ダイコク電 Research Memo(2):パチンコホール向けホールコンピュータ及び周辺機器が主力
[18/07/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業内容
ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売を主力として、パチンコ遊技機の表示・制御ユニットやパチスロ遊技機の開発・製造・販売等も手掛けている。
パチンコホールの経営を支えるホールコンピュータのパイオニアとして、データ管理を重視した管理手法の提案や、革新的機能を搭載した周辺機器の投入、業界随一の会員制情報提供サービスなどにより、ホールからの信頼とファンの満足度を高め、業界No.1となる市場シェアを誇ってきた。
同社ホールコンピュータを導入しているホール数は約3,700店舗(シェア約35%)、遊技機設置台数では約1,900千台(シェア約42%)に上る。
事業セグメントは、「情報システム事業」と「制御システム事業」の2つに区分されるが、情報システム事業が売上高の72.7%を占めるとともに同社の安定収益源となっている(2018年3月期実績)。
1. 情報システム事業
パチンコホール内システムの核となる「ホールコンピュータ」を軸に、「景品顧客管理システム」や「情報公開システム」などの周辺機器販売のほか、情報機器を通じて各種サービスを行う「ホールの経営支援サービス」、業界随一の情報戦略ツールである「会員制情報提供サービス(DK-SIS)」など、パチンコホール運営に必要な情報機器やサービスを展開している。
ホールコンピュータとは、店内に設置してある遊技機の稼動状況や売上データなどを管理する経営支援システムである。景品顧客管理システムや情報公開システムなど周辺機器とも連動するほか、会員制情報提供サービスの基盤となっており、ホールコンピュータの導入によって、周辺機器やサービスが一括で販売できるところに特長がある。なお、同社は、情報機器の販売に加えて、販売後の経営支援サービスや情報提供サービスによる手数料ビジネスを強化しており、ストック型ビジネスモデルへの転換を図っている。
2. 制御システム事業
遊技機メーカー向けに遊技機の表示及び制御ユニットの製造・販売のほか、遊技機に使用する部品の販売等を行っている。ホールコンピュータメーカーとして長年培った遊技台データ分析のノウハウを生かし、人気機種の傾向分析に基づく仕様の提案や人気キャラクターの版権獲得など、ユニット製造業者の枠を超え、コンテンツにまで関わる開発パートナーとして機能している。
また、2014年3月期からは、連結子会社であるDAXEL(株)ブランドによる自社開発パチスロ遊技機の製造・販売にも参入した。「まじかるすいーとプリズム・ナナ」や「ささみさん@がんばらないすろっと」、「パチスロ百花繚乱サムライガールズ」などがゲーム性を重視した独自の価値創造により相次いでヒット作品となっており、アニメに特化したハイクオリティのブランドイメージが定着してきた。2018年3月期についても、「そらのおとしものフォルテ」、「結城友奈は勇者である」の2機種をリリースしている。
■企業特長
1. 革新的な価値提供による市場開拓型の成長モデル
ダイコク電機<6430>は、創業以来、常に新たなカテゴリーの製品やサービスを企画・開発することで市場を開拓し、成長を遂げてきた。単に機能性に優れているだけでなく、「データ管理の重要性」と「情報公開の必要性」を提唱し、様々な局面からホール経営に対する付加価値を提供してきたところに同社の強みがある。
1974年に発売した「ホールコンピュータ」は、それまで簡易なデータ集計程度だったパチンコホールに対して、「データ管理」に基づく管理手法を提案し、デファクトスタンダードにまで発展させた。その後も、パチンコ・パチスロ遊技機の様々な機種情報を来店客に提供する情報公開端末「データロボ」など、革新的機能を搭載した「業界初」となる情報機器を相次いで投入しており、ホール経営の効率化やファンの満足度を高める価値提供により、ホールの業績向上に貢献してきた。
また、新規事業として注力する自社開発パチスロ遊技機についても、射幸性の高さで選別されがちなパチンコ、パチスロとは一線を画している。人気イラストレーターによるオリジナルキャラクターの採用、アニメーションや声優などを含め、徹底した質へのこだわりがアニメ好きのパチスロファンの心をつかみ、同社ならではの新たな市場を開拓している。
2. 会員ホールとの強固なネットワーク
ホールコンピュータを基盤とした会員制情報提供サービスも同社の強みとなっている。同社と会員ホールをネットワークで結び、各ホールから日々送られてくるデータを分析・加工した上で、ホール経営に役立つ情報をフィードバックするサービスである。ホールは、全国の遊技台情報や機種ごとの営業データなど、外部からの有益な情報を使った適切な店舗運営が可能となるとともに、同社にとっても、会員との強固なネットワークは事業基盤の支えとなっている。また、業界のシンクタンク的な役割も担っており、リーディングカンパニーとして同社のブランド力向上にも貢献しているほか、遊技機メーカーへの戦略的な提案・営業活動にも生かされているようだ。2018年3月末現在の会員数は3,638 店、管理台数は146万台(管理台数シェア32.8%)、データ規模9.2兆円(年間売上)となっている。会員数は、パチンコホール全体が減少傾向にある中で頭打ちの状態にあるが、大型店舗を中心に高い管理台数シェアを誇っている。
