SFP Research Memo(1):上期業績は計画を上回る増収増益を実現
[19/10/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要
SFPホールディングス<3198>は、駅前・繁華街(路面店)での24時間営業で人気業態となっている「磯丸水産」(海鮮居酒屋)や「鳥良商店」(鶏料理専門店)等の運営を主力事業としている。一等立地による集客力を最大限に活かした独自の収益モデルを確立したことにより、高い収益性と成長性を実現してきた。また、今期からは独自の「SFPフードアライアンス構想(以下、アライアンス構想)」をスタート。M&Aの活用による地方都市への出店拡大(社内FC形式でのブランド提供)を目指している。2019年8月末の総店舗数は、2020年2月期より連結対象となった子会社(同社ではフードアライアンスメンバー(以下、アライアンスメンバー)と呼称)2社(合計40店舗)を含めて268店舗(他にFC13店舗)。中心となるのは「磯丸水産」で122店舗である。出店エリア別に見ると首都圏が204店(うち、都内が128店舗)と集中出店している。足元業績は新規出店の戦略的な抑制等により踊り場が続いているが、新たに打ち立てた独自の「アライアンス構想」により、再び成長加速を目指す方針である。2019年2月28日には東証1 部へ市場変更となっている。
2. 2020年2月期上期の業績
2020年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比7.2%増の20,080百万円、営業利益が同10.7%増の1,486百万円と計画を上回る増収増益となった。前期出店分が期初から寄与したことや上期出店分43店舗(新規4店舗、M&A 39店舗)が増収要因となった。特に、「アライアンス構想」の一環であるM&Aについては、第1号の(株)ジョー・スマイル(JS社)に続いて、(株)クルークダイニング(CL社)がグループ入りし、業績の上乗せに貢献している。一方、新規出店については、人員確保の厳しさ等を踏まえ、一時的に抑制する方針を継続する一方、既存店のテコ入れ(改装等)や不採算店舗の撤退を積極的に実施。それに伴って既存店は好調に推移した。利益面では、販売促進策の実施等により一時的に原価率が上昇したほか、販売費及び一般管理費(販管費)も人件費やのれん償却費などにより増加したものの、増収効果により計画を上回る営業増益を実現した。
3. 2020年2月期の業績見通し
2020年2月期の業績予想について同社は、上期業績の進捗等を踏まえ、増額修正を行った。修正後の業績予想として、売上高を前期比6.0%増の40,000百万円、営業利益を同7.1%減の2,700百万円とし、増収ながら不採算店舗の撤退等により一旦減益となる見通しとした。なお、業績予想を増額修正したのは、「磯丸水産」を中心とした既存店が好調に推移していること、計画に入っていなかったCL社の連結化が理由である。JS社及びCL社の連結化が増収に寄与する。一方、新規出店は通期7店舗(JS社を含む)に抑え、既存店のテコ入れを図るとともに、不採算店の撤退(通期8店舗程度)を積極的に進めることで、より筋肉質な経営体制へと改善を図る方針である。利益面では、既存店のテコ入れ(改装費等)や不採算店の撤退に関わる費用のほか、今後の成長加速に向けた先行費用により、一旦減益となる想定である。
4. 成長戦略
同社は、環境変化(店舗スタッフを含めた採用難や店舗賃料の増加など)が成長の足かせとなっている状況への対応を図るとともに、地方都市への進出を効果的に進めるための戦略として、「アライアンス構想」を進めている。具体的には、地方都市において、豊富な経営ノウハウを有する居酒屋を経営する企業と資本提携し、同社の主力ブランドを提供することにより成長を支援する仕組みである。同社にとっては、地方都市での事業基盤を一気に囲い込むことができる一方、提携先にとっても、自らのブランドを継続しながら「磯丸水産」など人気ブランドが第2の成長エンジン(収益源)に加わるなど、様々なメリットを享受することが可能となる。すなわち、単なるM&Aによる業績の上乗せではなく、あくまでも主力ブランドを軸とした成長戦略の一環であるところや、提携先の自主独立性や成長意欲を活かした仕組みとなっているところに特徴がある。
同社は、「アライアンス構想」に伴って、新たに3ヶ年の中期経営計画をスタートさせた。最終年度(2022年2月期)の目標として、売上高59,000百万円、経常利益4,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,500百万円を掲げている。また同社自身のオーガニックな成長についても、引き続き首都圏の駅前・繁華街(路面店)を中心に一等立地への出店を進めるとともに、新ブランドの開発や「一等立地マルチコンテンツ戦略」の推進などに取り組む方針であり、オーガニックな成長継続と「アライアンス構想」による成長加速の2層型の成長イメージを描いている。
■Key Points
・2020年2月期上期の業績は計画を上回る増収増益を実現
・独自の「アライアンス構想」に基づくM&A(2社)が業績に寄与したことに加え、既存店も好調に推移
・2020年2月期の業績予想を増額修正。ただ、今後の成長加速に向けた取り組み(不採算店の撤退など)により、一旦減益となる見通し
・オーガニックな成長継続と「アライアンス構想」による成長加速の2層型の成長イメージを描く
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 会社概要
