リネットジャパン Research Memo(4):2018年9月期業績は増収及び経常増益を実現。「カンボジア事業」拡大
[19/01/28]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■決算動向
2. 2018年9月期決算の概要
2018年9月期の業績は、売上高が前期比22.3%増の4,535百万円、営業利益が同83.6%減の8百万円、経常利益が同3.5%増の48百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同62.1%減の23百万円と増収及び経常増益となった。ただ、期初予想に対しては売上高、利益ともに下回る着地となっている。なお、「カンボジア事業」については、決算未了※1による実績値の連結取り込み処理の期ずれ(2018年7月から9月までの3ヶ月分)が発生しており、その分を加味すれば、業績の伸びはさらに上乗せされている※2。
※1 RENET JAPAN(CAMBODIA)CO.,LTD. 及びMETREY HR Co.,Ltdの2社が設立から稼働に必要なカンボジア国内の登記承認等の許可が遅れたことにより、その結果、決算作業を慎重に進めたことが理由である。
※2 監査前の数値(3ヶ月分の期ずれ値)は、売上高418百万円、営業利益57百万円、経常利益56百万円、当期純利益41百万円となっている。なお、決算未了分については、2019年9月期決算にスライドされる予定である。
売上高は、「ネットリユース事業」が堅調に推移した一方、2018年9月期より本格的に立ち上がってきた「カンボジア事業」における車両販売が大きく拡大した。また、「ネットリサイクル事業」についても、意欲的な期初計画には届かなかったものの前期比2.5倍のペースで伸びている。
利益面では、増収により売上総利益が増加した一方、「ネットリサイクル事業」における一時的なブランディング費用や本社移転費用等により経常利益は若干の増益にとどまった。なお、利益面で期初予想を大きく下振れたのは、前述のとおり、一時的なブランディング費用の増加や「カンボジア事業」における会計処理の期ずれによる影響のほか、限界利益率※の高い「ネットリサイクル事業」の売上高が未達となったことも響いた。
※ 売上高が伸びるにつれ、利益率も上昇する収益構造(変動費率が低い)。
財務面では、内部留保の積み増しにより、自己資本が前期末比7.5%増の923百万円に増加した。一方、「カンボジア事業」における車両販売の伸びによる「売掛金」の増加や、チャムロンの連結化(バランスシートのみ連結)に伴う「営業貸付金」及び「のれん」の計上により、総資産が同92.4%増の4,663百万円と大きく拡大したことから、自己資本比率は19.8%(前期末は35.4%)に大きく低下した。
事業別の決算概要は以下のとおりである。
(1) ネットリユース事業
売上高は前期比1.2%増の3,475百万円、セグメント経常利益は同13.0%増の292百万円と堅調に推移し、セグメント経常利益率も8.4%(前期は7.5%)に改善した。リユース市場(特に、ネット経由)が順調に成長基調にあるなかで、インセンティブの強化やサービスサイトの改善によるリピート率の向上、販売チャネルの拡大等が奏功するとともに、広告宣伝費を中心とした商材獲得コストの適正投入、粗利益率等価格管理面の安定維持、セット商品やホビー品等の高収益商材の取扱強化等の施策を通じて着実な成長を実現することができた。
(2) ネットリサイクル事業
売上高は前期比152.4%増の342百万円、セグメント経常損失は5百万円(前期は12百万円の利益)と大幅な増収ながら、セグメント経常損失を計上した。「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」※1が正式に始動し、国民への制度の周知が進む新しいフェーズに入るなかで、提携自治体の拡大※2や家電量販店との提携※3などが増収に寄与した。一方、利益面では、ブランディング費用等の一時コスト(約70百万円)が利益を圧迫したが、その分を除けば大幅な増益(前期比441.7%増)となっている。