3. 安定収益基盤が将来に向けた投資を支える
同社の競争力の源泉は、研究開発費を始めとする将来の成長に向けた積極的な先行投資にある。ここ数年を見ても、パチスロ遊技機や次世代ホールコンピュータ(及び周辺機器)の開発など、今後の成長ドライバーとなる分野に積極的な投資を続けてきた。一方、それを可能としているのは、利益率の高い情報システム事業が収益源(キャッシュカウ)として機能しているからにほかならない。特に、ストック型ビジネスモデルとして推進している経営支援サービス(以下、MGサービス)が安定収益の柱として育ってきたことから、高水準で推移している研究開発費もMGサービスによる安定したセグメント利益の範囲内で賄うことができ、投資リスクは極めて限定的と言える。既存事業の収益力の高さと将来の成長に向けた投資のバランスが同社の持続的な価値創造を実現していると考えられる。なお、2018年3月期は「次世代システム」の開発計画について見直しを行い、研究開発費は減少している。
■ダイコク電機<6430>の業界環境
パチンコ業界は、遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いている。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ遊技機の両方で実施されると、2016年に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われてきた。さらに2017年9月4日には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(2018年2月1日施行、以下「新規則」と略)※が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感により、混沌とした状況が継続している。
※今回の「新規則」で、例えば、遊技機の最大出玉が抑制され、管理遊技機の規格が明記された。ただ、しばらくは旧基準機と新基準機が併存するなど、パチンコホールにとっては、業績悪化への懸念のほか、機種の入れ替えのタイミングなど難しい判断が必要とされ、それが投資意欲の冷え込み(慎重な姿勢)につながっていると言える。
警察庁によれば、パチンコ店舗数は年々減少傾向にあり、2011年から2017年の間で年平均2.4%減となっている。2017年のパチンコ店舗数は10,596店舗(前年比390店舗減)であるが、同社のホールコンピュータ顧客数は約3,700店舗(シェア約35%)に上る。同社の顧客層は地域1 番の優良店が多く、店舗規模も市場平均よりも大きいところに特徴※があり、1店舗当たりの平均遊技台数は512台と他社平均(369台)の約4割増しとなっている。したがって、比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れている顧客基盤と言え、今後、大型店舗を中心に投資意欲が戻ってくれば(不透明感が払拭され、市場が動き出してくれば)、同社にとっては事業拡大の好機になる可能性が高い。
※中大型店舗(501台〜1,000台)におけるシェアは約53%、大型店舗(1,001台以上)のシェアは約70%と大型店舗ほど高いシェアとなっている。
一方、遊技台数については、パチスロ遊技機が増加しているものの、パチンコ遊技機が減少していることから全体ではほぼ横ばいで推移しており、店舗数の減少と合わせると、店舗の大型化が示されている。前述のとおり、スケールメリットが生かせる大型店舗は同社の得意とするところであり、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。
ただ、同社推計による市場規模(総粗利ベース)で見ると、店舗数と同様、年々縮小傾向にあることから、パチンコ・パチスロ1台当たりの粗利は減少しており、店舗の大型化が進むなかでも、ホール経営は厳しい局面を迎えている。また、2016年12月15日にはIR推進法※が成立。それを契機に、ギャンブル等依存症(のめり込み)への対策が推進されており、業界にとっては新たな課題となっている。過去においても、射幸性の高い機種の制限が一時的な客離れを引き起こし、約1 年間は厳しい市場環境が続いた。今回の一連の動きについても業界に大きな影響を及ぼしているが、別の見方をすれば、業界淘汰を含め、射幸性に頼らないホール経営に転換が進むものと考えられる。もっとも、過去の業績低迷期については2〜3年後には底打ち、回復へ向かっていることから、同社では東京オリンピックの開催に向けてデフレ経済が解消されてくれば、中長期的には市場規模4兆円に向かって回復していくものと予想している。
※正式名称は、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律。同法は、許可を受けた民間事業者が、カジノ、会議場、ホテルなどが一体となった施設を国が認定した「特定複合観光施設区域」に限って設置できるよう、政府が法律の施行後1年以内をめどに必要な法制上の措置を講じなければならないと規定している。この成立を契機に、幅広く、公営競技やパチンコについて、キャンブル等依存症への対策が推進されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売を主力として、パチンコ遊技機の表示・制御ユニットやパチスロ遊技機の開発・製造・販売等も手掛けている。
