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ALBERT Research Memo(5):ビジネス・アナリティクス市場は年率2ケタ成長が続く高成長分野

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. ビジネス・アナリティクス市場の見通し
ALBERT<3906>が属する国内のビジネス・アナリティクスの市場規模は2016年の2,340億円から2020年には3,691億円と約1.6倍に拡大、年平均成長率では約12%増と2ケタ成長で伸びていくと予測されている。AIやIoTを活用したサービスがBtoCやBtoB、BtoE等様々な分野で今後も広がっていくと見られるためだ。企業にとっては新規ビジネスの創出、あるいは社内の生産性向上ツールとしてAI技術を使った製品・サービスの利活用が広がっていくもの予想される。一方で、こうしたサービスを提供、あるいは開発するためのデータサイエンティストが圧倒的に不足しているという課題がある。前述したとおり2020年には4.8万人のデータサイエンティストの人材が不足するとも言われている。このため、今後はビッグデータの分析力やアルゴリズムの開発力だけでなく、データサイエンティストというリソースをいかに拡充していくことができるかが、AI関連サービスを提供する企業の成長のカギを握っていると言える。


上方修正された2018年12月期業績計画は必達目標で、更なる上積みを目指す印象
2. 2018年12月期の業績見通し
同社は第2四半期累計業績が期初計画を上回ったことを受け、通期業績についても上方修正を発表している。売上高は期初計画比150百万円増の1,350百万円、営業利益は同60百万円増の80百万円、経常利益は同60百万円増の78百万円、当期純利益は同59百万円増の67百万円を見込む。売上高は前期比54.8%増となり、市場成長率の12.7%増を大きく上回る見通しだ。

足元の状況も、自動車や通信業界等の重点産業・顧客からの大規模プロジェクト案件の引き合いが旺盛で下期も高水準の売上が続く見通し。特に、自動車業界ではトヨタ自動車の自動運転技術に関する開発案件が多く、今後の売上拡大が見込まれている。また、利益面でも新卒社員の戦力化等による収益貢献により下期は更なる利益の増加が見込まれる。同社によると、通期計画については必達目標であるとしており、市場環境に変化がなければ会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。

2019年12月期については自動運転やスマートファクトリーに関連したプロジェクト案件の増加が見込まれるほか、金融業界向けでは与信管理やリスクケアマネジメント、流通業界向けでは商品の需要予測や在庫管理などでAI・ビッグデータを活用したプロジェクト案件の増加が見込まれ、売上高は2ケタ成長が続く見通し。営業利益率に関しては、内部稼働率が75%の水準で推移すれば増収効果によって10%以上に上昇することが可能と弊社では見ている。

(1) ケーパビリティの確保に向けた取り組み
大規模プロジェクトの受注を拡大していくためには、「ケーパビリティの確保」が重要となる。データサイエンティストの量的確保だけでなく、質の高い育成カリキュラムや個々のデータサイエンティストのスキル平準化のための分析ツールを導入することで、顧客ニーズに応じた最適なプロジェクトチームを編成し、プロジェクトの生産性向上につなげていく戦略となっている。特に、データサイエンティストの個々のスキルを正確に把握することでプロジェクトの品質を担保する役割も果たす。

データサイエンティストの量的確保では、2017年8月に技術系人材派遣の大手であるテクノプロと協業してデータサイエンティストを育成していくことを発表している。同社が行うデータサイエンティスト育成カリキュラム(6ヶ月間)をテクノプロのエンジニア等に受講してもらい、その中から優秀な人材を選抜して、同社のプロジェクトチームに組み込んでいく。現在、3期目の研修が行われているが受講者数実績は140名(テクノプロ以外の企業も含む)となっており、2018年末までに200名を超える受講者数が見込まれている。

テクノプロとの協業においては、受講者数のうち4〜5割程度の人材が同社プロジェクトの派遣対象となるようで、今後大規模案件を多く受注した場合でも、これら育成したデータサイエンティストを派遣人員として活用することで対処できることになる。なお、研修にかかる費用については参加企業から徴収するため、同社の費用負担にはならない。また、選抜した人材を同社のプロジェクトに組み込む場合には派遣社員扱いとなる。同社では派遣社員も含めたデータサイエンティストの人員について、2017年末の75名から年間30〜40名ペースで増員していくこととしている。

(2) AI・高性能チャットボット「Proactive AI」
プロダクト部門では「Proactive AI」の成長が期待される。機械学習や自然言語処理技術を活用した高性能チャットボットで、2017年4月より正式版の提供を開始、既にメルシャン(株)が運営するBtoCサイト「ワインすき!」や渋谷区が区民に対して提供するLINE公式アカウントOne to Oneの子育て支援サービスに導入されたほか、2018年4月には、KDDIまとめてオフィスに正式導入が決まるなどBtoCやGtoC、BtoEなどの領域で着実に導入が増えてきている。KDDIまとめてオフィスでは、BtoE(社内従業員向け)利用で「Proactive AI」を導入し、ワークスモバイルジャパン(株)が提供するビジネスコミュニケーションツール「LINE WORKS」と「Proactive AI」を連携させることで、営業サポートと営業担当者との業務連絡などの負担を軽減するなど社内の業務効率に寄与している。

また、KDDIまとめてオフィスでの高い評価を受け、2018年8月からはKDDIでも法人向けソリューションサービスの1つとして「Proactive AI with KDDI」として販売を開始している。KDDIでは複数のチャットボットシステムの中から同社製品を選定している。自動学習による回答精度の高さだけでなく、導入・運用の簡便さ、既にサービス提供している「LINE WORKS with KDDI」とも連携可能なことが選定の決め手になったと見られる。同社にとってはOEM供給となるが、KDDIは大手企業を多く顧客に持っていることから今後の収益増に貢献するものと期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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