ALBERT Research Memo(3):「ビッグデータ分析」等のデータソリューション事業を展開
[18/08/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
2. 事業概要
ALBERT<3906>は高度な「分析力」をコアとするデータサイエンティスト集団として、ビッグデータ分析及び分析コンサルティング、AIアルゴリズム開発とシステム導入、AIを用いた独自開発プロダクトの提供等のデータソリューション事業を展開している。従前は、アドテクノロジーやCRM領域におけるビッグデータ分析が中心であったが、近年は自動運転技術開発やIoTを活用した工場のスマートファクトリー化等の領域においても高度なビッグデータ分析力が求められるようになり、こうした領域への展開を積極的に進めている。
産業別売上構成比で見ると、2018年12月期第2四半期累計期間では、通信業向けが40.2%と最も高く、次いで流通業が12.9%、製造業が10.8%、自動車が4.1%となっている。まだ、売上規模が小さいため個別プロジェクト案件の状況によって、産業別売上構成比の変動幅も大きくなる傾向にあるが、自動車、製造(自動車除く)、通信・流通、金融を重点産業と位置付けており、将来的にはこれらを中心にバランスの取れた構成比にしていくことを目指している。
なお、データサイエンティストとは、データサイエンス力及びデータエンジニアリング力をベースに、データから価値を創出し、ビジネス課題に対する答えを導き出すプロフェショナル人材のことを同社では指している。各業界においてデータサイエンティストが不足するなか、同社では積極的な採用活動を実施しており、2018年6月末時点で107名が在籍(派遣・契約社員含む)、質・量ともに国内トップクラスの陣容となっている。なお、正社員のうち博士号取得者の比率は10%、修士号取得者は48%を占めている。
同社のビジネスモデルは、分析サービス等のプロジェクト型と自社製品開発・導入のプロダクト型に分けられる。プロジェクト型では顧客ごとの課題に合わせたビッグデータ分析サービスやコンサルティング、分析モデルのアルゴリズム開発及び顧客企業のシステムへの実装を主に展開している。具体例としては、「自動運転技術における物体認識精度の向上」という顧客課題を解決するために、ディープラーニング技術を応用した物体検知モデル(アルゴリズム)の開発・提供を行うなどしている。このため、顧客も大手企業が中心で、近年は自動車メーカーや大手通信キャリアからの引き合いが増加傾向にある。特に、同社の強みは開発したアルゴリズムをスクリプト化して顧客企業のシステムに導入、その後、精度向上のためのアルゴリズムのチューニングアップ等の保守・運用サポートまで提供していることにある。
一方、プロダクト型は同社が幅広い顧客に販売するために製品化したサービスで、売上としては初期導入費用にライセンス数に応じたサービス利用料を月額で徴収するサブスクリプション型の収益モデルとなる。具体的な製品としては、ECサイト上等でユーザーごとにパーソナライズされた「おすすめ」を表示するレコメンドサービス「Logreco」(累計340サイト超の導入実績)のほか、プライベートDMP「smarticA!DMP」、ディープラーニング技術を活用した類似図形商標検索システム「Deepsearch Logo」、AI・高性能チャットボット「Proactive AI」等がある。
現在はプロダクト型の売上の大半を「Logreco」と「smarticA!DMP」で占められるが、2017年4月に正式リリースした「Proactive AI」が今後の成長製品として期待されている。「Proactive AI」の特徴は、独自の自然言語処理技術と自動学習機能、導入・運用の簡便さ、LINEや有人チャットとの連携機能など各種機能が充実していることが挙げられる。導入・運用の簡便さでは、Excelベースで作成したFAQリストをそのまま導入・運用できることが高い評価につながっていると見られる。「Proactive AI」の初期導入費用は標準機能にオプション機能を付けて約100万円、月額利用料はチャットボットの表示回数によるものの、約10〜50万円程度となっている。
プロジェクト型とプロダクト型の売上構成比は2017年12月期までほぼ同水準であったが、2018年12月期よりプロダクトのうち、「Proactive AI」「Deepsearch Logo」を除く6つの製品はプロジェクト部門に統合したため、同様の区分けでの売上構成比は非開示となった。また、「Proactive AI」「Deepsearch Logo」について機能拡充のための開発を今後も継続していくが、その他6つの製品ついては既存顧客の要望に合わせて個別対応していく方針となっている。
なお、同社では自社で培ったノウハウを元にデータサイエンティストの育成支援サービスも提供している。2018年8月には同社が運営する「データサイエンティスト養成講座」が、経済産業省による「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」に認定されたことを発表※している。業績面での直接的な影響は軽微だが、現在、協業先のテクノプロ向けに実施している研修プログラムでも利用しており、データサイエンティストの育成面でも業界トップクラスのノウハウを持つ企業として注目される。データサイエンティストに関しては2020年に4.8万人の人材が不足するとも言われており、AI関連企業にとっては人材の育成・確保が重要な経営課題となり、その育成ノウハウを持つ同社にとっては強みになると考えられる。
※「データサイエンティスト養成講座(R言語 上級編)」「データサイエンティスト養成講座(Python上級編)」の2講座が認定された。認定を受けたのは15事業者21講座となる。認定期間は2018年10月より3年間。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業概要
