連事業では、海外子会社Cellebriteがグローバルに展開する携帯端末関連機器を中心として、M2M通信機器及びIoTソリューション、ゲームコンテンツ配信サービスなども提供している。また、エンターテインメント関連事業では、遊技機メーカー向けの遊技機部品(制御基板、液晶基板等)やパチンコホール向けのトータルコンピュータシステムの開発、製造、販売を手掛けている。
従来、パチンコ業界向けのエンターテインメント関連事業を軸としてきた同社だが、2007年に買収したCellebriteが展開するモバイルデータソリューション事業が急拡大してきた。今後は、需要拡大の見込めるM2Mのほか、AR関連※、O2Oソリューションなど、情報通信関連事業における新たな成長市場への参入により成長を加速する方針である。直近においても、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業の売上構成比率は66:34(2018年3月期実績)となっており、注力する情報通信関連事業の比率が高まる傾向にある。
※Augmented Reality(拡張現実)の略。実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を「仮想的に拡張する」もの。同社では、AR技術を活用した独自製品「AceReal」(産業用スマートグラス及び業務支援アプリケーション)の開発を進めている。
事業セグメントは、「モバイルデータソリューション事業」「エンターテインメント関連事業」「新規IT関連」※「その他」の4つに区分される。
※2018年3月期より、M2M、AR関連、O2Oソリューションに係る事業については、量的重要性が増したため、新たに「新規IT関連」として記載することになった(「その他」から分離)。それに伴い、「その他」については、現状、ゲームコンテンツに係る事業が大部分を占めている。
連結子会社は13社(国内1社、海外12社)、持分法適用会社は2社となっている(2018年3月末現在)。国内の連結子会社は、主にエンターテインメント関連事業の遊技機部品の製造を担うイードリーム(株)である。一方、海外の連結子会社には、2007年に買収したイスラエルのCellebriteとその販売拠点として、米国、ドイツ、ブラジル、シンガポール、英国、フランス、カナダ、中国、オーストラリアに現地法人が置かれているほか、2015年8月に子会社化したイスラエルの Bacsoft Ltd.(以下、Bacsoft)等がある。また、持分法適用会社は、2015年2月に Cellebriteと資本提携をしたイスラエルの Cellomat Israel Ltd.(以下、Cellomat)、同年4月に資本提携をした Infinity Augmented Reality, Inc.(以下、Infinity AR)の2社である。
1. モバイルデータソリューション事業
2007年に買収したCellebriteが開発した携帯端末関連機器の販売を通じて、MLC※1向けにデータ転送や故障診断サービス等を提供するほか、DI※2向けにデータ抽出及びデータ分析等を展開している。ただ、MLCについては、後述するように、代替サービスの登場に伴う需要の減少や、より成長性の高いDIへ経営資源を集中する戦略により、2018年3月末をもって事業を譲渡することに決定した。
※1 Mobile Life Cycleの略。携帯端末販売店向けのサービス。
※2 Digital Intelligenceの略。犯罪捜査機関向けのサービス。
Cellebriteは、1999年に設立された企業であり、2000年から米国でモバイルデータトランスファー機器の販売を開始。携帯電話やスマートフォンなどの利用者が新機種に買い替える際、データの移し替えを円滑に行うものであり、携帯端末の普及に伴ってMLC向けの需要が拡大した。特にスマートフォンの普及が、データの保存量や複雑性を高めたことから、データ転送速度など機能面で優れているCellebrite製品が高いシェアを獲得するに至った。ただ、最近では、クラウド型のデータ移行サービスが台頭するなかで、店頭でのデータ移行に対する需要が減退傾向にある。また、故障診断及び中古携帯端末の下取りなど新たなサービスへのシフトを進めてきたものの、普及までに時間がかかっており、MLC向けの業績は大きく後退している。同社では、MLCのポテンシャルの高さは評価しつつも、より成長性の高いDIに経営資源を集中する戦略により、MLCの事業譲渡に踏み切った。
一方、DI向けについては、Cellebriteが開発した携帯端末関連機器が犯罪捜査時の携帯端末のデータ解析などにも利用できることから、顧客である警察などの法的執行機関にも有用性が認められ、2009年頃より米国や日本などで普及が進んできた。特に最近では、携帯端末のデータが裁判で決定的な証拠となるケースが増加しており、携帯端末からの手掛かりや証拠入手の重要性が世界中で注目され、DIが好調に推移している。グローバル展開にも積極的であり、2008年にドイツに進出したほか、2013年にはシンガポール及びブラジルに開設した拠点が営業を開始した。最近では2014年に英国、2015年にはフランス、カナダ、中国、2017年にはオーストラリアと相次いで拠点を設立している。国内でも、DIを中心に展開をしている。
機器の導入、新機種への買い替え需要等の端末販売に加えて、導入後のソフトウェア更新料が積み上がるフローとストックを組み合わせた収益モデルとなっている。
2. エンターテインメント関連事業
遊技機メーカーに販売する制御基板等の遊技機部品及びパチンコホール経営を支援するトータルコンピュータシステムを取り扱っている※。