※1 2020年東京オリンピック・パラリンピックにおける入賞メダルを小型家電リサイクル由来の金・銀・銅で製作するプロジェクトのこと。リネットジャパングループ<3556>は環境省より公表された主要協力会社(3社)の1社となっている。
※2 2018年11月1日の提携自治体は175(うち政令市14)、カバー人口3,933万人(カバー率31%)。
※3 家電量販店(ビックカメラ<3048>、コジマ<7513>、(株)ヨドバシカメラ)との提携など。まずは、ECサイトから提携(同社サービスの利用券を販売)したが、「購入時に旧製品を処分したい」という顕在ニーズを捉えたことで受注が好調のため、店舗へと拡大している。
(3) カンボジア事業
売上高は前期比414.1%増の718百万円、セグメント経常利益は同263.3%増の77百万円と大きく拡大した。前述した3ヶ月の期ずれ分を含むと、売上高は前期比741.7%増の1,136百万円、セグメント経常利益は同526.8%増の133百万円となっており、業績の伸びがさらに顕著である。カンボジアでの中古の車両、農機具に対する旺盛な需要が続くなか、2017年11月に設立したRENET JAPAN(CAMBODIA)CO.,LTD(100%現地子会社)による車両販売が大きく拡大し、累計販売台数が451台(前期は71台)と大幅に増加した。2018年4月に設立したMETREY HR Co.,Ltd(同社持分36.5%)による人材送出し事業についても13名の実習生を日本の製造工場に送り出すことが内定するなど順調に立ち上がっているが、まだ本格的な業績寄与の段階ではない。一方、マイクロファイナンス事業※1については、2018年10月1日からの連結化(ただし、バランスシートの連結は2018年9月末より)が決定。また、SBIホールディングスとの合同により参入したリース事業※2については、カンボジア中央銀行へ申請手続き中であり、2019年春頃の事業開始(連結化)を予定している。
※1 2018年2月13日付でチャムロンの株式を100%取得(2018年6月13日にカンボジア中央銀行から承認済)。
※2 2018年8月14日付でSBIホールディングスとの共同によるエリンの買収に合意(同社51%:SBIホールディングス49%)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<SF>
2. 2018年9月期決算の概要
2018年9月期の業績は、売上高が前期比22.3%増の4,535百万円、営業利益が同83.6%減の8百万円、経常利益が同3.5%増の48百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同62.1%減の23百万円と増収及び経常増益となった。ただ、期初予想に対しては売上高、利益ともに下回る着地となっている。なお、「カンボジア事業」については、決算未了※1による実績値の連結取り込み処理の期ずれ(2018年7月から9月までの3ヶ月分)が発生しており、その分を加味すれば、業績の伸びはさらに上乗せされている※2。
※1 RENET JAPAN(CAMBODIA)CO.,LTD. 及びMETREY HR Co.,Ltdの2社が設立から稼働に必要なカンボジア国内の登記承認等の許可が遅れたことにより、その結果、決算作業を慎重に進めたことが理由である。
※2 監査前の数値(3ヶ月分の期ずれ値)は、売上高418百万円、営業利益57百万円、経常利益56百万円、当期純利益41百万円となっている。なお、決算未了分については、2019年9月期決算にスライドされる予定である。
売上高は、「ネットリユース事業」が堅調に推移した一方、2018年9月期より本格的に立ち上がってきた「カンボジア事業」における車両販売が大きく拡大した。また、「ネットリサイクル事業」についても、意欲的な期初計画には届かなかったものの前期比2.5倍のペースで伸びている。
利益面では、増収により売上総利益が増加した一方、「ネットリサイクル事業」における一時的なブランディング費用や本社移転費用等により経常利益は若干の増益にとどまった。なお、利益面で期初予想を大きく下振れたのは、前述のとおり、一時的なブランディング費用の増加や「カンボジア事業」における会計処理の期ずれによる影響のほか、限界利益率※の高い「ネットリサイクル事業」の売上高が未達となったことも響いた。