パチンコホールの経営を支えるホールコンピュータのパイオニアとして、データ管理を重視した管理手法の提案や、革新的機能を搭載した周辺機器の投入、業界随一の会員制情報提供サービスなどにより、ホールからの信頼とファンの満足度を高め、業界No.1となる市場シェアを誇ってきた。
同社ホールコンピュータを導入しているホール数は約3,700店舗(シェア約35%)、遊技機設置台数では約1,900千台(シェア約42%)に上る。
事業セグメントは、「情報システム事業」と「制御システム事業」の2つに区分されるが、情報システム事業が売上高の72.7%を占めるとともに同社の安定収益源となっている(2018年3月期実績)。
1. 情報システム事業
パチンコホール内システムの核となる「ホールコンピュータ」を軸に、「景品顧客管理システム」や「情報公開システム」などの周辺機器販売のほか、情報機器を通じて各種サービスを行う「ホールの経営支援サービス」、業界随一の情報戦略ツールである「会員制情報提供サービス(DK-SIS)」など、パチンコホール運営に必要な情報機器やサービスを展開している。
ホールコンピュータとは、店内に設置してある遊技機の稼動状況や売上データなどを管理する経営支援システムである。景品顧客管理システムや情報公開システムなど周辺機器とも連動するほか、会員制情報提供サービスの基盤となっており、ホールコンピュータの導入によって、周辺機器やサービスが一括で販売できるところに特長がある。なお、同社は、情報機器の販売に加えて、販売後の経営支援サービスや情報提供サービスによる手数料ビジネスを強化しており、ストック型ビジネスモデルへの転換を図っている。
2. 制御システム事業
遊技機メーカー向けに遊技機の表示及び制御ユニットの製造・販売のほか、遊技機に使用する部品の販売等を行っている。ホールコンピュータメーカーとして長年培った遊技台データ分析のノウハウを生かし、人気機種の傾向分析に基づく仕様の提案や人気キャラクターの版権獲得など、ユニット製造業者の枠を超え、コンテンツにまで関わる開発パートナーとして機能している。
また、2014年3月期からは、連結子会社であるDAXEL(株)ブランドによる自社開発パチスロ遊技機の製造・販売にも参入した。「まじかるすいーとプリズム・ナナ」や「ささみさん@がんばらないすろっと」、「パチスロ百花繚乱サムライガールズ」などがゲーム性を重視した独自の価値創造により相次いでヒット作品となっており、アニメに特化したハイクオリティのブランドイメージが定着してきた。2018年3月期についても、「そらのおとしものフォルテ」、「結城友奈は勇者である」の2機種をリリースしている。
■企業特長
1. 革新的な価値提供による市場開拓型の成長モデル
ダイコク電機<6430>は、創業以来、常に新たなカテゴリーの製品やサービスを企画・開発することで市場を開拓し、成長を遂げてきた。単に機能性に優れているだけでなく、「データ管理の重要性」と「情報公開の必要性」を提唱し、様々な局面からホール経営に対する付加価値を提供してきたところに同社の強みがある。
1974年に発売した「ホールコンピュータ」は、それまで簡易なデータ集計程度だったパチンコホールに対して、「データ管理」に基づく管理手法を提案し、デファクトスタンダードにまで発展させた。その後も、パチンコ・パチスロ遊技機の様々な機種情報を来店客に提供する情報公開端末「データロボ」など、革新的機能を搭載した「業界初」となる情報機器を相次いで投入しており、ホール経営の効率化やファンの満足度を高める価値提供により、ホールの業績向上に貢献してきた。
また、新規事業として注力する自社開発パチスロ遊技機についても、射幸性の高さで選別されがちなパチンコ、パチスロとは一線を画している。人気イラストレーターによるオリジナルキャラクターの採用、アニメーションや声優などを含め、徹底した質へのこだわりがアニメ好きのパチスロファンの心をつかみ、同社ならではの新たな市場を開拓している。
2. 会員ホールとの強固なネットワーク
ホールコンピュータを基盤とした会員制情報提供サービスも同社の強みとなっている。同社と会員ホールをネットワークで結び、各ホールから日々送られてくるデータを分析・加工した上で、ホール経営に役立つ情報をフィードバックするサービスである。ホールは、全国の遊技台情報や機種ごとの営業データなど、外部からの有益な情報を使った適切な店舗運営が可能となるとともに、同社にとっても、会員との強固なネットワークは事業基盤の支えとなっている。また、業界のシンクタンク的な役割も担っており、リーディングカンパニーとして同社のブランド力向上にも貢献しているほか、遊技機メーカーへの戦略的な提案・営業活動にも生かされているようだ。2018年3月末現在の会員数は3,638 店、管理台数は146万台(管理台数シェア32.8%)、データ規模9.2兆円(年間売上)となっている。会員数は、パチンコホール全体が減少傾向にある中で頭打ちの状態にあるが、大型店舗を中心に高い管理台数シェアを誇っている。
3. 安定収益基盤が将来に向けた投資を支える