※2016年3月期までの「遊技台部品事業」と「ホールシステム事業」を統合したもの。
遊技機部品は、デジタル技術やグラフィック表現力を駆使し、パチンコ・スロットの演出などを行う制御基板や液晶基板等を主力としている。基板製造は協力会社に委託し、最終組立、検査を子会社のイードリームで行う。パチンコ機がヒットするかどうかは、制御基板による音や描写、映像などの演出にかかっており、創造性豊かな企画力や開発力によるところが大きい。同社はゲーム開発で培ったノウハウをパチンコ開発でも生かしている。
また、パチンコホールの経営に必要な遊技機の出玉情報や売上、景品、顧客などの情報をリアルタイムで収集、分析するトータルコンピュータシステムの企画、開発、販売も行っている。加えて、来店客が遊技機を選ぶために必要となる情報を提供する台上演出パネル「PREVO」を販売するなど、パチンコホールの経営を支援する新しい商品の企画、開発、販売も手掛けている。顧客からの様々な要望に柔軟に対応してきた開発力が強みとなっている。業界シェアでは、ダイコク電機<6430>が約35%のシェアを握る最大手で、同社は10%弱の3番手グループに位置する。ただし、低貸玉営業による収入の伸び悩みや遊技人口の減少などに加えて、遊技機の規制(射幸性の高い機種の入れ替え)の影響が重なり、パチンコホールの収益環境は一段と厳しいものになっており、同社業績も下降線をたどっている。同社は、業界環境の悪化に伴うリスクを最小限に抑えながら事業構造の変革を進めている。
3. 新規IT関連事業
2018年3月期より新たに追加されたセグメントである(「その他」より分離)。M2Mデジタル通信機器を中心としたM2M事業のほか、AR関連やO2Oソリューションなど新規事業によって構成される。ただ、前期までの売上高はM2M事業が大部分を占めている(AR関連はリリースに向けて準備中であり、O2Oソリューションもまだ立ち上がったばかりである)。M2M事業が伸びているが、損益面では、まだ投資フェーズにある事業が多いことから費用が先行している。
M2M事業では、施設・設備の稼働状況などをモバイル回線で送受信する通信機器「Rooster」の開発、製造、販売を行う。同社製品の特長は、通信モジュールとパソコンの機能を一体化したことで汎用性を高めているところにある。気象観測システムや太陽光発電、セキュリティ関連、在庫管理など幅広い用途に採用されており、NTTドコモ<9437>の回線で利用されている3rdパーティ製製品でのシェアはトップの実績※1を誇る。従来は、通信モジュールの売り切り型であったが、ソリューション提供型のストックビジネス(従量課金方式の収益モデル)への転換を図っている。2015年1月にはイスラエルのBacsoft(2015年8月に連結子会社化)との連携によりIoTプラットフォーム※2のサービスを開始した。通信機器(ハードウェア)だけでなく、システム部分の需要を取り込むことでソリューション力の向上と売上高の拡大に狙いがある。
※1 5年連続モバイルルータ国内シェアNo.1の実績(出典:2017年発行。テクノ・システム・リサーチ「国内モバイルM2M/IoT市場動向調査2016年度調べ」)。
※2 ペルーにおいて、サトウキビ畑の水がめやポンプ等の灌漑設備をIoT化し、水量データを収集するなどの実証実験を行っている。
また、新規事業として、AR関連やO2Oソリューションに取り組んでいる。AR関連は、2015年4月に資本提携(持分法適用会社化)したInfinity ARの開発プラットフォーム及び同年10月に業務提携したLumus Ltd.(以下、Lumus)の高性能のディスプレイユニットとの連携により、3社の強みを生かした企業向け業務支援システム「AceReal」(メガネ型のウェアラブルコンピュータとAR技術を組み込んだ業務支援ソリューションシステム)の開発を進めている。なお、第一弾の「AceReal One」ではハードウェアのスペックの都合もあり、ARエンジンはNSENSEを使う予定である。ハード性能の高さや独自のAR技術、優れたガイダンス性に特長があり、製造業、メンテナンス業、医療、教育などにおけるフィールド作業の効率化や安全対策、教育コンテンツなど、産業界の改善に特化した製品を開発しており、2019年3月期の下期からの本格販売を目指す。
一方、O2Oソリューションは、飲食店向けにテイクアウト予約決済アプリ「iToGo(アイトゥーゴー)プラットフォーム」を展開している。利用者にとっては事前予約で「待たずに購入できる」ところにメリットがあり、飲食店にとっても集客や売上アップはもちろん、店舗オペレーションの効率化や食材ロスの削減につながる。まだ、業績貢献は小さいものの、既にサガミチェーン<9900>やどんどん庵、小僧寿し<9973>などで導入されており、順調に立ち上がってきている。
4. その他
主にゲームコンテンツ事業で構成されている。主力であるスマートフォン向けゲームコンテンツは、ニッチ市場及びシリーズのコアなファン向けにターゲットを絞り込む戦略により、独自のポジショニングを確立してきた。また、ソニー<6758>グループによる家庭用ゲーム「PlayStation®VR」向けに開発してきたVRゲームコンテンツ「DARK ECLIPSE(ダークエクリプス)」は、2018年内からの発売を予定しており、今後の目玉となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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