SFPホールディングス<3198>は、駅前・繁華街(路面店)での24時間営業で人気業態となっている「磯丸水産」(海鮮居酒屋)や「鳥良商店」(鶏料理専門店)等の運営を主力事業としている。一等立地による集客力を最大限に活かした独自の収益モデルを確立したことにより、高い収益性と成長性を実現してきた。また、今期からは独自の「SFPフードアライアンス構想(以下、アライアンス構想)」をスタート。M&Aの活用による地方都市への出店拡大(社内FC形式でのブランド提供)を目指している。2019年8月末の総店舗数は、2020年2月期より連結対象となった子会社(同社ではフードアライアンスメンバー(以下、アライアンスメンバー)と呼称)2社(合計40店舗)を含めて268店舗(他にFC13店舗)。中心となるのは「磯丸水産」で122店舗である。出店エリア別に見ると首都圏が204店(うち、都内が128店舗)と集中出店している。足元業績は新規出店の戦略的な抑制等により踊り場が続いているが、新たに打ち立てた独自の「アライアンス構想」により、再び成長加速を目指す方針である。2019年2月28日には東証1 部へ市場変更となっている。
2. 2020年2月期上期の業績
2020年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比7.2%増の20,080百万円、営業利益が同10.7%増の1,486百万円と計画を上回る増収増益となった。前期出店分が期初から寄与したことや上期出店分43店舗(新規4店舗、M&A 39店舗)が増収要因となった。特に、「アライアンス構想」の一環であるM&Aについては、第1号の(株)ジョー・スマイル(JS社)に続いて、(株)クルークダイニング(CL社)がグループ入りし、業績の上乗せに貢献している。一方、新規出店については、人員確保の厳しさ等を踏まえ、一時的に抑制する方針を継続する一方、既存店のテコ入れ(改装等)や不採算店舗の撤退を積極的に実施。それに伴って既存店は好調に推移した。利益面では、販売促進策の実施等により一時的に原価率が上昇したほか、販売費及び一般管理費(販管費)も人件費やのれん償却費などにより増加したものの、増収効果により計画を上回る営業増益を実現した。
3. 2020年2月期の業績見通し
2020年2月期の業績予想について同社は、上期業績の進捗等を踏まえ、増額修正を行った。修正後の業績予想として、売上高を前期比6.0%増の40,000百万円、営業利益を同7.1%減の2,700百万円とし、増収ながら不採算店舗の撤退等により一旦減益となる見通しとした。なお、業績予想を増額修正したのは、「磯丸水産」を中心とした既存店が好調に推移していること、計画に入っていなかったCL社の連結化が理由である。JS社及びCL社の連結化が増収に寄与する。一方、新規出店は通期7店舗(JS社を含む)に抑え、既存店のテコ入れを図るとともに、不採算店の撤退(通期8店舗程度)を積極的に進めることで、より筋肉質な経営体制へと改善を図る方針である。利益面では、既存店のテコ入れ(改装費等)や不採算店の撤退に関わる費用のほか、今後の成長加速に向けた先行費用により、一旦減益となる想定である。
4. 成長戦略
同社は、環境変化(店舗スタッフを含めた採用難や店舗賃料の増加など)が成長の足かせとなっている状況への対応を図るとともに、地方都市への進出を効果的に進めるための戦略として、「アライアンス構想」を進めている。具体的には、地方都市において、豊富な経営ノウハウを有する居酒屋を経営する企業と資本提携し、同社の主力ブランドを提供することにより成長を支援する仕組みである。同社にとっては、地方都市での事業基盤を一気に囲い込むことができる一方、提携先にとっても、自らのブランドを継続しながら「磯丸水産」など人気ブランドが第2の成長エンジン(収益源)に加わるなど、様々なメリットを享受することが可能となる。すなわち、単なるM&Aによる業績の上乗せではなく、あくまでも主力ブランドを軸とした成長戦略の一環であるところや、提携先の自主独立性や成長意欲を活かした仕組みとなっているところに特徴がある。
同社は、「アライアンス構想」に伴って、新たに3ヶ年の中期経営計画をスタートさせた。最終年度(2022年2月期)の目標として、売上高59,000百万円、経常利益4,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,500百万円を掲げている。また同社自身のオーガニックな成長についても、引き続き首都圏の駅前・繁華街(路面店)を中心に一等立地への出店を進めるとともに、新ブランドの開発や「一等立地マルチコンテンツ戦略」の推進などに取り組む方針であり、オーガニックな成長継続と「アライアンス構想」による成長加速の2層型の成長イメージを描いている。
■Key Points
・2020年2月期上期の業績は計画を上回る増収増益を実現
・独自の「アライアンス構想」に基づくM&A(2社)が業績に寄与したことに加え、既存店も好調に推移
・2020年2月期の業績予想を増額修正。ただ、今後の成長加速に向けた取り組み(不採算店の撤退など)により、一旦減益となる見通し
・オーガニックな成長継続と「アライアンス構想」による成長加速の2層型の成長イメージを描く
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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