MRO Research Memo(1):2018年12月期は売上高1,000億円を達成
[19/03/05]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネットなどを利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一の価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。336.3万口座(2018年12月末現在)の顧客に対して1,700万点を超えるアイテムを取り扱い、当日出荷対象商品52.4万点(内、自社保有在庫で41.1万点)を販売する。
1. 2018年12月期の単体業績
2018年12月期単体業績は、売上高で前期比24.4%増の105,331百万円と初めて100,000百万円を突破し、営業利益で同17.3%増の14,278百万円、経常利益で同17.0%増の14,250百万円、当期純利益で同12.9%増の9,825百万円と各利益ともに高い成長性を維持した。売上高に関しては、新規顧客獲得と既存顧客売上増の両面とも順調、前期比で大幅増となった。新規顧客獲得では、リスティング広告の強化、検索エンジン最適化(SEO)、新バージョンのTVCM放映、取扱点数の拡大(1,700万点超)などの施策が奏功。既存顧客売上は、利用頻度向上施策の効果が拡大・継続し、順調に成長した。さらに、購買管理システム事業(大企業連携)も好調(前期比54%増)。売上総利益率は、前期比1.4ポイント低下した。主な内訳としては、値上げ等による配送料率増、商品ミックス変動、大企業連携増、海外ロイヤリティ減による粗利率低下など。一方、販管費率は、増収効果及び笠間ディストリビューションセンター(以下、DC)の前年の稼働開始関連費用が今期減となったことにより、前期比0.6ポイント低下した。結果として、営業利益は前期比17.3%増、営業利益率は0.8ポイントの低下となった。
2. 2019年12月期の連結業績見通し
2019年12月期通期の連結業績は、売上高で前期比24.4%増の136,258百万円、営業利益で同19.9%増の16,536百万円、経常利益で同19.9%増の16,530百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同23.1%増の11,715百万円と、売上高・利益ともに20%前後の力強い成長を維持する予想である。この計画が達成されれば、18期連続の増収、10期連続の増益となる。増収のために、新規顧客獲得の拡大と既存顧客向け売上の拡大、購買管理システム事業(大企業連携)の推進を重点戦略とする。売上高の成長率24.4%は前期実績水準。新規顧客獲得に関しては、マーケティングデータの一層の活用を推進し、新規で72.1万口座(前期は62.5万口座)を目指す。購買管理システム事業(大企業連携)に関しては今期も高い成長率を予想。コーポレート営業メンバーの増員や中部地域での営業拠点開設など組織・体制を強化する。売上総利益率は28.7%(前期比0.5ポイント減)を予想。一方で販管費率に関しては前期比0.1ポイント低下を見込む。結果として、営業利益で売上比12.1%(前期比0.5ポイント減)、前期比19.9%増を予想する。売上高・利益ともに20%前後の成長率を継続してきた実績があり、ビジネスモデルの強さは圧倒的である。物流・システム・マーケティングに絶えず磨きをかけビジネスモデルを進化させている点も、業績予想の信頼性を高めている。
3. 事業拡大に対応し、笠間DCの出荷能力を2倍規模に拡張中
同社のビジネスモデル上、“早く・タイムリーに”様々な商品を届けることは最重要である。一方で、むやみに在庫を増やしたり人手をかけたりすると、物流関連コストが上昇してしまう。物流関連コスト売上比はおおむね下降傾向にあり、コントロールされている。2019年12月期上期は、人件費・業務委託費の上昇の影響が残るため6.1%を維持する予想も、下期には4月に生産性の高い笠間DCの拡張が完了し出荷増となるため、5.8%に低減することが見込まれる。同社では、事業の拡大に対応するために、笠間DCの出荷能力を2倍に拡大する工事(2期工事)を行っており、2019年3月竣工、4月には稼働開始の予定だ。具体的には、自動搬送型ロボットを現状の154台に114台追加し、コンベアや出荷設備も増設する。ピッキングステーションは現状の16ヶ所に28ヶ所追加。ピッキングステーションにプロジェクションマッピング技術を応用して、作業者の負担を軽減し、作業の精度を高める。拡張完了後は東西のDCで対応可能な売上規模は約1,600億円となる。
■Key Points
・2018年12月期も2ケタの増収増益。売上高1,000億円を達成。新規客獲得、既存客注文、大企業連携ともに好調
・2019年12月期は売上高・利益ともに20%前後の高い成長を予想。強いビジネスモデルに磨きをかけ、18期連続増収、10期連続増益
・笠間DCの出荷能力を2倍に拡張する工事が進捗。データサイエンスに基づくマーケティング力強化