同社の競争力の源泉は、研究開発費を始めとする将来の成長に向けた積極的な先行投資にある。ここ数年を見ても、パチスロ遊技機や次世代ホールコンピュータ(及び周辺機器)の開発など、今後の成長ドライバーとなる分野に積極的な投資を続けてきた。一方、それを可能としているのは、利益率の高い情報システム事業が収益源(キャッシュカウ)として機能しているからにほかならない。特に、ストック型ビジネスモデルとして推進している経営支援サービス(以下、MGサービス)が安定収益の柱として育ってきたことから、高水準で推移している研究開発費もMGサービスによる安定したセグメント利益の範囲内で賄うことができ、投資リスクは極めて限定的と言える。既存事業の収益力の高さと将来の成長に向けた投資のバランスが同社の持続的な価値創造を実現していると考えられる。なお、2018年3月期は「次世代システム」の開発計画について見直しを行い、研究開発費は減少している。
■ダイコク電機<6430>の業界環境
パチンコ業界は、遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いている。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ遊技機の両方で実施されると、2016年に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われてきた。さらに2017年9月4日には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(2018年2月1日施行、以下「新規則」と略)※が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感により、混沌とした状況が継続している。
※今回の「新規則」で、例えば、遊技機の最大出玉が抑制され、管理遊技機の規格が明記された。ただ、しばらくは旧基準機と新基準機が併存するなど、パチンコホールにとっては、業績悪化への懸念のほか、機種の入れ替えのタイミングなど難しい判断が必要とされ、それが投資意欲の冷え込み(慎重な姿勢)につながっていると言える。
警察庁によれば、パチンコ店舗数は年々減少傾向にあり、2011年から2017年の間で年平均2.4%減となっている。2017年のパチンコ店舗数は10,596店舗(前年比390店舗減)であるが、同社のホールコンピュータ顧客数は約3,700店舗(シェア約35%)に上る。同社の顧客層は地域1 番の優良店が多く、店舗規模も市場平均よりも大きいところに特徴※があり、1店舗当たりの平均遊技台数は512台と他社平均(369台)の約4割増しとなっている。したがって、比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れている顧客基盤と言え、今後、大型店舗を中心に投資意欲が戻ってくれば(不透明感が払拭され、市場が動き出してくれば)、同社にとっては事業拡大の好機になる可能性が高い。
※中大型店舗(501台〜1,000台)におけるシェアは約53%、大型店舗(1,001台以上)のシェアは約70%と大型店舗ほど高いシェアとなっている。
一方、遊技台数については、パチスロ遊技機が増加しているものの、パチンコ遊技機が減少していることから全体ではほぼ横ばいで推移しており、店舗数の減少と合わせると、店舗の大型化が示されている。前述のとおり、スケールメリットが生かせる大型店舗は同社の得意とするところであり、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。
ただ、同社推計による市場規模(総粗利ベース)で見ると、店舗数と同様、年々縮小傾向にあることから、パチンコ・パチスロ1台当たりの粗利は減少しており、店舗の大型化が進むなかでも、ホール経営は厳しい局面を迎えている。また、2016年12月15日にはIR推進法※が成立。それを契機に、ギャンブル等依存症(のめり込み)への対策が推進されており、業界にとっては新たな課題となっている。過去においても、射幸性の高い機種の制限が一時的な客離れを引き起こし、約1 年間は厳しい市場環境が続いた。今回の一連の動きについても業界に大きな影響を及ぼしているが、別の見方をすれば、業界淘汰を含め、射幸性に頼らないホール経営に転換が進むものと考えられる。もっとも、過去の業績低迷期については2〜3年後には底打ち、回復へ向かっていることから、同社では東京オリンピックの開催に向けてデフレ経済が解消されてくれば、中長期的には市場規模4兆円に向かって回復していくものと予想している。
※正式名称は、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律。同法は、許可を受けた民間事業者が、カジノ、会議場、ホテルなどが一体となった施設を国が認定した「特定複合観光施設区域」に限って設置できるよう、政府が法律の施行後1年以内をめどに必要な法制上の措置を講じなければならないと規定している。この成立を契機に、幅広く、公営競技やパチンコについて、キャンブル等依存症への対策が推進されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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