※ 売上高が伸びるにつれ、利益率も上昇する収益構造(変動費率が低い)。
財務面では、内部留保の積み増しにより、自己資本が前期末比7.5%増の923百万円に増加した。一方、「カンボジア事業」における車両販売の伸びによる「売掛金」の増加や、チャムロンの連結化(バランスシートのみ連結)に伴う「営業貸付金」及び「のれん」の計上により、総資産が同92.4%増の4,663百万円と大きく拡大したことから、自己資本比率は19.8%(前期末は35.4%)に大きく低下した。
事業別の決算概要は以下のとおりである。
(1) ネットリユース事業
売上高は前期比1.2%増の3,475百万円、セグメント経常利益は同13.0%増の292百万円と堅調に推移し、セグメント経常利益率も8.4%(前期は7.5%)に改善した。リユース市場(特に、ネット経由)が順調に成長基調にあるなかで、インセンティブの強化やサービスサイトの改善によるリピート率の向上、販売チャネルの拡大等が奏功するとともに、広告宣伝費を中心とした商材獲得コストの適正投入、粗利益率等価格管理面の安定維持、セット商品やホビー品等の高収益商材の取扱強化等の施策を通じて着実な成長を実現することができた。
(2) ネットリサイクル事業
売上高は前期比152.4%増の342百万円、セグメント経常損失は5百万円(前期は12百万円の利益)と大幅な増収ながら、セグメント経常損失を計上した。「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」※1が正式に始動し、国民への制度の周知が進む新しいフェーズに入るなかで、提携自治体の拡大※2や家電量販店との提携※3などが増収に寄与した。一方、利益面では、ブランディング費用等の一時コスト(約70百万円)が利益を圧迫したが、その分を除けば大幅な増益(前期比441.7%増)となっている。
※1 2020年東京オリンピック・パラリンピックにおける入賞メダルを小型家電リサイクル由来の金・銀・銅で製作するプロジェクトのこと。リネットジャパングループ<3556>は環境省より公表された主要協力会社(3社)の1社となっている。
※2 2018年11月1日の提携自治体は175(うち政令市14)、カバー人口3,933万人(カバー率31%)。
※3 家電量販店(ビックカメラ<3048>、コジマ<7513>、(株)ヨドバシカメラ)との提携など。まずは、ECサイトから提携(同社サービスの利用券を販売)したが、「購入時に旧製品を処分したい」という顕在ニーズを捉えたことで受注が好調のため、店舗へと拡大している。
(3) カンボジア事業
売上高は前期比414.1%増の718百万円、セグメント経常利益は同263.3%増の77百万円と大きく拡大した。前述した3ヶ月の期ずれ分を含むと、売上高は前期比741.7%増の1,136百万円、セグメント経常利益は同526.8%増の133百万円となっており、業績の伸びがさらに顕著である。カンボジアでの中古の車両、農機具に対する旺盛な需要が続くなか、2017年11月に設立したRENET JAPAN(CAMBODIA)CO.,LTD(100%現地子会社)による車両販売が大きく拡大し、累計販売台数が451台(前期は71台)と大幅に増加した。2018年4月に設立したMETREY HR Co.,Ltd(同社持分36.5%)による人材送出し事業についても13名の実習生を日本の製造工場に送り出すことが内定するなど順調に立ち上がっているが、まだ本格的な業績寄与の段階ではない。一方、マイクロファイナンス事業※1については、2018年10月1日からの連結化(ただし、バランスシートの連結は2018年9月末より)が決定。また、SBIホールディングスとの合同により参入したリース事業※2については、カンボジア中央銀行へ申請手続き中であり、2019年春頃の事業開始(連結化)を予定している。
※1 2018年2月13日付でチャムロンの株式を100%取得(2018年6月13日にカンボジア中央銀行から承認済)。
※2 2018年8月14日付でSBIホールディングスとの共同によるエリンの買収に合意(同社51%:SBIホールディングス49%)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<SF>