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネットなどを利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一の価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。336.3万口座(2018年12月末現在)の顧客に対して1,700万点を超えるアイテムを取り扱い、当日出荷対象商品52.4万点(内、自社保有在庫で41.1万点)を販売する。
1. 2018年12月期の単体業績
2018年12月期単体業績は、売上高で前期比24.4%増の105,331百万円と初めて100,000百万円を突破し、営業利益で同17.3%増の14,278百万円、経常利益で同17.0%増の14,250百万円、当期純利益で同12.9%増の9,825百万円と各利益ともに高い成長性を維持した。売上高に関しては、新規顧客獲得と既存顧客売上増の両面とも順調、前期比で大幅増となった。新規顧客獲得では、リスティング広告の強化、検索エンジン最適化(SEO)、新バージョンのTVCM放映、取扱点数の拡大(1,700万点超)などの施策が奏功。既存顧客売上は、利用頻度向上施策の効果が拡大・継続し、順調に成長した。さらに、購買管理システム事業(大企業連携)も好調(前期比54%増)。売上総利益率は、前期比1.4ポイント低下した。主な内訳としては、値上げ等による配送料率増、商品ミックス変動、大企業連携増、海外ロイヤリティ減による粗利率低下など。一方、販管費率は、増収効果及び笠間ディストリビューションセンター(以下、DC)の前年の稼働開始関連費用が今期減となったことにより、前期比0.6ポイント低下した。結果として、営業利益は前期比17.3%増、営業利益率は0.8ポイントの低下となった。
2. 2019年12月期の連結業績見通し
2019年12月期通期の連結業績は、売上高で前期比24.4%増の136,258百万円、営業利益で同19.9%増の16,536百万円、経常利益で同19.9%増の16,530百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同23.1%増の11,715百万円と、売上高・利益ともに20%前後の力強い成長を維持する予想である。この計画が達成されれば、18期連続の増収、10期連続の増益となる。増収のために、新規顧客獲得の拡大と既存顧客向け売上の拡大、購買管理システム事業(大企業連携)の推進を重点戦略とする。売上高の成長率24.4%は前期実績水準。新規顧客獲得に関しては、マーケティングデータの一層の活用を推進し、新規で72.1万口座(前期は62.5万口座)を目指す。購買管理システム事業(大企業連携)に関しては今期も高い成長率を予想。コーポレート営業メンバーの増員や中部地域での営業拠点開設など組織・体制を強化する。売上総利益率は28.7%(前期比0.5ポイント減)を予想。一方で販管費率に関しては前期比0.1ポイント低下を見込む。結果として、営業利益で売上比12.1%(前期比0.5ポイント減)、前期比19.9%増を予想する。売上高・利益ともに20%前後の成長率を継続してきた実績があり、ビジネスモデルの強さは圧倒的である。物流・システム・マーケティングに絶えず磨きをかけビジネスモデルを進化させている点も、業績予想の信頼性を高めている。
3. 事業拡大に対応し、笠間DCの出荷能力を2倍規模に拡張中
同社のビジネスモデル上、“早く・タイムリーに”様々な商品を届けることは最重要である。一方で、むやみに在庫を増やしたり人手をかけたりすると、物流関連コストが上昇してしまう。物流関連コスト売上比はおおむね下降傾向にあり、コントロールされている。2019年12月期上期は、人件費・業務委託費の上昇の影響が残るため6.1%を維持する予想も、下期には4月に生産性の高い笠間DCの拡張が完了し出荷増となるため、5.8%に低減することが見込まれる。同社では、事業の拡大に対応するために、笠間DCの出荷能力を2倍に拡大する工事(2期工事)を行っており、2019年3月竣工、4月には稼働開始の予定だ。具体的には、自動搬送型ロボットを現状の154台に114台追加し、コンベアや出荷設備も増設する。ピッキングステーションは現状の16ヶ所に28ヶ所追加。ピッキングステーションにプロジェクションマッピング技術を応用して、作業者の負担を軽減し、作業の精度を高める。拡張完了後は東西のDCで対応可能な売上規模は約1,600億円となる。
■Key Points
・2018年12月期も2ケタの増収増益。売上高1,000億円を達成。新規客獲得、既存客注文、大企業連携ともに好調
・2019年12月期は売上高・利益ともに20%前後の高い成長を予想。強いビジネスモデルに磨きをかけ、18期連続増収、10期連続増益
・笠間DCの出荷能力を2倍に拡張する工事が進捗。データサイエンスに基づくマーケティング力強化
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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