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テクマト Research Memo(1):ネットワークセキュリティの投資拡大を追い風に、業績は過去最高を更新する見通し

注目トピックス 日本株
■要約

テクマトリックス<3762>は、情報基盤事業とアプリケーション・サービス事業を展開する。情報基盤事業では、独自の“目利き力”により、北米を中心に高い技術力、競争力、成長力を持つネットワーク及びセキュリティ関連の製品を見出し、単なる製品販売にとどまらずシステム構築、保守、運用・監視サービスまで含めたワンストップ・ソリューションサービスを提供しているのが強み。また、アプリケーション・サービス事業では医療やCRM、インターネットサービス、ソフトウェア品質保証などのソリューションサービスを展開している。特に、クラウド型PACS※(医用画像管理システム)では業界最大手となっている。

※PACS:画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication Systems) の略称で、MRIやCT、超音波診断装置、内視鏡やPET等の医療検査機器で撮影された画像データを受信、データベースへ保存し、端末に表示するシステム。


1. 2019年3月期第2四半期累計業績
2019年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比9.9%増の12,117百万円、営業利益で同69.7%増の944百万円といずれも過去最高を更新、期初会社計画(売上高11,500百万円、営業利益860百万円)も上回る順調な決算となった。巧妙化するサイバー攻撃への防御対策として次世代ファイアウォール製品※を中心に情報セキュリティ関連の需要が拡大し、主力の情報基盤事業の売上高が前年同期比13.5%増、営業利益が同49.6%増と会社計画を上回って好調に推移したことが主因だ。また、アプリケーション・サービス事業についても、売上高こそ前年同期比2.7%増と微増にとどまったものの、前年同期に足を引っ張った受託開発の不採算案件がなくなり、営業利益は同351.5%増とほぼ会社計画どおりの増益となった。

※次世代ファイアウォール製品:従来のファイアウォール製品では防ぐことができないセキュリティ脅威に対応した製品で、米Palo Alto Networksの製品を取り扱っている。


2. 2019年3月期業績見通し
2019年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.2%増の24,500百万円、営業利益で同15.6%増の2,200百万円と期初計画を据え置いている。ただ、第2四半期まで計画を上回る進捗となっており、第3四半期の受注状況も堅調に推移していることから、通期業績も会社計画をやや上回る可能性が高いと弊社では見ている。情報基盤事業では下期も引き続き次世代ファイアウォール製品が進捗する見通しであるほか、AI技術を活用した次世代アンチウイルス製品やEDR製品※など新たなセキュリティ関連製品も試験導入期から本格導入期に移行し、売上貢献する見込みとなっている。また、アプリケーション・サービス事業ではソフトウェア品質保証分野の好調が続く見通しであるほか、CRM分野も次世代製品の投入や大型受注の獲得等により増収増益が見込まれる。医療分野については患者向けやAIを活用した新サービスの前倒しのシステム開発により費用が増加するものの、主力の「NOBORI」については導入施設数の着実な増加及び契約の更新需要により増収が続く見通しだ。

※EDR(Endpoint Detection and Response)製品:業務パソコンやサーバ等のネットワーク端末(エンドポイント)がサイバー攻撃を受けた際に、その状況把握、及び攻撃を受けた端末の特定・隔離等の対策を迅速に行うことができる製品。米Taniumの製品を取り扱っている。


3. 中期経営計画について
2021年3月期を最終年度とする中期経営計画「GO BEYOND 3.0」では、経営数値目標として2021年3月期に売上高で280億円(2018年3月期比19.1%増)、営業利益で27億円(同42.0%増)を掲げている。事業戦略としては「クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進」と「セキュリティ&セイフティ(安心と安全)」という前中期経営計画「TMX 3.0」の戦略を堅持しつつ、成長スピードを加速化していくため、事業運営体制の多様化(資本提携、業務提携、大学・研究機関との連携、オープンイノベーション等)も推進していく方針だ。医療分野では既に具体的な取り組みも始まっている。2018年4月、医療情報クラウドサービス「NOBORI」を提供する医療システム事業部を(株)NOBORIに分社化し、新サービスの開発を進めているほか、同年10月にはAIを活用した医療画像診断支援技術を提供する大学発ベンチャーのエルピクセル(株)に同社が出資している。今後も自社サービスの成長やシェア拡大につながる提携やM&Aに関しては積極的に進めていく方針で、そのための資金として自己株式を使った資金調達も進めている。なお、株主還元については配当性向20%を基本方針とし、資金需要も勘案しながら収益成長が続けば増配を検討していく意向だ。

■Key Points
・ネットワーク&セキュリティシステムの構築・保守と、医療、CRM分野等の業務特化型ソリューションサービスに強みを持つIT企業
・旺盛なネットワークセキュリティ関連需要を背景に、2019年3月期は会社計画を上回る可能性が高い
・既存事業ベースで着実な成長を目指し、M&Aや資本業務提携によって成長を加速化していく戦略

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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