ALBERT Research Memo(2):ビッグデータアナリティクス領域におけるソリューション事業を展開
[18/08/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 会社沿革
ALBERT<3906>は2005年の設立で、家電商品選択支援サイト「教えて!家電」の開発・運営からスタートした。2007年にはインターネット上のユーザーの行動履歴を分析し、パーソナライズした情報を表示するレコメンドサービス「おまかせ!ログレコメンダー(現、Logreco)」を開始し、売上を伸ばしていく。このため、設立当初はEC企業や小売、旅行、不動産関連の企業が主な顧客ターゲットとなっていた。2011年以降はユーザーの行動履歴だけでなく、属性やその他の周辺データも収集・分析してマーケティング施策に生かすプライベートDMP※「smarticA!DMP」のサービスを開始し、対象領域をマーケティング領域全般に広げたほか、各種分析サービス等にも注力し業績を拡大、2015年2月には東京証券取引所マザーズ市場に上場を果している。
※顧客の属性や行動履歴等多様かつ大量のデータを統合管理・分析し、マーケティング施策に活用するためのプラットフォーム。
その後、国内市場では、テクノロジーの進化とともに経営全般にAI技術を活用する動きが活発化しており、データサイエンティストの不足感が高まるなかで、同社はベンチャーとしては圧倒的な質と量を誇るデータサイエンティスト(2018年6月末時点で派遣・契約社員を含めて107人)の蓄積されたナレッジを武器に、マーケティング中心の事業軸からIoT、自動運転技術領域をはじめとする先進的な分野に事業軸をシフトしている。
なお、同社はここ数年で積極的に人材投資を進める一方で、プロダクトの開発に注力してきたが、売上が想定よりも伸びず、結果的に2015年12月期以降、3期連続で営業損失を計上する状況となっていた。そのような中、2016年12月に(株)ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・アジア・エボリューション・ファンド投資事業有限責任組合を割当先とする転換社債型新株予約権付社債2,409百万円を発行している。
その後、経営改革を推進するため、2018年3月に代表取締役社長として松本壮志(まつもとたけし)氏が新たに就任。松本氏は2017年8月に代表執行役員として同社に入社、以前は(株)ハーツユナイテッドグループの取締役COOとして経営戦略を指揮してきた人物だ。経営のプロとして経営及び事業戦略の立案や実行力に長けており、経営再建の指揮を執ることとなった。同社は、データ分析サービス等の質に関して顧客から高い評価を受けていたものの、そうしたサービスをいかに効果的にマネタイズしていくかという経営戦略が脆弱であったことが業績低迷の主因であったが、松本氏の強いリーダーシップのもと、基本戦略(体制の改編、ケーパビリティの確保、重点産業・顧客のスコープ)が実行された結果、2018年12月期第1四半期から営業利益ベースでの黒字化が実現し、再建フェーズを終え、今後の成長を目指していくうえでの経営基盤が整ったと言える。
なお、主要株主についても2016年末以降で大きく異動している。2016年12月期末時点で筆頭株主であった創業者の1人である山川義介(やまかわよしすけ)氏が大半の株式をA&T投資事業有限責任組合に譲渡し、また、第2位株主であったデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(株)の保有比率も12.1%から直近の2018年6月末時点では3.9%まで低下した。代わって、ウィズ・アジア・エボリューションファンド投資事業有限責任組合が12.4%の筆頭株主になっている。同ファンドでは転換社債型新株予約権付社債のうち17.5%を転換しており(潜在株数199万株のうち34万8,250株を転換、転換価額は1,211円)、残りすべてが転換されたとすれば保有比率は44.7%となる。同ファンドの保有方針としては、中長期的に保有し、ウィズ・パートナーズを通じて、独立企業としての同社の企業価値向上に資する施策を支援していく方針であり、短期的な売り圧力にはならないと弊社では見ている。また、保有比率9.4%で第2位株主のA&T投資事業有限責任組合は、社長の松本氏が無限責任組合員を務めており、第3位株主の上村崇(うえむらたかし)氏は創業社長で現取締役となる。なお、2018年5月にトヨタ自動車と自動運転技術に関わるビッグデータ分析業務を目的に業務資本提携を締結しており、トヨタ自動車は第三者割当増資によって保有比率5.9%の第4位株主となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 会社沿革