ALBERT<3906>は高度な「分析力」をコアとするデータサイエンティスト集団として、ビッグデータ分析及び分析コンサルティング、AIアルゴリズム開発とシステム導入、AIを用いた独自開発プロダクトの提供等のデータソリューション事業を展開している。従前は、アドテクノロジーやCRM領域におけるビッグデータ分析が中心であったが、近年は自動運転技術開発やIoTを活用した工場のスマートファクトリー化等の領域においても高度なビッグデータ分析力が求められるようになり、こうした領域への展開を積極的に進めている。
産業別売上構成比で見ると、2018年12月期第2四半期累計期間では、通信業向けが40.2%と最も高く、次いで流通業が12.9%、製造業が10.8%、自動車が4.1%となっている。まだ、売上規模が小さいため個別プロジェクト案件の状況によって、産業別売上構成比の変動幅も大きくなる傾向にあるが、自動車、製造(自動車除く)、通信・流通、金融を重点産業と位置付けており、将来的にはこれらを中心にバランスの取れた構成比にしていくことを目指している。
なお、データサイエンティストとは、データサイエンス力及びデータエンジニアリング力をベースに、データから価値を創出し、ビジネス課題に対する答えを導き出すプロフェショナル人材のことを同社では指している。各業界においてデータサイエンティストが不足するなか、同社では積極的な採用活動を実施しており、2018年6月末時点で107名が在籍(派遣・契約社員含む)、質・量ともに国内トップクラスの陣容となっている。なお、正社員のうち博士号取得者の比率は10%、修士号取得者は48%を占めている。
同社のビジネスモデルは、分析サービス等のプロジェクト型と自社製品開発・導入のプロダクト型に分けられる。プロジェクト型では顧客ごとの課題に合わせたビッグデータ分析サービスやコンサルティング、分析モデルのアルゴリズム開発及び顧客企業のシステムへの実装を主に展開している。具体例としては、「自動運転技術における物体認識精度の向上」という顧客課題を解決するために、ディープラーニング技術を応用した物体検知モデル(アルゴリズム)の開発・提供を行うなどしている。このため、顧客も大手企業が中心で、近年は自動車メーカーや大手通信キャリアからの引き合いが増加傾向にある。特に、同社の強みは開発したアルゴリズムをスクリプト化して顧客企業のシステムに導入、その後、精度向上のためのアルゴリズムのチューニングアップ等の保守・運用サポートまで提供していることにある。
一方、プロダクト型は同社が幅広い顧客に販売するために製品化したサービスで、売上としては初期導入費用にライセンス数に応じたサービス利用料を月額で徴収するサブスクリプション型の収益モデルとなる。具体的な製品としては、ECサイト上等でユーザーごとにパーソナライズされた「おすすめ」を表示するレコメンドサービス「Logreco」(累計340サイト超の導入実績)のほか、プライベートDMP「smarticA!DMP」、ディープラーニング技術を活用した類似図形商標検索システム「Deepsearch Logo」、AI・高性能チャットボット「Proactive AI」等がある。
現在はプロダクト型の売上の大半を「Logreco」と「smarticA!DMP」で占められるが、2017年4月に正式リリースした「Proactive AI」が今後の成長製品として期待されている。「Proactive AI」の特徴は、独自の自然言語処理技術と自動学習機能、導入・運用の簡便さ、LINEや有人チャットとの連携機能など各種機能が充実していることが挙げられる。導入・運用の簡便さでは、Excelベースで作成したFAQリストをそのまま導入・運用できることが高い評価につながっていると見られる。「Proactive AI」の初期導入費用は標準機能にオプション機能を付けて約100万円、月額利用料はチャットボットの表示回数によるものの、約10〜50万円程度となっている。
プロジェクト型とプロダクト型の売上構成比は2017年12月期までほぼ同水準であったが、2018年12月期よりプロダクトのうち、「Proactive AI」「Deepsearch Logo」を除く6つの製品はプロジェクト部門に統合したため、同様の区分けでの売上構成比は非開示となった。また、「Proactive AI」「Deepsearch Logo」について機能拡充のための開発を今後も継続していくが、その他6つの製品ついては既存顧客の要望に合わせて個別対応していく方針となっている。
なお、同社では自社で培ったノウハウを元にデータサイエンティストの育成支援サービスも提供している。2018年8月には同社が運営する「データサイエンティスト養成講座」が、経済産業省による「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」に認定されたことを発表※している。業績面での直接的な影響は軽微だが、現在、協業先のテクノプロ向けに実施している研修プログラムでも利用しており、データサイエンティストの育成面でも業界トップクラスのノウハウを持つ企業として注目される。データサイエンティストに関しては2020年に4.8万人の人材が不足するとも言われており、AI関連企業にとっては人材の育成・確保が重要な経営課題となり、その育成ノウハウを持つ同社にとっては強みになると考えられる。
※「データサイエンティスト養成講座(R言語 上級編)」「データサイエンティスト養成講座(Python上級編)」の2講座が認定された。認定を受けたのは15事業者21講座となる。認定期間は2018年10月より3年間。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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