ALBERT<3906>は2005年の設立で、家電商品選択支援サイト「教えて!家電」の開発・運営からスタートした。2007年にはインターネット上のユーザーの行動履歴を分析し、パーソナライズした情報を表示するレコメンドサービス「おまかせ!ログレコメンダー(現、Logreco)」を開始し、売上を伸ばしていく。このため、設立当初はEC企業や小売、旅行、不動産関連の企業が主な顧客ターゲットとなっていた。2011年以降はユーザーの行動履歴だけでなく、属性やその他の周辺データも収集・分析してマーケティング施策に生かすプライベートDMP※「smarticA!DMP」のサービスを開始し、対象領域をマーケティング領域全般に広げたほか、各種分析サービス等にも注力し業績を拡大、2015年2月には東京証券取引所マザーズ市場に上場を果している。
※顧客の属性や行動履歴等多様かつ大量のデータを統合管理・分析し、マーケティング施策に活用するためのプラットフォーム。
その後、国内市場では、テクノロジーの進化とともに経営全般にAI技術を活用する動きが活発化しており、データサイエンティストの不足感が高まるなかで、同社はベンチャーとしては圧倒的な質と量を誇るデータサイエンティスト(2018年6月末時点で派遣・契約社員を含めて107人)の蓄積されたナレッジを武器に、マーケティング中心の事業軸からIoT、自動運転技術領域をはじめとする先進的な分野に事業軸をシフトしている。
なお、同社はここ数年で積極的に人材投資を進める一方で、プロダクトの開発に注力してきたが、売上が想定よりも伸びず、結果的に2015年12月期以降、3期連続で営業損失を計上する状況となっていた。そのような中、2016年12月に(株)ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・アジア・エボリューション・ファンド投資事業有限責任組合を割当先とする転換社債型新株予約権付社債2,409百万円を発行している。
その後、経営改革を推進するため、2018年3月に代表取締役社長として松本壮志(まつもとたけし)氏が新たに就任。松本氏は2017年8月に代表執行役員として同社に入社、以前は(株)ハーツユナイテッドグループの取締役COOとして経営戦略を指揮してきた人物だ。経営のプロとして経営及び事業戦略の立案や実行力に長けており、経営再建の指揮を執ることとなった。同社は、データ分析サービス等の質に関して顧客から高い評価を受けていたものの、そうしたサービスをいかに効果的にマネタイズしていくかという経営戦略が脆弱であったことが業績低迷の主因であったが、松本氏の強いリーダーシップのもと、基本戦略(体制の改編、ケーパビリティの確保、重点産業・顧客のスコープ)が実行された結果、2018年12月期第1四半期から営業利益ベースでの黒字化が実現し、再建フェーズを終え、今後の成長を目指していくうえでの経営基盤が整ったと言える。
なお、主要株主についても2016年末以降で大きく異動している。2016年12月期末時点で筆頭株主であった創業者の1人である山川義介(やまかわよしすけ)氏が大半の株式をA&T投資事業有限責任組合に譲渡し、また、第2位株主であったデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(株)の保有比率も12.1%から直近の2018年6月末時点では3.9%まで低下した。代わって、ウィズ・アジア・エボリューションファンド投資事業有限責任組合が12.4%の筆頭株主になっている。同ファンドでは転換社債型新株予約権付社債のうち17.5%を転換しており(潜在株数199万株のうち34万8,250株を転換、転換価額は1,211円)、残りすべてが転換されたとすれば保有比率は44.7%となる。同ファンドの保有方針としては、中長期的に保有し、ウィズ・パートナーズを通じて、独立企業としての同社の企業価値向上に資する施策を支援していく方針であり、短期的な売り圧力にはならないと弊社では見ている。また、保有比率9.4%で第2位株主のA&T投資事業有限責任組合は、社長の松本氏が無限責任組合員を務めており、第3位株主の上村崇(うえむらたかし)氏は創業社長で現取締役となる。なお、2018年5月にトヨタ自動車と自動運転技術に関わるビッグデータ分析業務を目的に業務資本提携を締結しており、トヨタ自動車は第三者割当増資によって保有比率5.9%の第4位株主となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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